タグ別アーカイブ: 漫画

マンガアプリに見る、従来のデバイスのUIを引き継いでしまう現象

スマホが登場した時、ページをめくるインターフェースが多かった

従来のデバイスのインターフェースは、次の世代のデバイスまで引き継がれる傾向があります。

例えば、スマホが登場したばかりの頃は、紙をめくるようなインターフェンスのサービスがけっこうありました。

電子書籍は、本を電子化したものなので、ページめくりがあります。しかし、本来はインターネットに制限はないため、ページ送りしなくても良いわけです。
なので、一定期間たった後に、noteなどスマホに最適化されたインターフェースのサービスが登場しています。

スマホの登場で、一番影響を受けるコンテンツは漫画です。すでに各社が出している漫画アプリは数百万ダウンロードを超えており、大変人気です。
漫画というのは、出版社の歴史も長いので、非常に従来のインターフェースに引っ張られる傾向にあります。

漫画の多くは右から左にコマ割が移行しますが、スマホで見るときはこのコマ割りが小さくてセリフが読みづらい傾向にあります。

スマホで観るのに適したコマ割りは、上から下へと視線が流れるコマが大きいものです。
最近はスマホ用に描かれた漫画は、このインターフェースに従っています。

アプリになっても引き継がれる”連載モデル”

さらに特徴的なのは、出版社各社が出している漫画アプリが“連載”というインターフェースに準拠していることです。
全ての定期的に発刊される漫画雑誌は、全て漫画が連載という形をとっています。
なかには、数十年も連載している漫画もあるわけです。

だから、出版社がスマホを使って漫画コンテンツを発信しようとすると、前提として連載ありきになります。
実際、ジャンプなどの漫画雑誌は、連載型が中心です。毎日何がしかの漫画が更新されていきます。

しかし、実は漫画コンテンツ的に一番多くのユーザーを囲いやすいのは連載型ではなくストック型になります。
ピッコマがこのインターフェースにおいてもっとも成功していると思われますが、最初の何話かを無料にしておき、それ以降は24時間に1話だけ読めるチケットを発行します。
続きが気になる人は、課金をすると続きが読めるようになります。
(結末間際の数話も、課金前提となります。)
このようになストック型だと、漫画アプリを訪問したユーザー全員を対象として購読率や課金率がかかっていくことになります。

一方、連載型の場合は、連載するうちに一定量づつ購読を止めでは脱落する人たちが出始めます。
しかも、無料になるのは最新話であるため、フリーミアムにするコンテンツのさじ加減を、期間で調整していることになります。
仮にその漫画が100話あったとしたら、そこにいたるストーリーは有料課金が前提なので読む気力がそがれるのです。

一方ピッコマのようなストック型だと、一日一話は無料で読めることが分かっているため、継続率が高くなり、継続率が高いということは課金をしてくれるユーザーの母数が増えるということなのです。

このように、継続率や課金率といった係数で考えるとピッコマのようなストック型のインターフェースが有効なのですが、出版社的には今まで連載型で漫画を発信し続けヒット作を育て、ストックしたコミックで課金するという一連のモデルがベースにあるため、ストックしたコンテンツを無料で読ませることに心理的ハンドルが高いのです。

このように、インターフェースは、前世代のデバイスに加えて、従来のビジネスモデルや慣習にも強い影響を受けます。

そのモデルを崩して新しいハードデバイスに最適化するのは、たいてい新しい新興勢力になります。

「進撃の巨人」に見る、メガヒットコンテンツは中身と外見のバランスが良い法則

大人気ゲーム「ダンガンロンパ」の中身は推理ゲーム?

先日、人気ゲーム「ダンガンロンパ」の最新作について、メインキャラクターモノクマの声優さんが大山のぶ代さんからTARAKOさんに代わるというリリースがありまして、話題になりました。
ダンガンロンパはこれまでにシリーズ2作品とスピンオフ作品が1作品作られ、アニメ化もされている大人気シリーズです。

ダンガンロンパの中身は完全に推理モノになっています。学校や無人島などクローズドサークルに閉じ込められて、キャラクターたちは仲間同士でコロシアイをするようゲームマスターであるモノクマに告げられます。犯行を行なった後に、一定の捜査時間を経て行なわれる学級裁判で犯人だと断罪されなければ脱出する事が出来るのというのです。主人公たちは、各ステージで起こる殺人事件を調査して、学級裁判で矛盾を暴いて犯人を追求していきます。

これが、ダンガンロンパというゲームコンテンツの中身です。その中身に「アニメ的にウケそうな個性豊かなキャラクター」という外見を与えています。以前にもブログで書いたのですが、推理系のゲームというのはごく一部の例外(逆転裁判等)を除いてマイナージャンルです。そういったゲームの外見は「実写に近いキャラクターイラスト」になっています。「ダンガンロンパ」と、正統派推理ゲームを並べてみるとよく分かります。

ダンガンロンパ

キャラクターのエッジが効いている「ダンガンロンパ」
出典:http://qq2q.biz/txfX
神宮寺三郎多くの推理ゲームは、このように写実的なイラスト
出典:http://qq2q.biz/txgb

しかし「ダンガンロンパ」は推理ゲームという中身に、アニメ的にウケそうなキャラクターという外見をかぶせたおかげで、本来推理ゲームに興味がなかった人たちにリーチして大ヒットしたのです。(プラス、タイトルにもなっている相手の矛盾を弾丸で打ち抜くというアクション要素も大事な要素のひとつ。)

ということで、コンテンツの中身もそうなのですが、どれだけの人たちにリーチするかという観点において、どういった外見にするかが重要なのですね。

外見を調整することで、ターゲットとする層をしぼる

逆に、外見を特定の層にリーチするようにコントロールすることもあると思います。秋葉系の方々にウケそうなアニメは、あえてあのような外見にすることによって「あなたのためのアニメですよ」というシグナルを発しているのです。
この外見によるコントロールが外れるのは、漫画やアニメが実写化する時です。絵が特徴的な漫画やアニメが実写化すると、汎用性を持つようになります。(逆に原作のコアなファンからは批判されます。)

と、考えると、実はコンテンツの中身は素晴らしいものの、外見によって一部の層にしかリーチできていない作品がたくさん眠っているのかもしれません。例えば、「魔法少女まどか☆マギカ」は、現在の世情を投影した評価の高い作品であると聞いたことがありますが、やはりその外見(いかにもアニメ的な女の子たち)からすると、観ようと思う層は限られます。
また、カイジやアカギシリーズで知られる漫画家の福本伸行先生の絵柄は、男性ファンには定評が高いのですが女子には受け入れずらいです。しかし、漫画を読んでみると本当に深いんですよね。
このあたりの作品が、もし汎用性のある外見を獲得するとリーチが広がるかもしれません。汎用性の高い見た目とは何かと言われると、こういった絵柄みたいな…。
ジブリ国民的汎用性を持った外見。

大ヒットを飛ばすコンテンツは、中身と外見のバランスが秀逸

ちなみに書いていて思ったのですが「HUNTER×HUNTER」の冨樫義博さんの作品はこのバランスが秀逸なように思えます。「HUNTER×HUNTER」のキメラ=アント編をアニメで観ていて思ったのですが、最後の方は第三者視点のナレーターによるの解説が多くなり、まるでドフトエフスキーの小説のようです。よくよく考えると内容がけっこうシリアスなのですが、登場キャラクターの設定の秀逸さと、デフォルメされたアニメタッチのイラスト(ゴンやキルア)とシリアスなタッチ(ヒソカ)が混在することによって、バランスが取れているのですね。

という意味でいうと「進撃の巨人」が、講談社の前にジャンプに持ち込みをして断られたという逸話があります。作者の諫山創先生は、不器用で自分の画がひどいと思っていたと述懐されていますが、むしろ上手すぎなかったから良いんだと思います。もしも「進撃の巨人」の絵がもっとリアルで精密に(例えば「GANTZ」の奥浩哉先生のような)描かれていたら、ここまで万人受けしなかったと思います。実際「GANTZ」(全37巻)の累計発行部数は2000万部以上とありますが、「進撃の巨人」(19巻)は5000万部で、すでに2倍以上です。

ということで、コンテンツの中身と、そこをどう見せるかという外見のバランスによって、どこまでリーチするか決まるのではないかという話でした。

http://www.cinematoday.jp/page/N0067795
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%B2%E6%92%83%E3%81%AE%E5%B7%A8%E4%BA%BA
https://ja.wikipedia.org/wiki/GANTZ