日別アーカイブ: 2017年12月12日

日本のメーカーが商品を多機能化するのは、内向的なせい

日本のメーカーの商品が多機能になる理由

日本のメーカーが内向的だとタイトルで言い切っているわけですが、内向的なんですよ。内向的というのは、内気とかおとなしいという意味ではなく、外交的が自分よりも外に対して興味あると定義した場合に、外よりも自分に興味あることを指します。

この場合の外というのは、すなわち顧客のことなので、日本のメーカーは

外(顧客)のことよりも自社のことに興味がある

ということになります。

日本のメーカーが出す商品は、多機能であることは間違いありません。炊飯器にしろ洗濯機にしろレンジにしろボタンがたくさんついていて、やれることがたくさんある結果、結局何をやったら良いのかよく分からなかったりします。

なぜ多機能になるかと言えば、外(顧客)を見ないで自社のことばっかり見てるからです。例えばチョコレートを開発するとしましょう。商品開発会議において、

「最近低糖質流行ってますよねー。ニーズありそうです。」

ということで、低糖質という機能を入れ

「リッチな大人向けのカカオも流行ってますね」

ということで、リッチな大人向けのカカオも入れ

「乳酸菌入りチョコも結構売れてるみたいですよ」

ということで乳酸菌も足し

「購買頻度を上げたいと考えると、お子さんのおやつ向けにオリゴ糖も入れてはどうでしょうか」

ということでオリゴ糖も配合します。

その結果、このチョコレートには低糖質でリッチカカオで乳酸菌入りでオリゴ糖も配合されているという特徴があることになり、商品開発メンバーは「こんなにたくさん良い特徴があれば売れるぞ」ってなるんです。

では、実際に顧客が何を思って商品を買うかと言うと、コンビニとかで棚に並んでるチョコレートを一瞥して瞬時に自分が食べたいと思うチョコを選ぶわけなのです。
この時何が起こるかというと、この商品は特徴があり過ぎるので、その特徴を理解する前に、分かりやすい特徴を絞ってあげている他社の商品を選ぶ確率が高くなります。
これをメーカーの商品に例えると、機能があり過ぎてよく分からない掃除機より「吸引力が変わらない、ただひとつの掃除機であるダイソン」という分かりやすいメッセージを持っている商品を選びやすいということです。

低糖質のチョコがほしいと思っている人は「低糖質」だけをうたっているチョコを買いやすいですし、美味しいチョコを食べたいと思っている人は「リッチカカオ」をうたっているチョコを買いやすいのです。

しかし、自社のプロダクトしか見ていない内向的な組織は、顧客が選ぶ時に情報が多すぎると受け止められないという顧客目線が抜けており、自社のプロダクトをもっと良いものにしようと思うあまり、機能を重ねてしまうのです。

もう一つの内向的な理由ー業界や自社の利害関係による

この例は、顧客ではなく自社のプロダクトのみを見て機能を積んでしまう例ですが、もう一つ内向的になるケースとして、業界や自社の利害関係の方を見過ぎて顧客を見ていないというのがあります。

例えばDVDの普及に伴い、コピーガードをつけるとかつけないとかで揉めました。ハードウェアが普及してコピーガードを付けないと、不正コピーが出回ってソフトウェア産業を毀損するのではないかと各企業が恐れた故です。
特にハードウェアとコンテンツの会社を両方所有するSONYなどは、両社のバランスを取る必要があるため、コピーガード推進派であったと記憶しています。
(おなじく、iTunesが出て来た時もSONYの対応が後手に回ったのは、自社が音楽プレイヤーのハードを所有する傍ら、音楽レーベルも所有していたジレンマです。)

日本は昔から暗黙知とかすり合わせが得意だと言われていますが、この空気を読みすぎるという性質が、業界や利害関係を読みすぎて対応が後手にまわる性質に結びついているのかもしれません。
コピーガードが云々をやっている間に、一足飛びにネットフリックスやSpotifyなどのストリーミング視聴が主流になりかけていますが、そのプレイヤーたちはいずれも日本出自ではありません。(Huluは日本テレビが買収しましたが)

ちなみに、業界や自社の利害を全く読まないことで有名なのがスティーブ・ジョブズです。iPodが大ヒットし、まだまだ売上をあげていた時にiPodの機能を包括したiPhone開発に着手しているのです。
このタコが自分で足を食うことをするというのは、オーナー企業でない限り実施不可能と思われます。

ということで、まとめると内向的な会社の特徴というのは、外(顧客)を見ないで自分のプロダクトばっかり見るので、多機能化しがちになり、顧客にメッセージが届かない。あるいは、業界や自社の利害関係にとらわれすぎて、折衷案のプロダクトを検討している間に空気を読まない海外勢がやってくる、という構造が多いのではないかと思います。