日別アーカイブ: 2016年7月1日

USJに学ぶ、もうダメだと思ってからがアイデアの出しどころ

ハリーポッターのアトラクション導入よりも前に、年間来場1,000万人を突破していた

USJ復活の立役者と言われる森岡毅さんが書かれたマーケティングの本を読んで、とても感銘を受けました。
USJは01年3月の開業以降、初年度は1000万人を超える来応者数を記録したものの、その後業績が悪化して02年度の来場者数は764万人まで激減、04年には事実上の破綻に陥っています。
米国ユニバーサルから社長が招聘され、その方にマーケティングの責任者として引き抜かれたのが森岡毅さんです。2010年の就任以降、来場者数をV字回復をさせ、2013年には来場者数1,000万人を突破、2015年の来場者数は1390万人とディズニーリゾート(1360万人)を抜いているのです。

森岡毅さんが書かれた本を2冊読んだのですが、本当にマーケティングの勉強になります。本を読むと、多くの人はUSJ復活の理由をハリー・ポッターのアトラクションのおかげだと言うものの、実はハリー・ポッターがオープンする前の3年間も、予算のない中で来客数を増やし続けているのです。(ハリー・ポッターに当時の年間売上高約800億円の半分にあたる450億円の投資を行なったため、本当に使えるお金がなかったそうです。)

テーマパークなのに使えるお金がないという大きな制約条件の中、集客の大きなタイミングであるハロウィンシーズンに「ハロウィン・ホラー・ナイト」というイベントを開催します。これは、テーマパーク全体をお化け屋敷化して、特殊メイクをほどこしたゾンビたちがパークに突如出現するというものです。かかる費用はゾンビたちの稼働代と元々持っていた特殊メイクの技術を活かせば良いだけなので安価に済むのです。このイベントだけでなんと40万人を集客したのです。

大型アトラクションが導入される直前は、お客さんの行き控えが起こるといいます。ハリー・ポッターのエリアがオープンする前年も集客減が危ぶまれました。しかし、目標の来場者数1,000万人を達成するため、予算をやりくりして様々なイベントを考えます。新しいアトラクションを作る金銭的余裕がないので、既存のアトラクションのバージョンアップを図るアイデアを試行錯誤するのですが、なかなか良いアイデアが降りて来ない。たくさんのアイデアを思いついては捨てを繰り返し、最終的には、パークの人気アトラクションである絶叫コースター「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」を、逆走させるというすごいアイデアを思いつくのです。

そして、各部署の反対に合いながらも、安全基準などをクリアしてコースターを逆走させることに成功、追加の費用を抑えて集客に成功します。

この本からは、マーケティングについての考え方やフレームワーク、アイデアの発想方など大事なことがたくさん学べるのですが、一番腹に落ちたのが「もうダメかもしれない」と思ってからが、アイデアの出しどころなんだなという件です。

制約条件があるからこそ、アイデアを練ることが出来る

だいぶ前のことになりますが、アバターサイトを扱っていたことがあります。有名なキャラクターライツのアイテムも多数取扱い、サービスへの集客も十分すぎるほどに出来ていました。しかし、一点問題があって、政治的な理由でこのサービスにはコミュニティ機能を入れてはいけないという縛りがあったのです。コミュニティ機能を入れられないということは、ユーザー同士がトークをするような交流が図れないため、自分のアバターを豪華にしようというモチベーションが働きません。コミュニケーションがキモであるアバターサービスにおいて、致命的ともいえる足かせがありました。
細かな施策は打ったものの、結局サービスとして大きくブレイクすることはありませんでした。そのときは、まあ色々やったのだから仕方ないと思ったのですが、今思うとまだまだやれることがあったなと思います。

例えば、アバターアイテムは充実していたので、ファッション系のショップの店長になった設定で、ゲーム化を図るという方法があります。
その際に、プレイヤー同士でアイテムの授受や、ポイントに換算できる「あいさつ」の仕組みをいれるなど、ノンバーバル(非言語)のコミュニケーションを入れることは可能です。

お金や政治的事情などによる制約条件が課されて「もうダメかもしれない」と思って後に、いかに考え抜くかが大事であるということとを、この本を読んでいるとしみじみと思います。もしもUSJに潤沢に資金があったのならば、新型アトラクションを次々投入したはずです。しかし、お金がないという制約条件が課されたことにより、パークを練り歩くゾンビたちは絶叫コースターの逆走という画期的なアイデアを生み出すことが出来たのです。

森岡毅さんは、この絶叫コースターを逆走させるアイデアを延々考え続け、なんとコースターが逆走する映像を夢で見て思いついたそうです。
やはり、夢に見るくらいに頭をしぼって考え続けないと、最高のアイデアというのは降りてこないのですね。

■参考URL
http://www.j-cast.com/2016/05/27268003.html
http://diamond.jp/articles/-/55955