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組織への所属意識が強いと、顧客に最適解を示せないという話

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覆面調査で最悪の評価だったユナイテッドアローズの販売員

「ユナイテッドアローズ 心に響くサービス」という本を読んで目に留まった話があります。この会社は接客に力を入れており、お客さんになりすました調査員が接客を受けて販売員を採点する覆面調査をするそうです。そこで最悪の評価を受けてしまった販売員さんがいました。

お客さんがコートを探しており、試着をしたもののサイズが合わない。丈を詰めることを検討したものの、結局他のライバル店の商品を紹介してしまったのです。

これは確かに商いのことを考えると最悪でしょう。本来自社につくべき売上が、社内の人間の手によってわざわざライバル店に持っていかれてしまったのです。しかし、お客さんの立場から考えると最高の接客だったと思います。お客さんにとっては、どこのブランドで買おうと自分に合う洋服が欲しいわけですから、それを推薦してくれるというのは最高の対応ですよね。

この販売員さんは、また同じシチュエーションが起こっても同じことをすると思うと話していましたが、こういう人は稀有だと思います。ほとんどの人は、商いのことを考えてしまいます。

・アパレルの店員は、お客さんにサイズが合わないと思っても売ってしまえば売り上げになるし
・英会話教室の人は、基礎から勉強しないと無理そうな人のレッスン加入を止めないでしょうし
・不動産の人は、自分で妙な物件だなぁと思っていても買い手が良しとすれば売ってしまうでしょうし
・広告代理店の人は、効果があがらないかもと思いつつも、自社のイチオシ広告を薦めるでしょうし
・新聞販売をしている人は、お客さんが読まないと分かっていても洗剤を渡して購読してもらうでしょう。

と、例をあげてみましたが、月々のノルマを背負っていると「うーん」と思っても、顧客さえ良しということであれば、売ってしまうと思います。

新しいモノを作ろうとしても、自社の商品を組み込まざる追えない

さらに、立場を考えると発言も自由に出来なかったりします。例えば、新聞社・テレビの人が「新聞・テレビはオワコン。これからはネット」とは口が裂けても言えないですし、マクドナルドの人が「牛肉や脂を毎日摂取すると毒」ともいえないですよね。

これは組織にサラリーを貰っており、金銭的にコミットしているということと、組織への所属意識から起こる現象です。この意識が強すぎると、何かにつけて最適解が出ません。例えばテレビ局の人だったら、新しいメディアを立ち上げようとなっても、テレビを排除して考えることは出来ません。「インターネットを活用しながら、テレビを視聴してもらって・・・」と、顧客の都合とは関係ないところで自社の商品を組み込まないといけないからです。

しかし、現代では一つの事業の寿命がどんどん短くなっているので、この考え方が浸透しすぎると市場環境の変化に耐えられなくて、終わっている事業を延命しようとするゾンビ化現象に繋がると思うんですよね。
「根本的に無理だから、0から考えようよ」と、言える人がいないわけです。

ということで、冒頭の販売員さんに戻るのですが、ユナイテッドアローズの社員であるという前に一人の個人としてお客さんにアドバイスをしたと思うんですよね。自分が販売員ではなくてお客さんの友達だったら、親身になって同じことをするでしょう。

私も何か考えるときは、まず個人として最適解を考えるようにしています。そして、その最適解が自社の商品とマッチしないのであれば、それはそれで正直に伝えるべきです。たとえその時機会損失になったとしても、顧客との絆が深まります。
組織の都合を考えずに最適解を考えれば、良い物が世の中にどんどん出て行きます。

ということで、組織にも組織の良さがあると思いますが、これからは個人として立脚した立場での思考っていうのが大事になってくると思います。