※画像出展:http://cgworld.jp/regular/animecg/cgw178-kyojin.html
口コミの図は、複雑系ネットワークといふ
今年の6月に書いた「口コミの正体」が、佐々木俊尚さんのおかげでたくさんの方に読んで頂けました。ちょっと補足して色々説明しようと思います。このエントリでご紹介したハブ(インフルエンサー)から情報が広まる図ですが、この図はインターネット以外の情報伝達においても同じ経路になります。この情報伝達のネットワークのことを「複雑系ネットワーク」と呼びます。

噂や病気など、人から人に伝わる伝達は、必ずこの複雑系ネットワークと呼ばれる経路を経由しているのです。また、これをインターネットのサイトに置き換えても同じことが起こります。Yahooはハブ(インフルエンサー)で、大量に他のサイト(ノード)にリンクを貼っています。インターネットの構図を上から俯瞰しても、やはりこの複雑系ネットワークの形になるのです。
インターネットの登場が、身長100mの巨人を編み出した
インターネット登場以前は、いくら知り合いが多いといっても、1人あたりの知り合いの数なんてたかが知れていました。せいぜい数百人から数千人です。これをグラフにするとベル型カーブになります。知り合いが1人しかいない、あるいはいないという人はごく少数、そして平均的な数の知り合いを保有する人々が一番多く、数百人以上の知り合いを持つ人はほんのわずかです。このベル型カーブは、クラスメイトの身長分布や50M走のタイムでも姿を現します。
左:ベル型カーブのグラフ 右:べき乗型カーブのグラフ
しかし、インターネットの登場により、身長100Mの巨人が練り歩くような世界になりました。ベル型カーブが崩壊し、身長100Mの巨人が現れるようになったのです。(これをべき乗のグラフ(右側)と言います。)つまり、フォロワーが数人しかいない人々がたくさんいて、フォロワー数が100万人以上いる強力なインフルエンサーがごく少数いるのです。インターネット以前は、100万人もの人たちに一瞬で情報を伝えるツールなどありませんでした。
おまけに、リアル世界の口コミには、距離による物理的制約がありました。しかし、インターネットは、その物理的制約を飛び越えることが出来ます。
身長100Mの巨人が現れて、距離による物理的制約が外れた結果、何が起こってもおかしくない世界になったのです。このへんは、「ブラックスワン」等に詳しい記述があります。