9割以上の人は、事業・サービスを運用する人
学生の方を中心に、自分が何をやりたいのかよく分からないという悩みを聞きます。その悩みの一助になればと、仕事を体系的に分類してみました。まず、この表をご覧ください。これは、ITでも製造でもサービスでも何でも良いのですが、一つの事業・サービスが立ち上がって成長していくまでの図です。順番に説明していきます。

1.ゼロからイチを立ち上げる~事業の芽生え~
何もないところから、事業が立ち上がるタームです。アスファルトを破って植物が咲いていたりしますが、あのイメージに近いです。
2.立ち上げた事業が伸びる
ゼロからイチになった事業を、2、3、4、5、と伸ばしていくタームです。出来たばかりの新規事業・サービスは生まれたての赤ちゃんですから、毎日気が抜けません。高速でPDCAを回していき、顧客にとって完全だと思える商品に固めていきます。
3.ギャズムを超える
ある程度普及した事業・サービスにドライブをかけて、ギャズム(一般の人々が使う前に存在する壁のこと)を超えるタイミングです。事業の形は固まっていますから、他業種との提携や買収、プロモーション、営業等のマーケティング戦略が重要になってきます。
4.一般に普及し、成熟した事業・サービスを経営する
一般に普及し、マネタイズのサイクルも回っている事業の経営をします。引き続きマーケティング戦略が重要になります。
5.成熟した事業・サービスの運用
ギャズムを突破して成熟に入った事業・サービスを運用します。規模が多ければ多いだけ、ここに多数の人材が必要になります。運用と呼びましたが、事業継続に必要な部隊全体をそう呼びます。運用、営業、カスタマーサポート、財務・経理、プロモーション、等々細かいセクションに分けて人が配分されます。
ということで、事業・サービスはこの5つのタームに分かれます。そして、どのタームに参加したいか?ということが、すなわち何の仕事をしたいかになります。
そして、何をしたいか分からない人は、5.「事業・サービスを運用する人」に属しているのです。
5.「事業・サービスを運用する人」
物理的に必要とされる人数が多いのがこのグループです。そして新卒で入社した人たちが配属されるのも、もちろんこのグループです。このグループの中において、「事業の内容にこだわるORこだわらない」か、「やることの内容にこだわるORこだわらない」というのがあります。
これを図にすると、以下の4種類になります。

a.事業の内容とやることの内容、どちらもこだわる
b.事業の内容にこだわるが、やることの内容にはこだわらない
c.事業の内容にはこだわらないが、やることにはこだわる
d.どちらもこだわらない
このうち、aは何をしたいか分かっている人なので除外します。そして、bの人は目的の事業はあると思うので、とりえず目的の事業者の採用状況を調べてみたら良いと思います。cについては、同じ職種でも様々な業種に散らばっている可能性があるので、専門のエージェントに相談してみると良いかもしれません。そして、dの人はこだわらないというか、何をやりたいのか分からないということだと思います。
このカテゴリの人は、悩むだけ無駄かなと思います。メロンパンって美味しいかなって悩むよりは、食べてみて口に合うかどうかを試した方が早いです。で、口に合わなかったら違うパンを食べればいいのです。なので、若い人はえり好みしないで飛び込んでしまった方が良いと思います。想像と実態は違いますから、体で実態を確かめた方が、万が一「やっぱり違かった!」と思っても、次の職を選ぶためのアンカーになります。
事業を立ち上げるのは、Stay Foolishな人。成長させるのは秀才。
ということで、5.以外の人々についても解説してみます。この人たちは、目的意識がはっきりしている人たちです。3.4「事業・サービスのギャズムを超えさせて、経営する人」
ある程度育ってきたサービスを一般に普及させ、成熟期に入って以降も市場の波をよみながらコントロールする人です。経営、金融、マーケティングの知識に長けた大人が担うべき役目です。googleにおけるエリック・シュミット、日本でいえばマクドナルドの社長、原田泳幸さんが当たるのではないでしょうか。このカテゴリに属する人は、爆発的に市場に商品を拡大させる目的なので、あまり事業・サービスに対する好みで選ばず、事業・サービスの潜在的な可能性を重視しています。
蛇足ですが、成熟に入った事業・サービスのかじ取りをしているのは、このグループの人なのですが、たまに「5.事業・サービスを運用する人」が、ものしり顔に俺がやったった。って言っている場合があります・・・。
1.2「ゼロからイチを立ち上げ、伸ばす人」
起業家に該当するグループです。世の中の空気を読み取って、まだこの世に存在しないモノを生み出すので非常にリスクが高く、大変です。ゆえに、ジョブズ言うところの「Stay Hungry. Stay Foolish.」の人たちがこのグループに属します。日本の起業家の人を見ても、大学を中退している人がけっこういます。この分野に挑戦する人は、ものすごく確率の低いギャンブルをすることになるので、自分が心底打ち込める物事をする傾向があると思います。
まとめ
まとめると以下のようなことになります。9割以上の人たちはココ⇒5「の事業・サービスを運用する人」
全体の1割未満に属する高学歴エリート⇒3.4「事業・サービスのギャズムを超えさせて、経営する人」
Stay Hungry. Stay Foolishな人1.2「ゼロからイチを立ち上げ、伸ばす人」
繰り返しますが、とりあえず何やろうか悩んでいる人は、本が好きだから編集とか、何かを進めるのが好きだから営業とか、そういう安易な考えで飛び込んじゃってはいかがでしょうか。きっとよくよく考えても結果はそれほど変わらないし、飛び込むタイミングが早い方が学びも早いと思います。