日別アーカイブ: 2018年4月17日

私たちが「Tポイントカードを持っていますか?」と聞かれ続けた理由

ファミマを訪れる多数派は、Tポイントカードを持っていないか、ポイントを意識していない

ファミマで「Tポイントカード持っていますか?」って聞かれてイラっとした人はけっこういると思うんですよ。一回や二回ならまだしも、行くたびに聞かれると「だから、持ってねーっつてるだろー」っていう気持ちになるのも、いたしかたないわけです。
(最近は、あまり聞かれなくなった気もしますが。)

実際にTポイントカードを持っている人がどのくらいいるか調べてみたのですが、なんと5,981万人もいるんですよ(2016年時点)。
この資料によると、日本の総人口の47%が持っている計算になります。

カルチュア・コンビニエンス・クラブの取組みについて
(Tカード/Tポイント物価指数)
http://www.stat.go.jp/info/kenkyu/sss/pdf/161014_shiryou2.pdf

しかも、20代~70代に絞ると持っている比率はさらに高いわけです。ここまで、みんなが持っている割に存在感が薄い気がするのは、Tポイントがファミリーマート他の様々なサービスと提携しまくっているため、提携のサービスに入会すると自動的にTポイントカードの機能がついてくるためでしょう。Tポイントカードを持っている意識は薄いが、結果として持っている層が多いのではないでしょうか。

ちなみに、ファミリーマートの来店客数は1日に1,000万人とあります。(2014年時点)

ファミリーマートアニュアルリポート
http://www.fu-hd.com/ir/library/annual/document/fm/fm2014.pdf

ものすごいざっくり計算すると、来店者のうちの半分くらいはTポイントを保持している形になります。
(総人口には赤ちゃんなども含まれるため、実際Tポイントを所有している割合はもっと高くなりますが、ざっくりで言うと。)

そして、店員が「Tポイントカードを持っていますか?」という問いが有効なのは、Tポイントカードを持っていてポイントを貯めているけれど、出し忘れている人です。
来店客の内訳を整理すると

1そもそもTポイントカードを持っていない(来店者のうち半分弱くらい)
2Tポイントカードを持っているが、ポイントを貯めてない(来店者のうち半分強のうちのX割程度)
3Tポイントカードを持っていて、ポイントを貯めているが出し忘れた(来店者のうち半分強のうちのX割程度)
※冒頭のグラフ参照。

ということになり、少なくとも1と2で全体の6~8割くらいは占めるのではないかと思うわけです。ということは、「Tポイントカード持っていますか?」という一言で便益を受けるのは全体の2~4割ということになります。
残りの6~8割は「毎回聞かれるとイラっとする」のクラスタなのではないでしょうか。

ということで整理すると、お客さん全員に「Tポイントカードを持ってますか?」と聞かない方が良いと思うのですが、なぜ聞かれてきたのでしょうか。Tポイントカードを引き合いに出しましたが、nanacoだとかWAONだとか、そのほかポイントの類は全て「お持ちですか?」と聞かれます。

クレームや問い合わせによって、少数派の声が大きく見える

それは、2~4割のポイントを集めている顧客によるクレームが怖いからではないでしょうか。だいたいのポイント系カードは、会計後の後付け処理が出来ない(OR大変)な仕組みになっているようです。ポイントを熱心に集めているお客さんの方が、会計が終わった後に「ポイントついてなかったよ!」というクレームが入ることが多いことは容易に想像されます。

すると、店側としては「クレーム入るから、マニュアルで”ポイントはお持ちですか?”」と全員に聞きましょうというマニュアルを作るわけです。
そうすると、来店者全員が「ポイントカードはお持ちですか?」と聞かれることになり、結果として全体の大多数を占めるお客さんの便益を下げる結果になるのです。

この、母集団の構成は少ないけど声が大きい顧客の声が通りやすいというのは、近年顕著にみられる傾向です。CMや企業が作ったプロモーションムービーなども、100万人が見て99万9,900人がOKだと思ったとしても、100人からクレームが来たら放映中止になります。

これが、私たちが「Tポイントカード(に限らず)ポイントカード全般を持っていますか?」と聞かれ続けていた理由かと思います。この原因をさらに一歩深掘ると、担当部署(あるいは管理者)が上から怒られたくない、ということになります。
「ポイントカードを持ってますか?」と聞くオペレーションを止めて、数百人から「ポイントカードを出し忘れた。」というクレームなり問合せが来た場合、上から怒られるのは担当部署だからです。
大多数の人たちが「ポイントカード持ってますか?」と聞かれたくないと思っていても、サイレントマジョリティの声は可視化されないので、見えやすいクレームや問い合わせを優先して対応してしまうわけです。

ゆえに、こういった事象を解消するには、経営層くらいまで上の人たちが「サイレントマジョリティ」を大切にした方が良いよね。という意識がないとなかなか難しいのかと思います。

ちなみに、問い合わせやクレーム対応回避以外で、いちいち聞く場合もあります。それはポイントカードなどの販促をしたい時です。マルイなどは、クレジットカードの収益構造が大きいため、毎回マルイのカードを持っているか聞かれますし、持っていないと都度営業をかけられます。これも、人によっては止めてほしいと思うでしょうが、企業にとっては販促活動なのです。