10万部も伸ばしたファッション誌「CLASSY」に見る、コンサバの終わり

8年で10万部近く伸びたファッション誌

前回のブログでは「Webに置き換えが可能な雑誌は、著しく部数を減らしている」というテーマを掲げつつ、雑誌を雑貨として見立てて成功した「Hanako」の事例を紹介しました。

前回「Hanako」をひとつの成功事例として紹介しつつも、実はこの8年のうちに10万近く部数を伸ばしている雑誌があります。
光文社の「CLASSY」というファッション誌です。2008年時には19万8千部でしたが、2015年には29万7千部となっています。同じく光文社の「VERY」も2008年時の23万7千部から2015年には31万1千部と大きく部数を伸ばしています。特徴は、どちらも30代以降のためのファッション誌であるということです。「CLASSY」は20代後半〜30代前半のアラサー世代を対象にしており、「VERY」は40前後の既婚女性を対象にしています。この2つの雑誌の発行部数を見るとこのように、右肩上がりになっているのです。

グラフ1

さて、部数を伸ばし続けた要因として考えられるのは「雑誌世代だった20代の読者が大人になり、30代以降向けの雑誌に移ってきた」ということかと思います。試しに、20代向けのファッション誌「ViVi」と「JJ」の発行部数を、さきほどの2誌のグラフに重ねて見ると、20代向けの雑誌の落ち込みと比例して入れ替わりに部数が伸びているように見えます。

グラフ2

雑誌に慣れ親しんだ世代の一定量は、そのまま30代向け、40代向けのファッション誌にシフトしているのです。

コンサバの時代が終わり、ベーシックが台頭した。

「CLASSY」と「VERY」、その他のファッション誌を見ていて思う事は、コンサバが終わりベーシックの時代が来たということです。コンサバの定義とは、かつて80万部を誇っていたころの「Cancam」のエビちゃんに代表される「男受けを意識したコンサバティブ(保守的)なファッションスタイル」を指します。このコンサバティブの反対語はアバンギャルド(前衛的)です。つまり、コンサバファッションというのは、アバンギャルドなファッションに対してポジション取りといえます。当時は原宿系という個性的なファッションが台頭しており「sweet」も発刊当初はもっと原宿系のファッションを扱った青文字系雑誌であったと記憶しています。
コンサバファッション(保守的)を扱う赤文字系雑誌に対応して、アバンギャルド(前衛的)なファッションを扱う青文字系雑誌というポジション分けがあったのです。

2000年代後半には、このコンサバ(赤文字系)とアバンギャルド(青文字系)の境目は薄れていき、やがて消滅します。2000年代後半から赤文字系ギャル雑誌「ポップティーン」の看板モデルだった益若つばさが「渋原ミックス」という渋谷と原宿をミックスした着こなし(109のショップの服だけでなく、ラフォーレ原宿内のショップのファッションも組み合せる)をするようになり、やがて両者の垣根は消えていくのです。
そして、アバンギャルド(青文字系)なファッションもシュリンクしていきます。この雑誌の代表格である「Zipper」は15万9千部の部数がありましたが、2015年には6万2千部と半分以下に部数を減らしており、ライバル誌だった「CUTiE」は廃刊しています。現在のファッションのメインストリームは、アバンギャルド(前衛)に対してのコンサバ(保守)ではなく、総じてベーシックになっているのです。

ファストファッションの台頭とベーシック化がもたらしたもの

最近ファッションブランドのショップを見ていて思うのが、どこに行っても商品のラインナップがさほど変わらないということです。例えばこのブログを書いているのは2015年の冬ですが、今ショップに行ったら間違いなくチェスターコートがどのショップにも並んでいるでしょうし、スカートはハリ感のあるおおぶりのスカートがラインナップされているはずです。昔はブランドごとの特徴がもっとあったように思いますが、どこのショップを覗いても陳列されているアイテムが均一化されていて、ブランドごとの差異がなくなっているように思えます。ある意味アパレルブランド全体がファストファッション化しているように見えるのです。

ベーシックとファストファッションはニワトリと卵のような関係です。ファストファッションの店舗には、ベーシックで均一化されたアイテムが並んでいます。ベーシックアイテムがマジョリティになったからファストファッションが台頭したのか、それともファストファッションが台頭したからベーシックが広まったのか、ニワトリと卵のような関係なのです。

赤文字系 そして”ベーシック”は先ほどの「CLASSY」に高頻出で登場する単語です。過去には「ベーシックって素晴らしい!」という特集も出しています。そして、「CLASSY」をはじめとする女性誌に近年よく登場するワードがこの2つです。

・こなれ感
・抜け感

こなれ感は、コーディネイトにナチュラルさを出すという意味で、ワントーンのスタイルの腰にチェックのシャツを巻いたり、キレイめの格好をしてわざと足元だけスニーカーを着用するなどのワンポイントの工夫を指します。
抜け感は、コーディネイトにリラックスしたポイントを作ることで、オフショルダーのニットを着用たり、わざと足首を見せるなどの着こなしを指します。
そして、これらは全て「細部のニュアンスを現した言葉」なのです。以前は服のジャンルやブランドごとの特徴がはっきり別れていたものの、今は洋服のほとんどがベーシックでくくられるため、コーディネイトとはすなわち、いかに細部で特徴を出すかというテーマにシフトしているのです。

可処分所得の低下と雑誌メディアの関係

以前は雑誌メディアといえば、読者の憧れの生活を投影するまさに「媒体」でした。しかし、可処分所得の低下とともにファッションに使える金額は減り、ユニクロやその他ファストファッション等の利用機会が増えます。「CLASSY」と「VERY」が上手なのは、高価格帯のアイテムを入れつつも、手が届く数千円台の安いアイテムをコーディネイトに取り込んでいることです。この2誌と同じ年齢層の読者を想定していながらも、何万部も部数を減らしてしまった雑誌があります。そういった雑誌を手にとると、登場する商品が、のきなみ高額なのです。

ユナイテッドアローズは、割合高価格帯のアイテムがラインナップされていますが2015年度通期の売上げは524億円(前期は525億)もあります。ファストファッションが台頭しているとはいえ、全ての手持ちの洋服をファストファッションでまかなっているわけではなく、たまには高価格帯の商品を1点買いすることもあるわけです。
「CLASSY」は高価格帯のアイテムと、低価格帯のアイテムのバランス配置が上手くいっているため、雑誌として「安っぽくないけれど手が届かないわけではない」という絶妙な構成になっているのです。
(過去には、「頼りにしてます!ZARA・GAP・PLST・UNIQLO」というキャッチが表紙を飾ったこともあります。)

今後部数を伸ばして行く雑誌とは?

しかし「CLASSY」と「VERY」がこのまま部数を伸ばすかといえばそんなことはなく、やがて年を重ねた読者たちは次の世代の雑誌へと移っていきます。この5年以内で40代後半向け以降の雑誌の部数が伸びることはあるかもしれませんが、現在の若年層は雑誌を読まない層になっているため、30代〜40代向けの雑誌の部数は、下降していく可能性が高いように思えます。

ファッションのトレンドが「ベーシック」に移り、コーディネイトが「ディテールへのこだわり」にシフトしている以上、ビジュアルで見せる誌面よりは、ECサイトの着こなし見本やキュレーションサイトの着こなし術の記事などで事足りてしまうことも、大きい要因だと言えるでしょう。

ということで、最後が暗い終わり方になって恐縮ですが、それでもこの「ベーシック」の流れをとらえて、高低両方の単価を折り混ぜた紙面構成は見事だと思うのです。

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出典
http://www.j-magazine.or.jp/magadata/?module=list&action=list
http://www.unitedarrows.co.jp/ir/finance/sales.html
http://www.cyzowoman.com/2014/02/post_11307.html

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