日別アーカイブ: 2016年7月28日

スティーブ・ジョブズは、なぜ子供たちにiPhoneを持たせなかったか

スティーブ・ジョブズが子供達にiPhoneを触らせないと言ったのは有名な話ですが、ドワンゴの会長の川上さんもインタビューにて子供にはスマートフォンを触らせないと言っていました。イノベーターの人たちが、こぞって自分の子供たちにはスマートフォンを触らせないというのは象徴的な気がします。

スマホやタブレットに慣れると、本を読むことがきつくなる!?


数年前、当時大学生だった男の子と話をする機会がありました。彼は、大学の授業にはタブレットを持ち込んで授業のメモを取っていて、ペーパーレスな生活を送っていたそうです。しかし、ある時気付いたら、前はよく読んでいた本を読むことが苦痛になり、授業の内容も頭に入ってこなくなったそうです。それ以降、タブレットを持ち歩くのをやめ、代わりにカバンに文庫本を数冊入れて持ち歩くようにしたのだとか。

先日もIT業界の人と話していて「静止しているテキストを読むことが辛くなった」という話題になりました。フェイスブックやツイッターは見るたびに情報が更新されていく動的な情報群です。目の前を流れていくフローの情報を延々眺めていることに慣れると、本のようにそこに変わらぬ情報が静的に存在する文章を読み込むことが辛くなるのです。

体系的な知識を身につけるためには、ストックの知識が必要


どんな学びもそうですが、何かを真剣に学ぶためにはストックの知識を貯めることが必要です。英語を学ぶためには、文法や単語をひたすら暗記するというストックの知識を地道に積み重ねなければなりません。ストックの知識が積み重なって知識の土台ができると、学問についての体系的な知恵が身につくため、フローの知識を入手した際に、その体系的な箱のどこかに情報を組み込んで活用することができます。
逆に言うと、ストックの知識という土台による体系的な知識の枠組みがなければ、目の前を流れるフローの情報は、そのまま頭の中を素通りして通り過ぎていきます。
例えば何処かの会社の株価が急騰した。というニュースを見たとしても、その株価の急騰が何を意味するのかを判断するには、株価に対する基本的な知識やその会社の過去の株価の経緯、競合他社の動きなどの構造的な知識がなければ、その情報の価値が判断できません。

このようにストックの知識を身につけることは、フローの情報の価値を判断する上でも大切なことです。ニュースキュレーションアプリのNewsPicksでも、プロピッカーと呼ばれる専門家の方々によるニュースの解説が面白いのは、バックグランドにある膨大なストックの知識に裏打ちされたコメントだからです。

しかし、冒頭のように恒常的にインターネットに接していると、ストックの知識を身につけることが苦痛に思えるようになり、ひたすらフローの情報を追うようになります。しかし、体系的な知識の枠組みがなければフローの情報を活用することが出来ないため、ひたすらその情報単体でインパクトのある情報を追い求めるのです。

よくその人の賢さは質問力に出るといいますが、これはコメント力にも当てはまることです。何かの情報に対してコメントするということは、その情報に対しての体系的な知識を持っているかが試されるからです。
この体系的な知識を持っているかどうかを、うやむやにするコメントが「後で読む」「良記事」などの語句になります。(そして、しばしばインターネット漫画などでそれらのコメントが揶揄されます。)

ということで、インターネットは基本的にフローの情報の洪水社会です。この洪水から、価値のある情報を見極める目を養う上でも、ストックの情報をみにつけて体系的思考を身につけることは重要だと思います。