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個人開発でも15万ダウンロード超!「レガシーコスト -やりこみ系RPG-」製作者さんインタビュー

前回「プロから素人へ、企業から個人へのパワーシフト。素人革命の本質とは」では、従来プロの領域と呼ばれていたクリエイターの世界に、個人クリエイターが「新しい視点を持ったコンテンツ」を持って参入し、そこでファンを獲得しながらファンのフィードバックにさらされて常に進化し続けているという現状をお伝えしました。

今回は、Appstore、Googleplayにて15万ダウンロードを記録したスマホゲーム「レガシーコスト -やりこみ系RPG-」の製作者であるKotehanさんにインタビューをお届けします。

「レガシーコスト -やりこみ系RPG-」は、10億ゴールドの借金を負ってしまった主人公が、借金返済のために冒険の旅に出るRPGゲームです。といっても、自動戦闘タイプのRPGであるため、特に自分でタップしなくても出現する敵をさくさく倒して進んでいくゲームシステムとなっています。売上は非公表ですが、一時はGoogleplayの売上ランキング300位前後をキープしており、その周辺には大手のゲームデベロッパーが手掛けたゲームタイトルが並んでいます。

一見簡単なゲームのように見えますが、プレイを進めるうちにやりこみ要素が出現するため、総プレイ時間が2,000時間に上る設計となっています。ゲームプレイヤーの中でも、コアな層に向けて作られたというこのタイトルは、リリースしてから「4か月で60回以上アップデートして機能を追加しまくった」そうです。平均して1週間に3.75回のアップデートをかけたということであり、企業が出しているゲームであれば、この頻度でのアップデートは難しいでしょう。

トリブログ そもそも、ゲームを作られようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

Kotehan


2015年夏頃にリリースされた勇者の塔をプレイしてみて、感化されました。それまで一つもスマホゲームは触ったことありませんでしたが、クリッカーゲーム特有の中毒性もあり、かなりハマりました。一作目のオイハギノモリはその影響でクリッカーゲームになっています。



トリブログ 2015年まではスマホゲームを触ったことがないということは、幼少期からその時にいたるまではコンソールゲームなどをプレイされていたのですか?コンソールゲーム機において影響を受けたゲームソフトや、もしくはゲームクリエイター自身に憧れていたということはあったのでしょうか?

Kotehan


高校生くらいまではコンシューマゲーム(DSとかPSPとか)をしていましたが、それからはMMORPGのみやってました。PRGのネトゲにありがちなシステムが多く導入されているのも、その影響です。
ゲームクリエイターに憧れていたかどうかはわからないですが、小中高のなりたい職業欄には全部プログラマーと書いていました。


トリブログ ゲームを作られていた中でご自身で初めて「ヒットゲームを出せたな」という風に体感されたゲームのタイトル、またエピソードがあればお聞かせください。

Kotehan


レガシーコストがAndroid/iphone累計15万DLくらいなので、ヒットしたという感じはないですが、一作目よりは大きく伸びたのでよかったですね。





トリブログ 逆に失敗談などはありますか?

Kotehan


振り返ってみると、アップデート時のデバッグが甘すぎたなという失敗談があります。アクティブユーザが多いと、即修正版をアップしたとしてもバグの内容によっては多大な影響があるので、入念なデバッグが必要だと思います。(いまだにできていませんが)

 


トリブログ「レガシーコスト -やりこみ系RPG-」は、本当にやり込み要素が細かく、ネット上にも攻略動画が投稿されるほどです。リリース後細かく改善を重ねられたようですが、リリース時にヒットとなる予感はありましたか?

Kotehan


そういうのは全くなかったですね。基本的に思い付きで次々に新機能を載せていたら、結構大きいボリュームのゲームになっていたという感じです。思い付きで実装して失敗した機能も何個かありますが。

 

 

トリブログ お話を伺っていると、マーケティング的なセンスをお持ちなのだと感じます。マーケティング的にこの領域がいけるのではないというロジックと、こういうゲームが面白いと思う、作ってみたいという直感的な感覚はどちらを大事にしていますか?

Kotehan


自分が面白いと思えるものであれば自分と似たようなユーザにも面白いと感じて貰える可能性が高いと思って作っています。なので、論理的にゲームを作っているのではなくどちらかというと直観に頼っています。
マーケティングについては、ゲームが完成してからプラスアルファで動画報酬や課金アイテムを用意するようにしています。
私のゲームは93%くらいの方々が無課金でプレイしていまして、基本的にはすべてのコンテンツが無課金で十分遊べるようにしています。

(トリブログ注:ゲームは無料プレイでも経験値を積めば先に進める設計にはなっていますが、逆に7%もの課金ユーザーが存在するというプレイヤーの熱量の多さに驚きます。)


トリブログ 今後個人ゲームクリエイターにとって、有望だと思われるゲームのセグメントはありますか?

Kotehan


個人的に、一発ネタみたいなカジュアルアプリは相当奇抜なコンセプトのものか、影響力のある人間が宣伝する前提がない限りは伸ばすのは難しくなってきたんじゃないかなと思います。
今後有望なものというのは、ちょっと難しいですね。ただ逆に、皆がこぞって開発し始めたゲームジャンルは危険信号だと思います。
あとは「このジャンルがいけるらしい」みたいな感じで、自分が本来作りたいものではないジャンルに手を出すと高確率で失敗すると思います。


トリブログ ”自分が本来作りたいものではないジャンルに手を出す高確率で失敗する”と思われる理由を可能であればもう少し詳しく教えて頂けますか。

Kotehan


あくまで個人開発の話ですが、端的に言うとモチベーションが保てないからです。作りたくないものを作っているのは苦痛ですので、面白いゲームを作るのは難しく、結果的に失敗するのだと思います。

 

 

トリブログ 個人で活動するゲームクリエイターが持っていた方が良いと思う資質がありましたら、お聞かせください。

Kotehan


ゲーム開発は没頭できないと途中で飽きて未リリースに終わることがよくあるので、作り始めたら寝食を忘れてのめり込むことです。

 

 

トリブログ ”未リリースに終わることがよくある”という点においては、準備万端にした状態でプロダクトをリリースすべきだと思いますか?それとも、リリース後の運用に重きを置くべきだと思いますか?

Kotehan


万端にしてからリリースする開発者の方が多いように思いますので一般的かどうかは分かりませんが、自分はリリース後の運用に重きを置いています。細かくユーザの要望などを取り入れながら、方向を微調整していけるので自分には合っています。



インタビューを終えて感じたのは、ゲームプレイヤーとしての当事者意識があり、かつそれを楽しめているがゆえに自身と同じ視点を持つゲームファンを獲得出来ているのではないかということです。

リリースから半年間は「レガシーコスト -やりこみ系RPG-」の広告費はかけておらず、広告費ゼロ円で15万ダウンロードを達成しています。初期の半年間の間に行ったプロモーションは、リリース当初にツイッターで一度つぶやいたのみと言います。
前作のゲーム「オイハギノモリ」もレビューで高い評価を受けており、タイトルをリリースするごとに熱量の高いファンを獲得してきたことがうかがえます。

ゲームを好きという点においてプレイヤーと同じ視点を持っていること、その視点を以って熱量の高いユーザーにゲームを届けた上で改善し続けること、この2点が非常に重要なのではないかと気づかされたインタビューでした。


レガシーコスト人-やりこみ系RPG-
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マイナージャンルのゲームにおける、面白いけど知名度が低い問題

スーパーファミコンの時代までは、玉石混合のカンブリア紀だった

こんなまとめ記事を作ってしまうほどには、サウンドノベル好きのチュンソフト信者だった私なのですが、サウンドノベルはマイナーなジャンルです。というか、絶滅寸前かもしれません。
サウンドノベルの草分けといえば「かまいたちの夜」なのですが、1994年に発売された当時は135万本も売れたのです。(今となっては、延々文章を読ませるサウンドノベルが、このレベルで売れることはもうないでしょうが。)

サウンドノベルに限らずミステリー系のアドベンチャーゲームが大好きなのですが、これらのカテゴリはゲーム界においてマイナージャンルであるために「面白いけど知名度が低い」作品が多いという特徴があります。
この現象を加速する要因はスマホにあると思っているのですが、スマホがゲームをするメイン端末になる以前は、そもそも「ゲーム」というカテゴリ自体が、ゲーム嗜好者のための娯楽であって一般向きではありませんでした。ファミコンが出た当時、「マリオブラザーズ」など万人向けするソフトもありましたが、一方で「これ誰が買うんだろう」というマイナーなゲームも多かったのです。(課長島耕作のスーファミのソフトを中古ショップで発見したことがあります。誰が買うんだろう。)
おまけに今のスマホのゲームと比べると難易度も高く、家族向けに作られたはずの「マリオブラザーズ」ですら、だいたいワールド2の砂漠面あたりから進めなくなるのですが、「スペランカー」のようなクリア出来た人が希少という難易度の高いゲームもけっこうありました。

クリア出来る人が少ないということは、プレイヤーも限られますが、当時のゲームソフトは8,000円〜12,000円くらいの価格帯だったため、多分十分にビジネスとして成り立っていたんですね。その結果、先ほどの「島耕作」や「じゃりん子チエ」のゲームという「それ誰がやるの?」っていうソフトがたくさんあって、なかなか楽しかったのです。ゲームカンブリア紀といっていいかもしれません。

任天堂の努力と、とどめのスマートフォン

その後、ハード機のトレンドが任天堂のスーパーファミコンからソニーのプレイステーションに移行して高機能化した結果、やはりゲームをするのはゲーム嗜好が強い人という傾向が高まっていきます。(が、このへんから親切設計になって攻略本がなかったとしても万人がクリアできる仕組みになったり、マルチエンディングシステムが取られるようになるます)
それを再び“家庭用ゲーム機”に引き戻したのが任天堂のWiiです。リビングに置いていてもお母さんに嫌われないゲーム機というテーマで、家族みんなで楽しめるフィットネス系のゲームソフトも登場しました。
さらに、その後スマートフォンが普及した結果「スキマ時間にゲームをプレイする」という需要が生まれて、ゲームという娯楽そのものが一般に解放されてコモディティ化していったのです。

それにより、一番変化したのは「主流となるゲームのジャンル」でした。今スマホゲーム等で主力のジャンルといえばなんでしょうか。圧倒的にパズルやクイズですよね(パズルやクイズをソーシャルゲームというスマホの新しいゲームシステムに載せて提供しているわけです。)しかし、パズルやクイズゲームは、家庭用ゲーム機が主流だった時代はマイナーなジャンルで、その頃の主力は格闘技やRPGなどでした。しかし、ハードがスマホに代わり「スキマ時間に万人ができる」という需要にマッチする、パズルやクイズといったライトゲームが一気に主流になったのです。

生きていけなくなったマイナージャンルのゲーム

「モンスターハンター」シリーズなどの人気タイトルは、家庭用ゲーム機においても生き残っているのですが、サウンドノベルや推理アドベンチャーゲームの類いは、どこで生存すれば良いのか?という問題が生じます。チュンソフトが2008年にWiiにて「428 〜封鎖された渋谷で〜」というゲームを発表したのですが(なぜサウンドノベルなのにWiiなのか)、7.5万本しか売れませんでした。
ちなみに学生時代に毎日一緒にゲームをやっていた友達と「今までやっていたゲームで何が一番面白かったか?」を同時に言ってみたところ「クロス探偵物語」というソフトで一致しました。これも推理ゲーム界の知る人ぞ知る的なゲームなのですが、採算的にはあれだったようで、第2弾が出るという告知まで行なわれていたのに、第2弾が出ることはありませんでした。
そんなこんなで「最近は面白いアドベンチャーゲームないな。」と思っていたら、交渉人の主人公になって、犯人と交渉を行なう「銃声とダイヤモンド」というゲームがおすすめだとネットにあったので、少し実況動画を見てみました。これが、めちゃくちゃ面白いんですが、例に漏れずこのゲームもあまり売れなかったようなのです。ひっそりと生息していたアドベンチャーゲームは、このままなくなってしまうのでしょうか。

アドベンチャーゲームに、万人受けする要素を足す

しかし、推理系のゲームで最近大ヒットしたパッケージが1本だけありまして、それが「ダンガンロンパ」シリーズです。超高校級の高校生たちが校内に閉じ込められ、脱出するためには誰かを殺して学級裁判で犯人だと暴かれないようにするという推理要素満載のアドベンチャーゲームです。すでにシリーズ2作とスピンオフ1作品が作られていて、シリーズ第3弾も発表されています。

この「ダンガンロンパ」と、前述に出て来た「クロス探偵物語」「銃声とダイヤモンド」の画面を見ると、違いが一目瞭然です。「ダンガンロンパ」はアニメ風のキャラクターが登場し、それぞれに濃いキャラ設定があります。さらに、校内でのコロシアイを仕切るのは、モノクマという一見可愛いキャラクター(声は大山のぶ代)。このゲームから推理要素を抜いたとしても、十分にアニメコンテンツとして成立する設計になっています。
一方の「クロス探偵物語」と「銃声とダイヤモンド」は、イラストからして写実的なものになっており、そもそも推理アドベンチャーゲーム好きにしか響かない見た目なんですね。
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出典:http://ameblo.jp/adoventure-kenkyu/entry-10273909795.html
ミステリーゲームで最も面白いと思う「クロス探偵物語」

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出典:http://www.jp.playstation.com/software/title/ucjs10092.html
息詰まる犯人との交渉がたまらない「銃声とダイヤモンド」

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出典:http://gameline.jp/danganronpa/
個性的なキャラクターたちも魅力の「ダンガンロンパ」

推理アドベンチャーという土台に、アニメっぽいキャラクターや個性的な声優を組み合せることにより「ダンガンロンパ」は推理アドベンチャー好きの顧客以外にアピールすることが出来た結果、推理ゲームをやったことがない層がプレイして「面白いじゃん」となったのかと思います。ということで、以前ブログに書いた、何かの世界で常識になってることを別のどころでアピールするには、井戸から取り出してリパッケージする必要があり、このリパッケージの工夫が大切なのかなーと思います。
個人的には、この写実主義の推理アドベンチャーゲームが大好きなのですが…。