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スターバックスに学ぶ顧客全包囲のメディアの作り方

スタバの売上はドトールグループの2倍近く!?

一人で作業したり、Wifiを使いたかったりでスターバックスに行くことが多いのですが、都内やその近郊では圧倒的にスターバックスの数が足りないと思うんですよね。常に混んでますし、当初は席の間にゆとりがあってくつろげる空間というコンセプトだったと思うのですが、今ではけっこう寿司詰め状態になっているところが多いです。(特に電源設置のカウンターあたり)

スターバックスの店舗推移を見ると、年々順調に増えていて2014年3月期には1034店舗と全国1千店舗の大台を超えているのですが、それでも都市部では需要に供給が追いついていない気がしますね。

ちなみにドトールグループ(ドトールにエクセルシオール等も含む)は2016年3月末時点で1339店舗(2016年)で売上が684億9千万(2015年)に対して、スターバックスは1034店舗で売上1256億6千万(2014年3月期)なので店舗数ではドトールグループの方が上ですが、スターバックスは2倍近く売上があります。スターバックスの方が単価が高いことは予想できますが、さすがにこの売上差は店舗あたりの来店数にもかなりの差があるのではないかと推測されます。

店舗数

売上高

※(単位 百万)スターバックスは2014年度の数値。ドトールグループは店舗数は2016年の数値、売上高は2015年の数値を使用

訪れる人によって提供する価値が異なるスタバ

何故こんなに集客力があるのかというと、スターバックスは訪れる客層によって提供する価値が異なるからです。例えば放課後のスターバックスは女子高生の溜まり場(筆者は放課後の学生をマクドナルドからスターバックスが奪ったと思っています)になっていますが、彼女たちにとってのスタバはフラペチーノを提供するスイーツ店です。今の季節、スタバにいる学生を見ると、みんな新作フラペチーノを片手にお話しに来ています。
そして、ノマドな人たちやフリーランス、ビジネスマンにとってはwifiや電源もあるので仕事場になっていますね。
私はこの2タイプがスタバの2大顧客層だと思っているのですが、さらにここから都市部か郊外かによって、客層が分かれてきます。都市部であれば軽いランチを取りに来るOLさんや、簡単な商談をしているビジネスマン、郊外であれば買い物の途中で休憩しにきた主婦や、勉強をしに来た学生などなど。これらの人は、スタバという一つの存在をそれぞれ違う確度から見ているのです。

■みんなにとってのスタバ

女子高生
フラペチーノを提供するスイーツショップ
求める価値は「美味しいフラペチーノ」
ノマドやフリーランス
仕事をするところ
求める価値は「Wifiと電源」
ビジネスマン
簡単な打ち合わせをしたり、営業の間に一息つく
求める価値は「緩和剤としての珈琲」
OL
ダイエット中なのでスタバで簡単にランチを
求める価値は「高いから1個しか買えないサンドイッチ」
買い物途中の主婦
買い物の途中に一息つく
求める価値は「おやつとしてのスイーツ」
勉強をしに来た学生
スタバを勉強部屋として使用
求める価値は「長時間座れる机と椅子」

このようにスタバはそれぞれの顧客の望む価値を提供しているのです。打ち合わせするビジネスマンは、会話の緩和剤としてコーヒーがあれば良いのでフラペチーノは頼みません。ノマドやフリーランスもスタバの使用頻度が高いので、単価の高い飲み物よりはWifiと電源を求めます。

それでは、ドトールはどうかというと、これらの顧客の中でビジネスマンとOLの要望しか満たせないのではないでしょうか。フラペチーノのようなキラースイーツがないので学生は集客できないですし、wifiや電源環境も万全ではないのでノマドやフリーランスも来ません。長時間居づらいので、勉強をしに来た学生にも不向きです。(最近は白ドトールという電源完備のゆったりとしたドトールも増えているようですが)

ということで、スタバの強さというのは、それぞれのニーズに合わせた価値をちゃんと提供できているというところにあるんですね。これはコーヒーショップという店舗以外にも応用できる話で、例えばWebメディアにも同様のことが言えます。趣味嗜好の違う人向けにたくさんの記事コンテンツを用意することで自分のお気に入りの記事を見つけてもらい、ファンを増やして行くという手法です。

音楽メディアの「ナタリー」は、音楽やアーティストに関するオールジャンルの記事コンテンツを大量に発信していますが、代表の大山氏の著書の中でもこのような形で語られています。

見つけた話題にフィルターをかけず、可能な限り全部のニュースを紹介するのが自分の理想だ。そもそも送り手が受け手の欲しいものを把握するなんてことは不可能だし、もしそれができるとおもっているなら送り手側の傲慢だと思う。
(中略)
「ナタリーって○○だよね」というイメージも、読んだ人の数だけあればいい。我々は徹底的に無色透明な存在でありたいと思っている。

とうことで、一定のジャンルはくくりながらも、可能な限り全方位の価値を提供することが集客の最大化に繋がるということでした。ただ、スタバはこの状態を最初から狙ったわけじゃなくて、なんとなく成り行きな部分も含むのではと思っていますが。

▼オウンドメディアの企画運用を承っております。お問い合わせはこちらまで
https://torino-inc.jp/

参考URL
https://www.doutor.co.jp/about_us/ir/report/kessan.html
http://www.starbucks.co.jp/ir/highlight/

スターバックスに学ぶ、ネーミングで商品を良く見せる方法

スタバが日本に上陸した時、行きづらかった理由

スターバックスが日本に上陸した当時、なんだか行きづらい敷居の高さがあって「これで安心。スターバックスで注文する方法」なんていう記事もありました。その理由のひとつが、スターバックスの特殊なネーミングでした。それまで日本のチェーン店のカフェでドリンクをオーダーする場合は、S、M、Lというサイズ表記でしたがスターバックではそれが、ショート、トール、グランデという拡張高いものになっていたからです。(ちなみにグランデの上はベンティだそうで)

このように、なじみのないネーミングを使うことによって「それが分かる人」と「分からない人」たちを隔てて、あたかも「分かること」が特別な様に思わせることは一種の策略のように思うわけです。これはよくラグジュアリー雑誌にも見られる傾向で「○○○○(高級ブランド名)の職人たちが生み出すクチュールは、オーセンティックなパリのメゾンにも絶大な支持を受けてきた。」みたいな耳慣れない単語が、一般常識のような感じで書いてあるのです。この単語を理解出来る人たちが、うちの顧客ですよという内なるメッセージですし、一度それが分かるようになれば「コミュニティの内側に入った気持ち」が味わえるので、商品やブランドに対しての親近感が湧きます。

栗をあえてマロンと呼ばない妙

さらに、スターバックスのネーミングは別の意味でもすごくセンスがあります。毎度シーズンごとに発売される商品名は「ちょっと分かるけど、ちょっと分からない」単語を含む絶妙なネーミングで特別感を演出しているのです。

「ロースト ナッティ チェスナッツ フラペチーノ」

ローストしたナッツと栗(チェスナッツ)のフラペチーノなのですが、分かりやすく書くのであれば

「ロースト ナッティ マロン フラペチーノ」

ですよね?でも、チェスナッツって言われるとなんだか、今まで飲んだことのない未知の美味しそうな飲み物に感じるのです。
他にも並べてみるとこんな感じで、なんか意味が取れないけど美味しそうな何かが想起される単語(下記【】部)が入ってる新商品が多いのです。

「チョコラティ 【クランブル】 ココ」
「クランチー キャラメル 【トフィー】 ラテ」
「【チャンキー】 クッキー フラペチーノ with チョコレート チップ」

【クランブル】も【トフィー】も【チャンキー】も、それの実態が何なのかはよく分からないけど、何か美味しそうなんですよね。
この「マロン」をあえて「チェスナッツ」と呼ぶ感じのおしゃれ感は、実態よりも良い物なんじゃないかと膨らます効果があるわけです。

さらに例を挙げると、その昔発売されたニンテンドーDS Liteのカラーバリエーションがどんな名前だったか覚えていますか?
こんな感じで、やっぱり良い感じを醸し出す形容詞や名詞(下記【】部)とセットになっているのです。

【メタリック】ロゼ
【グロス】シルバー
【ノーブル】ピンク
【アイス】ブルー
【クリスタル】ホワイト
【エナメル】ネイビー

ということで、名称を付けたりするとき、この【】に該当する良い感じのフレーズと合わせると、期待感を煽ってすごく良い物な気がするというお話でした。

最後に、横浜の野毛に「三陽」という餃子で有名なお店があります。こちらです。

e997a3bf出典:http://blog.livedoor.jp/nuk0926mas-eatdrinkwalk/archives/30582994.html

この「楊貴妃も腰抜かすギャルのアイドル チンチンラーメン」という名称もそれはそれで凄いのですが、この写真を見ると分かる通り、店の外にも簡易的な椅子がこのように前は置いてあったんですね。一度ここに通されたことがあったのですが、その際店員さんが「テラスご案内〜」って言ったんですね。この簡易的な椅子と簡易的なテーブルの集合体を【テラス】っていうおハイソなネーミングでくくれるそのセンスが凄いなと思いました。

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