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メディアブランディングをするために、ウェブメディアに必要なこと。

先日のブログにて「メディアとは世の中のモノやコトにメディアという色つきのフィルターをつけて、見せること」だという内容を書きました。そして、このフィルターの色の種類や強さが、メディアのブランディング力となります。
メディアのブランド力がある代表的なものは、マガジンハウスの「ブルータス」などの雑誌です。雑誌は1つの特集について1冊という風にパッケージされているので、メディアの特色を打ち出しやすい構造になっています。しかし、WEBメディアは1つの記事単位で記事が流通する仕組みになっています。ゆえに、メディアブランディングがしづらいのです。ウェブメディアで、どうメディアブランディングをしていけば良いかを考えてみたいと思います。

1 記事で扱うコンテンツの内容と視点。それがメディアの空気を形成する

まずは扱うコンテンツの内容です。「麻素材、トートバック、リンネル、陶器のマグカップ」と言われたらどことなくナチュラル系の雑誌を思い浮かべるのではないでしょうか。逆に「レースワンピ、ヒールパンプス、ファーバッグ」とい言われたらファッション誌かつ、赤文字系の雑誌かなと思うのではないでしょうか。これら、どういう内容を扱うかの選別によってメディアの方向性が定まってくるのですが、さらに大事なのはそれをどういう「視点」で届けるかということです。

例えば、指輪特集があったとして、赤文字系雑誌、ナチュラル系雑誌、ラグジュアリー系雑誌の3誌が特集を組んだとします。この点において扱うコンテンツの内容は「指輪」という点で一緒になりますが、見出しをつけるとこんな感じになります。

●赤文字系雑誌
「クリスマス本番!彼氏へのおねだリングはどれにする?」

●ナチュラル系雑誌
「不格好な風合いがやさしい。クリエイターによる1点ものの指輪たち」

●ラグジュアリー雑誌
「セレブに愛される。ハリーウィンストンの秘密」

赤文字系雑誌の得意技といえば、モノの名前と名詞を組み合わせて造語を作ることです。「おねだり」と「リング」を組み合わせた「おねだリング」というのは、実際赤文字系雑誌で目にしたきゃっち。ナチュラル系雑誌は、それほど高価格帯ではないモノの背景や良さを訴えかけます。そして、ラグジュアリー誌は、高級ブランドとセレブとの関係や、ブランドの歴史を語りたがります。

ということで、コンテンツの内容が一緒でも、その視点によって全く記事の方向性は変わってきます。この視点の切り方は「メディアとしてこう行きますよ」というメディア側のメッセージでもあるのです。Webメディアではよく、記事単位で流通するため、メディアを印象づけようと末尾にキャッチコピーを入れるというハック的な技がありますが、それはコンテンツの内容と視点が一貫していて初めて効果が出てくると言えます。

2 力を入れるべきソーシャルは、だんぜんFacebook

そして、メディアへの流入経路のひとつとしてソーシャルがあると思いますが、力を入れるべきは今のところ断然Facebookです。以前にFacebookとTwitterの違いを説明したのですが、Facebookはより自分自身に関わりある情報がタイムラインに流れてくるとユーザーが認識するプラットフォームです。Facebookに流れてくる情報は、共感を得やすいのでメディアブランディングがしやすいのです。
具体的にはFacebookページを作成して「いいね!」を獲得することになりますが、年齢、属性といったデモグラフィックとともに、キーワード単位での興味セグメントが切れるため、広告配信を的確に行いやすくなっています。(しかし、キュレーションメディアは、のきなみFacebookに力を入れているため、単価は上昇気味です。)

ということで、webメディアでメディアブランディングをするための2つのポイントを挙げてみました。

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情報をゆるく繋いで、空間設計が求められるWebメディア

「Cancam」は「女性自身」よりもショートケーキのほうが近い

例えば「女性自身」と「Cancam」は同じ”雑誌”というくくりですが、むしろ距離が遠い気がします。「Cancam」は「女性自身」よりは、むしろショートケーキのほうが距離が近い気がします。雑誌と食べ物なのに。

このように、定量的には同じカテゴリに属するんだけれど、定性的には全く同じカテゴリに属さないものたちがたくさんあります。
例えば「NHK のど自慢」と「テラスハウス」は定量的にはテレビ番組ですが、「テラスハウス」はむしろのど自慢よりは、ヴィダル・サスーンの方が近い気がします。

では逆に、定量的には同じカテゴリに属さない以下の項目を見て何を思い浮かべるでしょうか

・リネンのチュニック(洋服)
・ミナ・ペルホネン(ブランド)
・そば粉のパンケーキ(食べ物)
・かもめ食堂(映画)

雑誌「リンネル」のようなナチュラル系女子の生活が浮かび上がってきますね。このように、定量的には同じカテゴリに属さないのだけれど、定性的には極めて近いところにいる情報をくくるのが、メディアの役割だとも言えます。
雑誌が主流だった時代は、この手法がメインとなってメディアは作られていたと思うのですが、webでは定量情報のみに注目したメディアがけっこうあります。ハウツーだったり映画の上映スケジュール、PC等のガジェット情報などです。同じカテゴリの定量情報の記事を扱うということは「情報が情報として存在している」ということであり、これからのメディアとしてはけっこう大変かと思います。

「情報が情報として存在している」記事をメディアとして集約するのは(雑誌で言えば東京ウォーカーなど)、情報が点在していた時代には意味があったのですが、いまは「検索」という手段によってほしい情報にすぐアクセスできてしまいます。そして、ユーザーは欲しい情報を取得したら、その情報が掲載されているメディアを意識することなく直帰してしまいます。
かつ、そういった情報にアクセスする人たちの属性はまちまちなので、メディアとして広告もつきにくい状況になります。

つまり「情報が情報として存在して良い」メディアとは、そもそも利用者数が多いYahoo!などのポータルサイトなどでないと、成立が難しいのです。

記事同士をゆるく繋いで、空間を設計する

逆に定性的に近い情報をくくったメディアの何が良いかと言うと、読み手がそこに共感を覚えてメディアを認知するようになるということです。そして、そのメディアが提供する場の雰囲気を味わうために、再びメディアを訪れて習慣化していきます。
こういったメディアは、Facebookページと非常に相性が良いです。Facebookのタイムラインを流れる情報は、自分に関連のある情報としてユーザーは認識しているため、タイムラインを流れるお気に入りのメディアの情報を閲覧することが自然な導線となります。
そして、Facebookページのいいねを集めるための広告は、興味属性やデモグラフィックでターゲティング配信が出来るため、メディアのファンになってほしいユーザーにアプローチすることができます。こちらが意図するユーザーを集客出来れば、メディアのマネタイズがやりやすくなります。

今後のメディアの設計としては、情報単位で成立する記事ではなく、記事同士が緩く連携してひとつの空間を作るような雰囲気作りの設計が重要です。
そして、web上においてはYahoo!など一部のポータルを除き「マス」という概念が存在しないため、嗜好によって細分化されたメディアが複数存在するようになります。ちなみに、こういう概念によって雰囲気作りがうまく作られているなと思うのは、価格コムが提供するメディア「キナリノ」です(https://kinarino.jp/)。
解析ツールによると100万UUを超えており、すでにタイアップ記事が入るなどマネタイズも始まっているようです。

ということで、今後のWebメディアは情報だけでなく場としての空気を醸成することが大事ですし、その方法は、定性的に似たカテゴリーの情報をセンスよくパッケージにして届けられるかにかかっているのです。

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