日別アーカイブ: 2016年9月20日

シン・ゴジラに見る「そういうことになっている」

バレンタインデーには、チョコレートをあげることになっていて、節分には恵方巻きを食べることになっていて、クリスマスにはクリスマスケーキを食べることになっていて、というのがたくさんあります。慣習的に「そういうことになっている」というのはとても強いです。
バレンタインデーにチョコレートをあげることになっているから、みんな当たり前のようにチョコレートを買いに走った結果、チョコレートの売上が上がりますし、恵方巻きやクリスマスケーキもそうです。
みんな「そもそも、何でバレンタインデーにチョコレートをあげないといけないんだっけ?』とか「何で節分に恵方巻きを食べるんだっけ」とか、なぜやるかを改めて考えたりはしません。いちいち考えていたら、大変だからです。

だから、「そういうことになっている」状況というのは無双なので、企業は頑張って「そういうことになっている」状態を作り出そうとします。これが戦略PRというやつだと思います。バレンタインデーやクリスマスのような行事も、さかのぼると企業のキャンペーンから始まっている場合もあるようです。

最強の「そういうことになっている」のは法律です。むしろ「そうしないといけない」という表現が近いのですが。守らなければ罰せられるので最も強いルールです。法律が改正される時は、関連する業界は儲かる会社が出てくるといいます。

時間が経てば経つほど「そういうことになっている」というのは強固になっていきます。だから、作られてから歴史が長い政府官僚の組織や、大きな会社などは「そういうことになっている」のがんじがらめになります。
映画「シンゴジラ」で緊急事態なのにも関わらず伝言ゲーム状態になるのは、連絡の伝達方法が「そういうことになっている」からです。バレンタインデーやクリスマスと同じく、いちいち「そういうことになっている」ことを疑ってかかっていたらキリがないのです。

先日、近所の小学校で運動会の練習をしている声が聞こえてきました。運動会で隊列を組んで、素早く移動する練習をしていましたが、そういえば小学校の頃から「そういうことになっている」を刷り込まれるのだなあと思いました。
「何で、そもそも隊列なんて組まないといけないんだっけ」と思っている子がもしそこにいたら、生きづらいだろうなあと思います。

しかし、時たま「そもそも、何でそんなことになっているんだっけ」と疑問を持って、そこを破壊しようとするイノベーターが現れます。スティーブ・ジョブズの「Think simple」を読むと、ジョブズはつくづく「そういうことになっている」ことを許さない人物なのだと思います。会議にもし不要な人間が出席していたら、それを許さずに退席を求めます。組織の中に慣例が積み重なり、組織が複雑になっていくことを非常に嫌うのです。

そしてソフトバンクの孫さんも、NTTが提供するインターネット回線の料金が高いと感じ「そういうことになっていた」インターネット回線の価格破壊する「Yahoo!BB」を立ち上げます。

イノベーターは、周囲の人たちは違和感を感じない「そういうことになっている」状況に違和感を感じ、それを破壊しようとするのです。そして私たちは、イノベーターたちの破壊によって、新しい価値を手にしたり、テクノロジーの普及という恩恵を受けることが出来るのです。