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ZOZOTOWNがやった方がいいと思う10のコト

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「スタートトゥデイがやめた10のコト」というまとめを見て、タイトルにオマージュを捧げてみました。先日スタートトゥデイの決算が発表され、売上高も350億4千万と前期比で10%の成長となっております。ファッションECにAmazon、楽天も力を入れている今日この頃ですが、ZOZOTOWNがやったほうが良いと思う10のことをまとめてみました。

1.競合を気にしない。特に楽天。

楽天はZOZOTOWNのことを、ものすごく気にしています。この記事にもあるように、決算にてファッションカテゴリの取扱い高がZOZOTOWNの4倍あることをアピールしています。そして、楽天ブランドアベニュー(名前が・・・)というサイトにて、ZOZOTOWNとかぶるブランドの誘致をしています。が、全然楽天は気にしなくて良いと思います。なぜならば・・・

2.ZOZOTOWNが自分の場所と思ってくれるユーザーを大切にする

所詮楽天を使う人は、いろいろ比較して送料やポイントといった実利面の恩恵を重要視するユーザーです。取扱い高いは確かに4倍かもしれませんが、前出の記事によると購入点数に2倍の開きがありながら購入金額では差がありません。ゆえに楽天ユーザーは、安い商品から買っているわけです。
以前ファッションECの調査をしていて、ZOZOTOWNで洋服を買うユーザーにインタビューしたところ、何故そこで買うの?という答えに明確に答えられる人がいませんでした。

「なんとなく、、、UIが使いやすいし。見ちゃうんですよね。」

そう、細かいUI設計とかデザインとか、そういう要素に裏打ちされたブランディングによって、ファッション感度の高いユーザーは「ここは、自分の場所」という認識が生まれているのです。

3.ポイントや送料無料等の実利インセンティブで戦わない

既にポイントキャンペーンは止めたと発表していましたが、ポイントや送料無料の実利インセンティブで戦うということは、楽天やAmazonと同じ土俵に降りるということです。むしろ、ZOZOTOWNをついつい開いちゃうユーザーにとって、実利インセンティブを前面に押し出しすぎることはサイトとしてのブランディングの毀損につながりかねません。インセンティブをつけなくても楽天に勝てることは、「クックパッドVS楽天レシピ」で歴史が証明済みです。

4.ファッション以外の取り扱いジャンルを広げる

以下の表はユーザーがどのジャンルの商品を、どこで買うかという図です。

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日用品や書籍、飲料水等のコモディティ商品はポイント還元や送料等の実利を気にして買います。しかし、ファッション等の個人の感情が入りやすい商品は「お気に入りの場所」=ZOZOTOWNで購買するのです。だから明確にAMAZONを使うユーザー、ZOZOしか使わないユーザーが存在するわけではなくて購入する商品のジャンルによってサイトを使い分けています。

となれば、感情=エモーショナルを喚起できる商品は、ファッションばかりではありません。インテリア・雑貨も同様の商品になります。早くここのジャンルにも進出すべきだと思います。

5.ガンガンいこうぜ

ドラクエの作戦名ですが、この2、3年でファッションを中心とするエモーショナルコマースの勝者が決まると思います。持ちうる全ての呪文を駆使してガンガン行った方がいいと思います。つまり、じゃんじゃん投資してばんばか買収した方がいいと思います。
STORES.jpのブラケットを買収したり、フルフィルメントと業務(入荷、撮影、採寸、保管、梱包、発送等)に力を入れているので、既に投資は行っているようです。(バランスシートの有形固定資産に対する支出を見ると前年の4億5千万に比較して10億近い支出があります。ブラケットの買収は、6億くらいらしいので安い買い物だったとか。)

6.STORES.jpのブラケット買収は、ナイスだった

これ、すごくナイスですよね。ZOZOTOWNは営業利益率が8.9%でECサイトにしては高いと思うのですが(マガシークは2.6%、スタイライフは1.3%)これは商品が売れるごとにブランドがZOZOTOWNに支払う手数料の高さが要因だと思います。高すぎるがゆえにブランドの離反を招いたという話もありますが、有名ブランドならともかく、小規模なブランドだと高すぎる手数料をカバーできません。かといって、手数料をいまさら値引きすることも出来ません。
ゆえに、小規模なブランドがECを展開するSTORES.jpを手中におさめたということは、ロングテールの部分を手に入れたことになります。(STORES.jpの4万点の加盟店舗のうち、約70%はアパレル)

7.STORES.jpに続き、買収するべきジャンル~インテリア・雑貨~

「4.ファッション以外の取り扱いジャンルを広げる」に関連するのですが、ZOZOTOWNは中長期目標で取扱高5000億を掲げています。エモーショナルを喚起できる商材、つまりインテリア・雑貨ジャンルの拡充を図るべきです。しかもこれを早急にやった方が良いと思うのは、来年このジャンルの覇者であるFabが日本に上陸してしまうからです。さきほど競合は気にするなとか書きましたが、Fabに関していうとサービスとしての運営方針、ターゲットがほぼZOZOTOWNとかぶります。顧客志向で考えてもエモーショナルコマースの覇者を目指すべきじゃないでしょうか。

8.STORES.jpに続き、買収するべきジャンル~個人アーティストを束ねたサービス~

色々なジャンルで個人化の局面が進んでいて、CtoC市場が拡大しています。そして、楽天・Amazonがファッションに乗り出した結果、取扱いブランドがかぶりはじめています。エモーショナルコマースの代表であるFabの魅力は「Amazonが扱わない作家モノのデザイン製品がラインナップされている」ことにあります。個人として活躍する作家を囲って商品の差別化を図るべきです。が、今のところこういうサービスがあるのか・・・、リバティが始めたおばあちゃんの編み物くらいしか思いつきません。

9.STORES.jpに続き、買収するべきジャンル~ファッションソリューション~

コモディティ商品について言うと、買い物にかかる時間の速さも顧客にとってはメリットですが、エモーショナルコマースでは買い物にかける時間自体を顧客は楽しみたいと思ってます。例え買わなくてもフィードに流れてくるオシャレな洋服を眺めているのが楽しいのです。故に購買動向や導線が、今後大きく変わる可能性があります。もしかしたら、イノベーションが起こってECサイトのていをなさないサービスが大勝ちするかもしれません。コラージュサービスのIQONのように、ECとは関係なさそうなソリューションを獲得するべきです。

10.変人を雇う

6~9までは全て買収に関する話題でした。「社内で作っちゃダメなの?」という意見もありそうですが、社内の人間が作ると「業界の常識枠から抜けられない発想」しか出てこない場合が多いのです。想像するにZOZOTOWNの社員は、オシャレでブランドへの認知が高く、路面店やZOZOTOWNで洋服を購買するような人が多いのかなと思います。そうすると、どうしても考え方が「どうブランドの洋服を購買させるか」という思考から抜け出せません。ロングテールの発想や、すぐに購買に結びつかなそうなソリューションには、考えが及ばないのです。以前所属していた会社で新規事業プランコンテストが行われましたが、応募された事業プランの9割は、新規事業ではなくて既存業務の改善でした。そのくらい、組織的な常識とか通念といったものは体にしみこみます。
だから、「一回ゼロから考えようよ」と、ファッションというジャンルすら飛び越えて考えられる「変人」がいるのであれば、社内からイノベーションを起こすことも可能だと思うんですよね。

ということで、つらつら10項目書きましたが、結論としては「ZOZOTOWN、がんばれ!」です。企業理念の「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」を本当に実現して欲しいと思います。

リピート率7割のコマース「Fab」は、感情に働きかける

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「Fab」という米国発のオシャレなECコマースが、来年日本に参入するそうです。「Fab」がすごいらしいという噂を聞いたので調べてみたのですが、半端ないです。その半端なさを箇条書きにしてみます。

・登録ユーザーは1300万人
・創業から2年たたずに2億5千万ドルを売り上げる
・リピート率が約7割

アメリカでも急成長のECコマースと呼ばれていますが、CEOのジェイソン・ゴールドバーグ氏は、「Fab」のコンセプトをこう語っています。

eコマースには3種類あるんだ。

一つ目は日用品(コモディティ・コマース)。アマゾンや日本の楽天がこれにあたる。欲しいものを簡単に買える。

二つ目はデジタル・コンテンツ。音楽など。

そして三つ目がエモーショナル・コマース(感情に訴えかけるコマース)だ。これは洋服、家具、ランプなど、購入する際に検討され、ある種の感情が伴うものを扱う。

自分たちはこのエモーショナル・コマースのマーケットリーダーになろうとしたんだ。

自分たちの戦略のコアは、他のどこでも買えないユニークなプロダクト、万人受けするものではなく、カラフルで、テイストがいいブランド、そして買い物の楽しさを常に提供し続けること。近代的で、ユニークで、カラフルな商品を求めている人たちが見に来る場所、というブランド認知が大切だ。

自分たちをただのマーケットプレイスではなく、人々の感情に働きかける存在であると定義しているんですね。実は、このエモーショナル・〇〇という言葉は、日本でも「感性価値」という名前で2008年前後に流通していました。2007年5月に、経済産業省により「感性価値創造イニシアティブ」というのが策定されて、色々取組みをしていたからです。(そして、効果のほどはよく分かりません。)
そのイニシアティブでは、感性価値を「共感したり感動することのできる製品・サービス」と定義していますが、これはまさにFabが言うところの「エモーショナル・〇〇」のことですよね。

情報流通が発達して価格・品質面ではいくらでも比較できる上に、商品が登場してもすぐにコモディティ化してしまうため、爆発的に伸びる商品・サービスには「エモーショナル・〇〇=感性価値」が必須だと思います。iPhoneの洗練されたデザインにも、ユーザーは品質以外のエモーショナルなモノを感じているわけです。

パソコンからFabのトップページを開くと、このようにダイアログが開いて新しくなったFabのプロモーションムービーとオススメの音楽が再生されます。(そして、音楽はダウンロード出来ます)

fabのトップ画面

通常、ECサイトは購買までの導線をワンクリックでも減らしたいのが本音ですが、購買よりもユーザーが心地よいと思える場所を作ることに注力しているのです。

日本でもエモーショナルコマースを行っている企業は、たくさんあります。雑貨ショップの「FrancFranc」や「Afternoon Tea」等は、雑貨のみを売るのではなくて店舗で商品を見るその過程も楽しめるように設計されているのです。

また、ファッションでは、ZOZOTOWNがエモーショナルコマースを実現していると思いますが、もっと早くインテリア方面に幅を広げていれば・・・と思わなくもありません。2012年以降は売上が鈍化しているのですが、これはサイトのブランディングも影響していて獲得できる顧客の上限数をだいたい獲得出来てしまったからかなと思います。そうなると新規の顧客を呼び込むか単価を上げるかなのですが、インテリア領域に広げておけば両方を満たせたのではないかと思うんですよね。

ただ、2014年にはFabが日本進出を行うということなので、どういう結果になるのか非常に注目です。