均質化する世界、陰影はどこへ行ってしまったのか?

andon

谷崎潤一郎は、日本文化は陰影から生まれたと言ふ

そのむかし、国語の教科書に谷崎潤一郎の「陰影礼賛」(いんえいらいさん)というエッセイが載っていました。

かなりうろ覚えですが、電灯がなかった時代、ローソクの火で照らされる漆塗りの漆器が美しかったこと等を例にあげて、「暗さ」によってもたらされる日本の文化や美について書かれていました。ウィキペディアで検索したところ、こんな風に解説されていました。

まだ電灯がなかった時代の今日と違った美の感覚を論じたもの。こうした時代、西洋では可能な限り部屋を明るくし、陰翳を消す事に執着したが、日本ではむしろ陰翳を認め、それを利用する事で陰翳の中でこそ生える芸術を作り上げたのであり、それこそが日本古来の芸術の特徴だと主張する。

そう言われてみると、リアリティを追及するNHKの大河ドラマは、全体的に夜のシーンは真っ暗だったりしていて、昔はこんなだったのかと思うことがあります。そういえば、闇鍋なんていうものもありました。

翻って考えると、今は天井に漏れなく設置されたシーリングライトが、パーっと全体を照らしているかのようです。

昔の深夜テレビってもっとシュールだったりエッチだったり、子供は見てはいけないコンテンツがたくさんありました。夜中の12時代に放映されている番組は、かなりディープなものばかりでした。現在では夜中の12時にテレビのスイッチを付けても、万人受けするバラエティや情報番組が流れています。

ゴールデンタイムのテレビについても、昔は「宇宙人はいた!」とか「徳川埋蔵金」とかうさんくさいものを平気で放映していましたが、だんだんクイズ番組やら世界の秘境になって誰でも安心して見られる番組ばかりになりました。

昔のテレビ番組は、踏み入れることを躊躇するような闇の部分がけっこうあったのですが、いつの間にかライトでくまなく照らされて、そういうコンテンツがなくなっていったように思います。
その結果、全てが平均的な明るさになり、平均的で健全な面白さを提供してくれるようになり、そして平均的につまらなくなっていきました。

どれもこれも平均的なので、何かと差別化するポイントもありません。差別化するポイントがないということは、あえて「それ」を選ぶ理由もないということです。

リアル世界でもなくなっていく陰影

うさんくさい番組がなくなった原因のひとつは、インターネットの発達もあるかもしれません。インターネットが発達したおかげで、「宇宙人はいた!」とかをやったとしても、誰かが既にネット上で検証しているかもしれないし、誰でもNASAの公式見解を見たり、ウィキペディアで歴史を紐解くことが出来るため、すぐに嘘がバレてしまうからです。

そして、インターネットというシーリングライトは、現実の世界をもくまなく照らします。ツイッターがバカ発見機と言われ、軽犯罪に触れる行為をした人たちは、ネット上に残したわずかな情報から、氏名、住所、学校や勤務先を特定してネット上でさらされてしまいました。

Facebookやツイッターをやっている人は、漏れなく自分が壊滅的なダメージを受けるほどの個人情報が流出する危険性を常にはらんでいるのです。
まるで、隠れるための影がなくなって、ライトで照らされた部屋の中をウロウロしているようです。しかし、多くの人たちは、そこに隠れるための影がなくなっていることにすら、気づいていません。

それってとても窮屈なことじゃないでしょうか。コンテンツでもインターネットの中でも、世の中でも、少しくらい隠れて休める場所や、影のある部分があったほうが、余白があってやりやすいのではないかと思います。いろんなことがどんどん精鋭化して、均質化した先に来る未来って、けっこう暗いと思うのです。



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