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食パンでフレンチトーストを作る人々~初音ミクのヒットに見る~

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情報・コンテンツを受取り手が加工

前回は、今までマスメディアは良い情報(美味しいパン)を提供することを考えていれば良かったけれど、ネット時代はどう流通させるか(どんな車でどう運ぶ?)も重要になったというテーマでした。

前回のエントリは、何年も前から言われており、車(流通)を握るということは、プラットフォームを制するということで、佐々木俊尚さんの「レイヤー化する世界」にも、どう場(プラットフォーム)と向き合うかというテーマで書かれています。

そして、前回の続きなのですが、食パンを受取った人たちはパンを再加工してフレンチトースト作ってるなぁという話題なのです。

どういうことかと言うと、今まではパンa01
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〇小麦粉(→素材)

〇食パン(→加工)

〇車(→流通)
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という風に情報・コンテンツが流通していたのですが、

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〇小麦粉(→素材)

〇食パン(→加工)

〇車(→流通)

〇ユーザー(→再加工)
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という形で、受取手のユーザーが、再加工しているのです。しかも、好む好まざるに関わらず、今後のネットメディアやコンテンツは情報やコンテンツを再加工するユーザーを念頭に置かざるおえない構図になると思うのです。

ユーザーの再加工により、爆発的に普及した初音ミク

ニコニコ動画なんかは、その筆頭です。例えば、初音ミクをこの図にはめるとこんな感じになります。
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〇ヤマハの開発した音声合成システム「VOCALOID」(→素材)

〇音源、及び初音ミクとしてのキャラクター(→加工)

〇ニコニコ動画(→流通)

〇ユーザーによる2次創作(→再加工)
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元々初音ミクとしての人格を与えられた音声合成システムが、ニコニコ動画の中でユーザーに2次創作されたことによって爆発的にヒットした経緯があります。
初音ミクの関連する楽曲はネット上に10万曲以上あるとされ(by wikipedia)、初音ミクのヒットはユーザーによる再加工とセットになっており、流通&再加工は同時に行われるのです。

ニコニコ動画については、ゲーム実況というジャンルについても、以下が当てはまります。

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〇コンソールゲーム(→加工)

〇ニコニコ動画(→流通)

〇ユーザーによる実況プレイ(→再加工)
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また、情報の流通プラットフォームとして存在するNAVERまとめも、ニコニコ動画と同じく、流通と再加工を同時に行っているのです。
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〇ネット上の情報(→加工)

〇NAVERまとめ(→流通)

〇ユーザーによるまとめ制作(→再加工)
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他にもツイッターを再加工したToggeterとか、誰かの発言をひな形にして一部を変えるネット上の遊びとか、2ちゃんねるを転載したブログとか、ユーザーによって再加工されたコンテンツや情報が溢れています。
これらはコンテンツそのものを加工した例ですが、その他にも1次情報を題材にブログを書いたりするのも、再加工と言えます。

そして、再加工されたコンテンツや情報は無尽蔵に増えて、たくさんの人々にリーチするのです。例えば、現代ではFacebookやTwitterでシェアされることが大事だと言われますが、情報にコメントを加えてFacebookでシェアするのも、ある意味再加工なのです。

ということで、ネット上で流通する情報やコンテンツは、再加工によってさらに多くの人に届き、なおかつその想定込みで1次情報を作る人は色々考えなければならないのです。

個人発コンテンツが台頭するニコニコゲーム実況

 

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偶然顧客のニーズを満たしちゃったゲーム実況

先日1次情報が消えて、個人メディアが台頭してきますよというブログを書きました。既にそれがマジョリティになっているのが、ニコニコ動画のゲーム実況カテゴリかなと思います。

ニコ動のゲーム実況カテゴリをご存じない方のために説明をすると、何らかのゲームを実況中継風に解説しながらプレイしていく様をみんなで見守るというカテゴリになります。

総合ランキングに入っているゲーム実況の割合から考えると、トラフィックの3分の1から4分の1くらいはゲーム実況目当てに来てるんじゃないかなぁという風に思います。
ちょっと話はそれますが、このゲーム実況カテゴリというのが実に面白くて「偶然顧客のニーズを満たしちゃった」と思うんですよね。
通常サービスを作る時って、〇〇という顧客の△△というニーズを満たすために作りますというお題目がないといけないのですが、ニコニコ動画って、文字流したろーっていうインターフェース優先でリリースしたわけです。

その結果、ゲームプレイヤーが主軸となり、皆でそれを観覧するというゲーム実況スタイルが自然に出来ました。
これがなんの課題を解決したのかという話ですが、顧客の課題は明確に存在していたのです。

「一人じゃコワい」or「難しい」or「時間がない」という理由でプレイできないゲームのプレイ動画を見たい

という課題が。

わたくしそもそも学生時代は、知人の家に集まり、プレステ片手にバイオハザードをプレイしていたのです。しかし、当時のバイオはゲーム慣れしていない人にとっては難しい上に、シナリオが怖すぎたのです。自分でプレイするのは嫌だけど、人がプレイしているところをカップラーメンをすすりながら、やんややんや言っておりました。

「毒を受けるな、よけろ!下手くそ!」
「そこ、ガラス突き破って犬くるよ」
「解かった!若い順にボタンを押してくんだ!」

などなど、好き勝手言っておりました。そして、やがて大人になり、誰かの家に集うこともなくなったのですが、この需要がニコニコゲーム実況プレイで満たされたのです。偶然にも。

初期のゲーム実況の主流は、ホラーゲーム

ということで、初期の実況プレイにおいて主軸となったのはホラーゲームでした。

先ほどのバイオハザードもそうですが、一人では絶対にプレイしたくないけど、みんなで見たいというゲームが存在するのです。
よくニコニコ動画で怖い動画やゲームを見ていると、「米を絶やすな!」というコメントが出てきますが、これはコメントを絶やさないことによって、みんなで見てる感を継続(=怖くない)させるためなのです。

ゆえに、初期は「バイオハザード」、「SIREN」、「サイレント・ヒル」あたりのゲーム実況が割と人気でした。
さらに、ゲーム以外にニコ動共通にある需要として、「みんなでツッみたい」という需要があります。ゲーム実況を見て「クッソワロタwww」「腹筋崩壊www」とかコメントしたいのです。

この需要を満たすのが90年代の古いゲームです。クリアするのが難しすぎるゲーム「サイベリア」とか理不尽なゲームをプレイして、その理不尽さを笑うというスタイルが確立しました。

しかし、2000年代後半以降は、コンシューマーゲーム市場の縮小とともに、マーケティングによってソフトが洗練されていきます。みんなが万遍なく満足に楽しめるゲームに絞られるため、ホラーなどのニッチジャンルや、理不尽仕様のゲームがほぼなくなっていくのです。

そして台頭する個人クリエイターによるゲーム

ということで、やっと本題に入りますがゲーム実況も2010年以降は個人が作ったフリーゲームがゲーム実況の題材になっていきます。ホラージャンルであったり、突っ込みどころが多かったりする個人作家モノの方が、見ていて突っ込みたい、共感したいという需要が満たされるからです。

一番有名なものでは、洋館に現れる青色の化け物から逃げる「青鬼」シリーズ、のび太とバイオハザードを合体させた「のび太のBIOHAZARD」などがあります。

コンシューマゲームメーカーのゲームから多様性が消えていき、実況は個人作家が発表するフリーゲームへとシフトしているのです。

ネットは、よくも悪くも1次情報をいじくって、2次情報を楽しむ側面があります。コンシューマーゲームという1次情報が縮小した結果、個人作家が生み出した1次情報が素材として選ばれているのです。

しかし、これはあくまでも個人の趣味や善意に支えられています。この個人発の1次情報を束ねるプラットフォームが生まれ、金銭的インセンティブを返す仕組みが出来ることが、さらに個人発のコンテンツが加速する条件なのかもしれません。

新規サービスは、マネタイズを考えておくべきか?

クックパッド

必ず聞かれる「で、マネタイズは?」

なんらか新規事業についてプレゼンしたとします。まず、一番最初に聞かれる質問は「で?マネタイズは?」です。会社として事業をするのであれば収益を生み出さないといけないので、その事業でどうやってお金儲けするの?と問うてるわけです。

これが結構難しい問題で、「FREE」という書籍がありますが、特にインターネットではサービスや情報が無料で受けられることにみんな慣れてしまっているのです。メールもチャットもクラウドのファイルストレージも無料だし、ネットの情報もニュースをはじめとしてほとんど無料、ソーシャルゲームやライトゲームなどの娯楽も無料です。

儲ける方法は2種類しかない

今のところインターネットサービスで設ける方法は

・広告
・ユーザーへの直接課金

の2種類しかありません。
しかし、これはサービスが以下条件を満たしている必要があります。

・広告=1000万人以上の人に使ってもらう必要がある
・ユーザーへの直接課金=ユーザーがお金を使う必要性を感じるか、ファンになってもらう必要がある

早期にマネタイズしようとすると、この点を損なって逆にスケールしなくなるのです。。広告は完全に規模の商売ですから、大きなシェアを握っている会社(googleとか)はアホみたいに儲かります。(2013年1~3月期決算は、約1兆3720億円の売上)
日本で目立って儲かっているサービスの大半は、ユーザーへの直接課金の方ですね。

・ニコニコ動画
・クックパッド
・ソーシャルゲーム

直接課金が上手くまわると、広告より利幅が大きいので利益率が高いです。30~50%にもなります。ひろゆきさんも2000年代中ごろに「これからはユーザーへの直接課金がメインだと思う」という趣旨の発言をしており、さすが先見の明がありますね。

ソーシャルゲームはコンテンツそのものが課金システムと言ってもいいのですが、ニコ動とクックパッドは、機能の一部を使うには有料会員にならないといけないフリーミアムモデルです。「コレにお金を払おう」と思う心理障壁は高いと思うんですよね。最初からマネタイズを考えてしまったら、結局そのへんの思惑がサービスに反映されてしまい、たいした規模のサービスしか作れないと思うんですよ・・・。

だから、最初はマネタイズを考えないでユーザーファーストでサービスを作るのが良いと思います。ただ、これって企業はすごくやり辛いので(当たり前ですが)、個人で開発しているチームにも利が出てくるのはこのポイントですよね。

企業でコレを実践していると思うのは、サイバーエージェントとLINEですね。サイバーはとにかくサービスを立ち上げて改善を繰り返し、爆発的に流行るタイミングを待つという姿勢ですし、LINEについても拡大するまではマネタイズを考えるなという号令が出ていたそうです。

「Amazonが最強な理由は「待てる経営」だから」という記事でも書きましたけど、これだけサービスやコンテンツがあふれている時代には、マネタイズは置いておいてワクワクするものを作るのが良いと思います。