日別アーカイブ: 2016年8月24日

熱海が盛り上がっている「本当」の理由

熱海の観光客数が2011年を底にして、2012年以降は年々伸びているといいます。私の肌感でも「熱海…はじまったな」という感じはあったのですが、この記事を見て少し違和感を感じました。

あの「熱海」に再び観光客が集まっている理由
http://toyokeizai.net/articles/-/131780

この記事によると、熱海再生の理由を東京からUターンしてきた若者による商店街などの再開発や、熱海市の財政事情の好転によるプロモーションの強化が挙げられています。確かにそれらは、熱海に観光客が集まった要素の一つだとは思うのですが、トリガーではないと思うのです。

私が熱海再生につながった根っこになるトリガーだと思うのは「業態を改めた新規ホテルの出店」です。

社員旅行向けに作られた大バコ旅館ばかりだった熱海

2008年に発売された村上春樹さんらによる旅行記「東京するめ倶楽部」の熱海編を読むと、当時の熱海のさびれ具合がよく分かります。本書の中では、バブル全盛期に社員旅行向けに作られた大バコ旅館が乱立し、その後の個人旅行を楽しむ若者たちのニーズにマッチしなくなったのではないかという分析がされています。また、バブル期にOLだった女子たちが成長してお母さんになった後、会社の宴会御用達だった大バコ旅館にファミリーで泊まる気にはならないのです。
このように、熱海衰退の原因はそもそも時代に対応しきれていないホテル・旅館にあったのではないかと思います。

2010年代に入り「熱海のスパに行かないか?」と誘われることが多くなった

しかし、2000年代後半以降、個人旅行向けに設計し直されたホテルが新規オープンしていきます。ホテル内にスパやエステなどの施設を備えて、女性客をターゲットにした日帰りプランなども展開していきます。
熱海の宿泊、休憩、観光について、前年度からの伸び率を比較したグラフがこちらです。
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これを見ると、2012年の休憩利用者数は前年比150%近く増えていることが分かります。これはホテルがスパやエステなど日帰りで楽しめるプランをこぞって打ち出したからではないでしょうか。

ホテル目当ての客が宿泊し、そして熱海観光へと目が向けられた

そして、このグラフは前年度からの宿泊利用、休憩利用、観光利用の増加数をグラフにしたものです。
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これを見ると、2012年に宿泊客数が増加し(前年度22万2千人増)、翌2013年に観光客数が追いかけるように増加(前年度24万6千人増)していることが分かります。
つまり、熱海を訪れた人々は、改装オープンされたリゾートホテルへの宿泊を目的に訪れ、「熱海いいじゃん」ということになり、翌年以降はリピーターを含めた観光利用の訪問者数が多くなったのではないでしょうか。

ちなみに宿泊利用者がグンと増えた2012年の前年末に「星野リゾナーレ熱海」がオープンしています。当時の新聞記事を見ると客室数は76室で340人収容です。これを星野リゾートの公式にサイトにある「星野リゾナーレ熱海」の平成27年の客室稼働率を当てはめて試算してみると年間4万8千人程度が宿泊していることになります。(1泊2日として計算。)
「星野リゾナーレ熱海」のオープンで、熱海への集客が年間5万人弱増えたことになるのです。

ということで、熱海が盛り上がっている原因と順番はこのような感じになるのではないでしょうか。

1.個人旅行向けのホテルがオープンし、リゾート滞在を目的とした旅行者が増えた

2.ホテルに宿泊したことにより、熱海の観光資源(花火大会、海、温泉)が見直されて、リピーターを含む訪問が増えた

3.上記により集客が出来てきたので、駅前の商店街などが再開発され始めた

最後に熱海の商店街を歩いたのは3年ほど前ですが、駅前から海岸に続く商店街はまだまだ寂しい感じでした。しかし、この記事を見ると、駅前もさらに進化しているようですね。

資料・データ出展
http://img01.hamazo.tv/usr/suzy/DSCN7226.jpg http://www.city.atami.shizuoka.jp/userfiles/495/file/H26kanko.pdf http://www.hoshinoresorts-reit.com/ja_cms/portfolio/review_2015.html