月別アーカイブ: 2016年1月

ギリシャヨーグルト「パルテノ」さんが、高級路線を狙うべき理由

狙うはハーゲンダッツのポジション!?

「パルテノ」というとても美味しいギリシャヨーグルトがあります。ギリシャの水切り製法という製法で作られているとかで、とても濃厚なのが特徴です。

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クリーミーな濃厚さがたまらないギリシャヨーグルト「パルテノ」
出典:http://partheno-gy.jp/product/

ヨーグルトの概念を変えるヨーグルトといっても過言ではないのですが、コンビニの棚で見つけるたびに購入するものの、間もなく棚から姿を消してしまったりします。おそらく150円という高額な値段に要因がありそうですが、濃厚なヨーグルトに別パッケージに封入されているハチミツやソースをかけて食べる贅沢な作りになっています。
最近は、ヨーグルトの底の方にあらかじめソースを仕込んだものを値段を下げた商品も発売しています。商品を使ったレシピコンテストなどもしているようで、ターゲットと戦略はこんな感じになっているのかと思います。

■商品のポジション
・主に女性に向けた濃厚なヨーグルト
■ターゲット
・女性だけど年齢層高めで主婦系に重きを置く
■ターゲットに訴求するための打ち手
・価格を下げた商品を投入する
・レシピコンテストなど主婦に訴求する広告キャンペーン
・濃厚さをアピールするために、スプーンを逆さにしてもヨーグルトがこぼれない商品の広告ビジュアルを使用

おそらくこんな感じなのだと思いますが、ターゲットと商品のポジションを切り直した方が、良いのではないかと思っています。端的に言うと、ハーゲンダッツを目指すのが良いと思うのです。

ハーゲンダッツは高級アイスクリーム市場において唯一無二の存在で、新フレーバーが出るたびに話題になります。価格もだいたい250円と通常のアイスクリーム2倍以上ですが、需要はあるわけです。ガリガリくんもハーゲンダッツも同じアイスというくくりですが、ガリガリくんが「若年層が学校帰りに買うおやつ」であるのに対して、ハーゲンダッツは「日常のご褒美的な高級スイーツ」です。パルテノもこの路線を狙った方が良いのではないかと思うのです。

▼こんな感じの路線を狙っては
■商品のポジション
・日常のご褒美的な高級スイーツ
■ターゲット
・可処分所得が多めにある女性
■ターゲットに訴求するための打ち手
・価格は高価格帯のまま据え置き
・ブランディングのためのビジュアルを重視した広告キャンペーン
・新フレーバーソースの投入

まず、ポジションを「ご褒美的な高級スイーツ」と定義すると、ターゲットは可処分所得がある女性が最もマッチします。高級スイーツ路線なので、価格は150円のまま据え置きます。
そして、ブランディングのためのビジュアルを重視した広告を展開します。ハーゲンダッツは、広告ビジュアルがアートで少しエロ的な路線になっています。商品のテーマを彷彿とさせるビジュアルに、セクシーな女性が写りこんでいたりします。パルテノも、商品の特徴を打ち出すというよりは少しアートで寄りな広告ビジュアルでまず訴求をした方が良いと思うのです。
例えばマリー・アントワネット的な女性がスプーンを持ち上げているビジュアルで、「まるで、クリームのような。」というコピー。小さくギリシャヨーグルト「パルテノ」。まず、キービジュアルに目線が向かい「まるで、クリームのような」というコピーで「え?クリームじゃないの?」となったのちに、「あ、ヨーグルトなんだ」ということが分かるビジュアルです。

重視すべきソーシャルはSNSとインスタグラムになります。(Twitterはこのような事情により、マス向けにリーチしたいステージになってからです。)SNSの施策としては、ビジュアルによるブランディングを行うために、クリエイターに制作してもらった「連作の作品」を投稿します。クリエイターは、女性に人気があり、かつ世界観が確立されている清川あさみさんなどの作品が好ましいと思います。
(ここまで書いて、ハーゲンダッツの過去の広告を見てみたら、既にマリー・アントワネット的なビジュアルや、クリエイターを起用したキャンペーンをしていて、さすがですね。しかも既にハーゲンダッツは清川あさみさんも起用されたキャンペーンをされていますね。)

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マリー・アントワネットを思わせる広告ビジュアル
出典:http://www.oricom.co.jp/museum/back/0804.html

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有名クリエイターを起用したキャンペーン
出典:http://www.haagen-dazs.co.jp/company/news/2012/02/120221-1.html

新フレーバーで「日常の中の特別感」を演出

しかし、これらプロモーションを大規模にやるとお金がかかるので、最初に手をつけるべきは、新フレーバーソースの開発です。「ハーゲンダッツ」が「ご褒美的な高級スイーツ」のポジションを取れているのも、季節フレーバーによる要因が大きいですし、同様のポジションで言えばスターバックスのフラペチーノもそうです。
さらにこのフレーバーが魅力的であればあるほど、みんな「〇〇なう」をSNS上でやってくれます。「ハーゲンダッツ」に新しいフレーバーが登場するたびにソーシャル上で食べてみた報告がアップされますし、フラペチーノも新フレーバーが登場するたびに「スタバで〇〇フラペチーノなう」と投稿されますよね。みんなSNSに投稿できる「日常の中の、ちょっとした特別」を求めているので、商品ベースからそれを逆算して考える必要があるのです。

ということで、最も優先してやるべきことは新フレーバーの開発だと思います。コンビニやスーパーの棚に並んでいるのを見たら一度は試したくなり、かつソーシャルに投稿したくなるような耳障りの良いフレーバー名が必要です。例を挙げるとこんな感じになります。


・キャラメリゼウォルナッツソース
・ハニーカシスシロップ
・ミルクバナナジャム


フレーバーの刷新だけでも「これはちょっと特別なときに食べるスイーツである」という訴求が売り場で出来るので、自然に口コミが期待できると思うのです。自然に口コミが期待できるのはなぜかというと、パルテノがクリーミーで美味しいからです。しかも1個100キロカロリー前後なのです。と、商品を持ち上げて筆を置きたいと思います。

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メディアブランディングをするために、ウェブメディアに必要なこと。

先日のブログにて「メディアとは世の中のモノやコトにメディアという色つきのフィルターをつけて、見せること」だという内容を書きました。そして、このフィルターの色の種類や強さが、メディアのブランディング力となります。
メディアのブランド力がある代表的なものは、マガジンハウスの「ブルータス」などの雑誌です。雑誌は1つの特集について1冊という風にパッケージされているので、メディアの特色を打ち出しやすい構造になっています。しかし、WEBメディアは1つの記事単位で記事が流通する仕組みになっています。ゆえに、メディアブランディングがしづらいのです。ウェブメディアで、どうメディアブランディングをしていけば良いかを考えてみたいと思います。

1 記事で扱うコンテンツの内容と視点。それがメディアの空気を形成する

まずは扱うコンテンツの内容です。「麻素材、トートバック、リンネル、陶器のマグカップ」と言われたらどことなくナチュラル系の雑誌を思い浮かべるのではないでしょうか。逆に「レースワンピ、ヒールパンプス、ファーバッグ」とい言われたらファッション誌かつ、赤文字系の雑誌かなと思うのではないでしょうか。これら、どういう内容を扱うかの選別によってメディアの方向性が定まってくるのですが、さらに大事なのはそれをどういう「視点」で届けるかということです。

例えば、指輪特集があったとして、赤文字系雑誌、ナチュラル系雑誌、ラグジュアリー系雑誌の3誌が特集を組んだとします。この点において扱うコンテンツの内容は「指輪」という点で一緒になりますが、見出しをつけるとこんな感じになります。

●赤文字系雑誌
「クリスマス本番!彼氏へのおねだリングはどれにする?」

●ナチュラル系雑誌
「不格好な風合いがやさしい。クリエイターによる1点ものの指輪たち」

●ラグジュアリー雑誌
「セレブに愛される。ハリーウィンストンの秘密」

赤文字系雑誌の得意技といえば、モノの名前と名詞を組み合わせて造語を作ることです。「おねだり」と「リング」を組み合わせた「おねだリング」というのは、実際赤文字系雑誌で目にしたきゃっち。ナチュラル系雑誌は、それほど高価格帯ではないモノの背景や良さを訴えかけます。そして、ラグジュアリー誌は、高級ブランドとセレブとの関係や、ブランドの歴史を語りたがります。

ということで、コンテンツの内容が一緒でも、その視点によって全く記事の方向性は変わってきます。この視点の切り方は「メディアとしてこう行きますよ」というメディア側のメッセージでもあるのです。Webメディアではよく、記事単位で流通するため、メディアを印象づけようと末尾にキャッチコピーを入れるというハック的な技がありますが、それはコンテンツの内容と視点が一貫していて初めて効果が出てくると言えます。

2 力を入れるべきソーシャルは、だんぜんFacebook

そして、メディアへの流入経路のひとつとしてソーシャルがあると思いますが、力を入れるべきは今のところ断然Facebookです。以前にFacebookとTwitterの違いを説明したのですが、Facebookはより自分自身に関わりある情報がタイムラインに流れてくるとユーザーが認識するプラットフォームです。Facebookに流れてくる情報は、共感を得やすいのでメディアブランディングがしやすいのです。
具体的にはFacebookページを作成して「いいね!」を獲得することになりますが、年齢、属性といったデモグラフィックとともに、キーワード単位での興味セグメントが切れるため、広告配信を的確に行いやすくなっています。(しかし、キュレーションメディアは、のきなみFacebookに力を入れているため、単価は上昇気味です。)

ということで、webメディアでメディアブランディングをするための2つのポイントを挙げてみました。

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なぜ私たちは、こんなにもSMAPに特別な感情を抱くのか

1988年に結成された「SMAP」。最初は普通のアイドルだった。

私はSMAPの熱狂的なファンではないし、一度もライブにも行ったこともない。でも、今回の解散報道を見ていて、私を含める多くの人が何とも言えない鬱屈とした気持ちになったと思う。熱烈なファンではないけれど、それでもSMAPを取り巻くコアなファン越しに、彼らを遠くから見ていた者からすると、SMAPとは何なのだろうと思う。

最初にSMAPという名前を聞いたのは、近所に住むお姉さんからだった。まだまだ光GENJIが全盛の時代で、彼女は駆け出しだったSMAPの追っかけをしていたらしい。当時は本人たちから声をかけられることがたまにあり、中居くんファンだったそのお姉さんは、中居くんはファンにはクールなので声をかけてもらったことはないけれど、木村くんは割合ファンに気遣いの声をかけてくれると言っていた。

私がテレビでスマップを観るようになったのは、テレビ東京で放映していた「愛ラブSMAP」からだと思う。wikipediaを観ると1991年10月スタートとあるので、1988年の結成の3年後から始まったということになる。
この「愛ラブSMAP」は、番組のコーナー内でミニドラマをやったり料理コーナーがあったりと「SMAP×SMAP」の前身のような内容だった。元メンバーの森くんの料理コーナーがあったり、今では信じられないことだけれど、木村拓哉が街頭レポートのロケをしたりしていた。こういったアイドルファンのためのバラエティ番組というのはこれ以前にもあっただろうし、今も続いている流れだと思う。

1994年には「シュート!」というメンバー全員が出演する映画が公開された。当時、近所の映画館に舞台挨拶に来るということで、友達が観に行っていた記憶がある。映画上映中に、舞台袖からメンバーが顔をのぞかせたりして会場が大いに沸いたそうだ。
ちなみにこの映画の撮影中に、メンバーの一人が髪の毛を散髪してしまい、映画の前半と後編で明らかに髪の毛の長さ違うという現象が起きていたそうだ。監督に注意されたが、言い返して口論になったと、後にエピソードとして語っているのを聞いたことがある。それまでのアイドルは「完璧な部分しか見せない」というところがあったけれど、こういう等身大のエピソードを公開してしまうところもSMAP以降の現象なのではないかと思う。

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SMAP初主演映画「シュート!」(1994)

司会業、俳優。多角化するメンバーそれぞれの活動

とはいえ、このあたりまでSMAPは王道のアイドルの型内にいたと思う。今日のSMAPの形に至るターミングポイントは、1994年前後ではないだろうか。木村拓哉が1993年、ドラマ「あすなろ白書」に出演し、ヒロインを後ろから抱きしめて言うセリフ「俺じゃダメか」が、流行ワードとなった。これ以降、ドラマ出演が相次いでだんだんと俳優方面の活躍が多くなっていく。

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「俺じゃダメか」が流行した「あすなろ白書」1993年

一方、中居くん、慎吾ちゃん、草なぎくんの3人は1994年4月から「笑っていいとも!」のレギュラーメンバーとなる。今日の「バラエティで活躍するアイドル」という型を作るための布石は、この「笑っていいとも!」が大きかったと思うし、さらに中居くんが司会者として数々の番組を仕切っているのも、この「笑っていいとも!」の歴史が大きく影響していると思う。

「笑っていいとも」出演当初のイメージは、とにかく本番中の発言が少ないということだった。増刊号になると、それぞれSMAPのエピソードなど、面白いトークを披露するのだが、平日の生放送中は、かなり静かだったと思う。(後の「笑っていいとも」最終回では、中居くんが、出演当初はあれも話そう、これも話そうと画策していたものの、上手い具合に話すことが出来なかったと振り返っている。)その状況を見守るタモリさんの度量もすごいなぁと思うが、時間の経過とともにトーク量が増えて、コーナーの司会などもこなしていくようになる。

このあたりで印象深いのが、慎吾ちゃんが似顔絵を描くというコーナーから、稲垣吾郎の似顔絵を歌いながら描くという「五郎ちゃん絵描き歌」が生まれるエピソードだ。


針のように細い 髪が垂れる
糸のような目鼻立ち 後ろ体重~


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五郎ちゃん絵描き歌の五郎ちゃん


どこかミステリアスで耽美的な雰囲気さえ漂う五郎ちゃんを徹底的に「イジる」という、アイドルらしからぬバラエティのお作法によって、メンバーそれぞれがどんどんキャラクターナイズされていったのだった。

SMAP5人がキャラクターナイズされているがゆえに、創作物でも描きやすいという側面もあった。コバルト文庫の「いきなりミーハーシリーズ」というライトノベルには、SMAPそっくりの男子たちが登場する。彼らと主人公の女子高生2人組が、毎回色々な冒険を繰り広げるという内容なのだ。この文庫の内容を読んでいても、イケメンで完璧で優しい木村拓哉、ムードメーカーで仕切る中居くん、ミステリアスな五郎ちゃん、お互いにじゃれあう慎吾ちゃんとつよぽんという図式が出来上がっている。


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「SMAP」そっくりの5人組が登場するコバルト文庫「いきなりミーハーシリーズ」

5人の中で最も特異なキャラクターなのは、草なぎくんだと思う。草なぎくんはアイドルにしては「ふつう」に「いい人」という印象で、特出した特徴がなかったように思う。しかし、SMAPの人気が高まっていくにつれて、キャラクターの濃いメンバーの中においての相対として「ふつう」に「いい人」というキャラクターが確立した。ドラマ「いいひと。」でもいい人として主演を務め、その後も「僕の生きる道」など、良作にめぐまれて俳優としてもキャリアを積み重ねていく。

「SMAP」というコンセプト。2000年代はメンバーそれぞれの活動に

それぞれのキャラクターが際立ちながらも「SMAP」というコンセプトとしてまとまっているのも大きい特徴だと思う。2000年代に入るまでは、SMAPとして前衛的なドラマに出演することもあった。例えば「世にも奇妙な物語 SMAPの特別編」では、5つのエピソードの主演をそれぞれ努めており、いずれも良作だった。特に木村拓哉が主演を務めた「BLACK ROOM」は、映画「スマグラー おまえの未来を運べ」などを手掛けたフィルムメイカーの石井克人氏が監督を務めており、スタイリッシュすぎる映像と俳優(我修院達也)によるコントすれすれの作品でとても良かった。

さらにはドラマ「古畑任三郎」でも、「古畑任三郎 vs SMAP」という回でSMAP本人として出演していた(少しSMAP自体の設定を変えていたけれど)。ドラマ中、古畑任三郎がSMAPのメンバーに「ファンなんです。○○を見ていました。」と言いながら、メンバーの微妙なキャリアを披露するシーンがある(例えば慎吾ちゃんなら「赤ずきんチャチャ」のリーヤ役でしたよね)など、ファンが見ていて、くすぐられる内容だったと思う。

2000年以降は、メンバー単体の活動が目立っていく。木村拓哉はより俳優としての活躍が多くなり、出演するドラマはいずれも高視聴率を記録。中居くんは「笑っていいとも」の知見を活かしてバラエティの司会業を、草なぎくんはドラマも良作にめぐまれて俳優としてキャリアを積みながら「ぷっすま」などバラエティでも看板番組を持つようになる。慎吾ちゃんは「SmaSTATION!!」など司会もするようになり、「新選組!」で大河ドラマの主役にも抜擢され、五郎ちゃんは五郎ちゃんのスタイルを貫いて、今日にいたる。

ちなみに中居くんの司会者としての手腕は、時折エピソードつきで称賛されるが、2011年に生放送の音楽番組「カミスン!」にて放送事故と言われる事象が起こったことがある。「神聖かまってちゃん」というバンドのボーカル「の子」が、音楽が流れても歌いださず、急になるとを取り出してカメラに張り付けるなど、奇行に走ったのだった。この時、中居くんの対応は冷静で、淡々と進行をすすめていた。「の子」の行動を突っ込んでバラエティ方向に振る事をせずに、音楽番組の司会者として、彼らをアーティストとして扱っていたからだと思う。

私たちがSMAPを観る目線において他のスターと異なる点は、それぞれのキャラクターや背景を斟酌している点だと思う。例えば、例えば極度の人見知りでめったに電話番号を教えないけれど、草なぎくんとは小学生の時からのずっと仲良しであるとか、木村拓哉はスーパースターであるけれども「SMAP×SMAP」のスタジオ入りが誰よりも早く、スタッフと会話するなど気遣いが厚い事など、それぞれのパーソナリティについての情報を私たちは斟酌している気がする。(「嵐」は国民的アイドルではあるけれども、彼らのコアなファンではない限り、彼らのそれぞれのキャラクターをSMAPほど把握はしていないと思う。)

なぜ私たちは、SMAPに特別な感情を抱くのか

なぜ私たちが、彼らのキャラクターや背景を斟酌しているかと言えば、それはSMAPが率直であるからだと思う。その率直さが顕著に表れたのが、2年前の「笑っていいとも」の最終回だった。かつてレギュラーメンバーだった「ダウンタウン」や「ウッチャンナンチャン」といった豪華ゲストがコーナーごとに出演してタモリさんと思い出を語るという番組構成はずだったが、さんまとタモリさんのトークにダウンタウンとウッチャンナンチャンが急に加わった。そこに、爆笑問題やとんねるず、ナインティナインが突然現れて、一同が同じ舞台に介するという事件となった。誰も仕切ることが出来ない状況の中、自然と仕切りをまかされたのが中居くんだった。このメンバーの中では、お笑い芸人が仕切るわけにはいかず、それぞれのタレントと親交があり、かつ仕切り力のある中居くんが壇上に上がらされた。めちゃくちゃ進行が難しい事案だったと思うが、この環境の中で自然と仕切ることをまかされたのだ。

そのてんやわんやの後、タモリさん対してひとりひとりメッセージを贈るコーナーでは、中居くんはタモリさんに、このようなメッセージを伝えている。

やっぱり、バラエティって非常に残酷なものだなとも思います。
おかげさまで歌もやらさせてもらって、お芝居もやらさせてもらって、バラエティもやらさせてもらって、
歌の世界っていうのは、いずれライブとかやれば最終日があって、
ドラマもクランクアップがあって、映画もオールアップがあって、
始める時に、そこのゴールに向かって、それを糧にして進んでるんじゃないかなって思います。
でもバラエティは、終わらない事を目指して、進むジャンルなんじゃないかなと。
覚悟を持たないと、いけないジャンルなんじゃないかなと思いながら、
いいともに出させてもらったのをきっかけに、僕は、
バラエティを中心に、SMAPとして、やらさせてもらおうかなと。

非常にやっぱり、バラエティの終わりは…寂しいですね。

他のジャンルは評判がよかろうが、悪かろうが、終わりがあるんですけど、
バラエティって…ゴールないところで、終わらなければならないので、
こんなに…残酷なことがあるのかなと、思います。

当時、俺と香取で、ほんと何も出来なかったんですね。
「今日はこれやろう」「今日はこの話やろう」って言って何も出来なかったんですけど、
でも、番組を、タモさんをアシストする事が、
楽しい番組を、娯楽を提供する手段の一つでもあるという事を僕は学びました。

引用:http://drifter-2181.hateblo.jp/entry/2014/04/01/005932

まさに、タモさんのアシストをするという出すぎない体制そのものが、この直前にあった「てんやわんや」を仕切れる司会力が身についた原点なのだと思う。

さらに、慎吾ちゃんの話も印象的なものだった。

ちょっと我慢できず言います。
答えはいらないですが…そもそも何で終わるんですか?
(中略)
ツヨポン(草なぎ剛)がすごく仲良くて
タモさんち行ったりすんのすげーずっと羨ましかったです
あと、ぼく、あの何か携帯の番号教えたりとか、そうゆうの苦手な人で
なかなかタモさんと話す時間もなかったりして、
中居くんとかはそういうのもすごくするんですけど、
で、中居くんとか食事よく行ったりしてんのも知ってて、
『あ、そうなんだ』と言いながらも僕も行きたかったです。
(中略)
えー、あと、あの、生放送で毎週20年間出させていただいて、
テレビに出ている僕ですけど、スマップでも辛かったり
苦しい時があって、そんな時に笑ってなきゃいけないのが
辛い時もあって、『笑っていいとも!』って言うのが
辛い苦しい時もあったりするんだけど、始まったら笑顔になってる
自分がいて、苦しかったりする時に昼間にいいとも見ると、
タモさんやってたり、みんなまたやってる…

ごめんなさいホント…ほんとにありがとうございました…
タモリさん、これからも、辛かったり苦しかったりしても、
笑っててもいいかな?

(タモリさん、間髪入れずに)「いいとも!」

引用:http://utsu-kyushoku.net/column/%E6%9C%AC%E9%9F%B3%E3%81%A7%E8%A9%B1%E3%81%99%E5%87%84%E3%81%95-%E7%AC%91%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%A8%E3%82%82%E6%9C%80%E7%B5%82%E5%9B%9E-%E9%A6%99%E5%8F%96%E6%85%8E%E5%90%BE.html

自分から連絡先を聞くことが出来ない性格だけれど、本当は草なぎくんのことがすごくうらやましかった。そして、未だに笑っていいともが終わるということを飲み込めていないという、本音のメッセージだった。

番組中では、木村拓哉と五郎ちゃんも登場して、タモリさんを囲んで「ありがとう」を歌うという一幕もあった。

今こうやって「SMAP」の一連の思い出をつらつらと思い返していて、なんとなく分かった気がする。「ああ、だからSMAPは特別なんだなー」と。彼らのコアなファンでなくとも、私たちはひとりひとり彼らのパーソナリティを知っていて、それはひとえにSMAPの率直さというところから来ているのだと。

タモリさんを囲んで歌うメンバーの表情を見ていると、本当にタモリさんのことが好きなのだろうなと思うし、タモリさんに向けたコメントの率直さは、彼らの飾り気のない姿なのだ。だからこそ、私たちはSMAPに対して、ただの芸能人以上の何かを感じていて、陽のあたるところにいつまでもいて欲しいと、その率直さを失わないで欲しいと思っているのだと。

ありがとう




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メディアとは、フィルターを通してモノゴトを観せること

鎌倉の日帰りホテル「ホテル ニューカマクラ」が人気の理由

鎌倉といえば、外国人観光者や関東近郊に住む人々が訪れる観光地として人気なスポットです。鎌倉駅のほど近くにあるのが「ホテル ニューカマクラ」という素泊まりのホテルです。公式サイトによると、戦前は格調高いホテルだったそうで、芥川龍之介と岡本かの子の出会いの地であったそうです。(ちなみに公式サイトには、派手なサービスや宣伝することなく、ひっそりと時を刻んだこのホテルが共感を得ているのは、その魅力にハマってしまったファンたちの口コミによるものだとか。的なことが書いてあるのですが、公式サイトなのに「○○だとか。」と、まるで他人事のように書いているのが良いですね。)

10年ほど前に、この素泊まりのホテルに泊まったことがありまして、確かに建物や内装がモダンだし歴史を感じさせるのですが、素泊まり食事なしにしては高いし、お風呂は共用だし、という感じでした。
なぜ、このホテルに泊まったかと言うと、本屋で立ち読みしたファッション誌「SPUR」に掲載されていたからです。ホテルの内装の写真が見開きで大きく掲載されていて、光と陰影が幻想的な感じで表現されていたのです。
この写真を見て「ホテル ニューカマクラ」に泊まってみたいと思ったのですが、これは「SPUR」というメディアの力によるものだと言えます。もし、タウンワーク誌に掲載されていたら、ただの旅館情報に見えたでしょう。しかし、「SPUR」というラグジュアリーファッション誌というフィルターを通してこのホテルを観たからこそ、素敵に輝いて見えたのです。

このように、メディアとは世の中の有象無象のモノゴトを、メディアの色がついたフィルターを通して見せる役割があると言えます。このフィルターは、メディアのブランド力とも言えるかもしれません。

メディアは、今は注目されていないモノやコトに、スポットライトを当てられる

このメディアというフィルターの中でも、強力なものが「ブルータス」というフィルターです。「近江屋洋菓子店」という、戸棚から出てきそうなイチゴたっぷりのショートケーキが名物の洋菓子店がありますが、「ブルータス」の「美味しいケーキの教科書」の表紙になりました。昔ながらの洋菓子店に「レトロ可愛い」というフィルターをかけることによって、そこに行ってみたいという気持ちを喚起してくれるのです。

そう考えると、メディアは、今のところ誰にも注目されていないモノ・コトを、メディアというフィルターをかけることによってスポットライトを当てることが出来るツールです。ちなみに、「ブルータス」No812はスナック特集で、表紙には大きく「スナック好き。」と書かれており、「糸井重里が語る、我が青春のスナックとスナック芸。」に始まり「編集者が福岡にスナックを作りました」(作った後、そのスナックはどうなったんだろう。)、「ご当地スナック事情。」とスナックづくしの一冊です。

ケーキという題材は、ブルータスでなくとも雑誌やウェブメディアに掲載されていれば「行ってみたい」を喚起できそうですが、スナックをフィーチャーして「行ってみたい」を喚起できるのは、ブルータスだからこそと言えるのではないでしょうか。

紙メディアは一連の流れがあるので、一つの特集を打ち出しやすく、メディアのフィルターを表現することが出来ます。しかし、webメディアは記事単位で流通するので、メディアとしてのフィルターを確立しづらい立ち位置にあります。次回は、ウェブメディアのフィルターはどう作るべきなのかについて、解説してみます。

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出典
http://www.newkamakura.com/room.asp
http://matome.naver.jp/odai/2142296127875383901
http://magazineworld.jp/brutus/brutus-812/

ただの駅ビルじゃない好調ルミネ。最大のキラーコンテンツとは。

前回のブログでは、百貨店とショッピングモールの違いを、定義、ハード(建物・箱)、ソフト(商品・サービス)の違いから説明をしたのですが、今回は順調に収益を伸ばす駅ビル、ルミネについて考えてみます。

収益を見てみてると、JR東日本ショッピングオフィス事業の2015年3月期が2,549億円と、前年比39億円ほど増えています。営業収益の増加要因としてルミネの売上が21億円増となっており、既存店が好調なことが強調されています。(2016年第二四半期においても+10億円となっており、引き続き収益を伸ばしているようです。)

前回はショッピングモールという形態が、あらゆる世代の人々にマッチするようにハード(建物、箱)とソフト(商品・サービス)が設計されているという話をしたのですが、ルミネに関していうとハード(建物、箱)は、百貨店と変わらない(上にやや小さい)立方体のビルなのです。

若い女性にターゲットを絞り込んだプロモーションと商品

それでは、百貨店と何が違うのかと言えば、ターゲットが若年層の女性であるということです。しばしば話題にのぼるルミネの広告コピーですが「試着室で思い出したら、本物の恋だと思う。」など、徹底的にF1層あたりの女性に絞り込んだコピーになっています。

そして、ソフト(商品・サービス)はユナイテッドアローズやロン・ハーマンなど、割合価格帯のファッションブランドが揃っています。この点から定義を整理すると以下のようになります。

ソフト(商品・サービス)→ユナイテッド・アローズやロン・ハーマンなど高価格帯のファッションブランド
ハード(建物、箱)→立方体の建物。目的の階へと移動し、目的を果たしたら外に出やすい構造。
定義→F1層に向けた高価格帯の衣料を提供するファッションビル

そもそもルミネを経営するのはJR東日本なので、必ず建物が駅の改札からすぐそばにあり、集客において高いアドバンテージを持っています。その中で、ファッションに対して出費をするF1層にターゲットを絞りまくったソフト(商品・サービス)を提供し、動揺に広告の内容もターゲットに的を絞り込んだコピーになているのです。

しかし、これだけではルミネの定義を全て拾えていません。むしろ、この点がルミネ最大の強みかと思うのですが、ルミネのもう一つの定義は

定義→F1層に向けて、友達や恋人と休日のカフェを楽しむ場を提供

なのです。例えば、横浜ルミネには、土日になると店舗に続く階段まで行列が並ぶケーキカフェ「HARBS」があり、新宿のルミネには世界一の朝食というキャッチコピーでフレンチトーストが楽しめるカフェ「サラベス」があります。さらに有楽町ルミネには「HARBS」の他、可愛いカップケーキのお店や「DEAN & DELUCA」のカフェなどが入っているのです。商業施設において、一番要となるのは集客です。「マクドナルド」が2000年代半ばに経営をV字回復させることになった施策は、100円マックによる来店数の回復でした。
ルミネは立地からして来客数は取りやすいのですが、ビル内にターゲットとするF1層がわざわざ行きたくなるようなスイーツやカフェの店舗を入れて、ショッピング以外の目的の女性の来店を促しているのです。しかも、休日にカフェに訪れる多くは2人組なので、カフェタイムの前後でビル内を回遊して目的外の商品を購入してもらえるきっかけが生まれます。ということで、定義、ハード、ソフトを再度整理するとこのような形になります。

ソフト(商品・サービス)→わざわざ行きたくなるような人気のスイーツショップやカフェ。ユナイテッド・アローズやロン・ハーマンなど高価格帯のファッションブランド
ハード(建物、箱)→立方体の建物。目的の階へと移動し、目的を果たしたら外に出やすい構造だが、人気のカフェ店舗を誘致することで前後の時間帯の回遊性を上げる。
定義→F1層に向けたトレンドのカフェで集客し、高価格帯の衣料を提供するファッションビル

ターゲット(F1層女性)、集客方法(ターゲットが好むスイーツやカフェを用意。女性に向けたコピー広告)、商品・サービス(高価格帯のアパレルファッション)が一環しているんですね。

徹底した顧客満足主義をトップ自らが喧伝

さて、マーケティング的にいくら優れていても、本質は運用そのものにあるものです。「ユナイテッドアローズ 心に響くサービス」(2006年) という本の中で、ルミネがこのように紹介されています。

ルミネが本格的にCS(顧客満足)に取り組み始めたのは9年ほど前からである。”脱駅ビル作戦”がきっかけだ。駅ビルは、さしたる努力をしなくても売上確保が可能というめぐまれた立地にある。しかし、立地に甘えた商売に進歩はない。駅ビルは商業施設として魅力を欠いていた。テナント選定も中途半端で特化・専門性にとぼしく「通過客のついで買い」に依存する体質があった。ルミネはそこからの脱却を図ったのである。以降、MDに優れた専門性の高いテナントを誘致、接客サービスの向上に全力投球で取り組んだ。UAをはじめとする有力専門店や希少価値の高い店をテナントに迎え、CS推進室を設置、CS研修の体系化を図っていった。
(「ユナイテッドアローズ 心に響くサービス」日本経済新聞出版社 )

ルミネはテナントに対して、CS(顧客満足)を高めるための多種多様な研修やプログラムを用意していますが、驚くのは
2006年当時、1600に登るテナントを全て覆面調査していたということです。50点満点で評価され、35点以下の店舗は、店長と本部長以上の職員の研修が必須となります。さらに点数の低いワースト店舗は、ルミネの当時の社長である花崎淑夫氏が1時間をかけて対面で話し合いをしていたというのです。

花崎淑夫氏はその後会長となり、現在は会長職からも退かれているようですが、会長時代の2010年に行なわれたインタビューを見ると、やはり今日のルミネが戦略的に作られたのであるということがよく分かります。

「前面通行量に『偶然』を掛け算して売り上げを想定するのは、ドラッグストアやファストフード業界の常識です。駅のコンコースだけならそれでいい。しかしルミネは立体的なビルであり、少しでも多くの方に上の階に来ていただかないといけないのです。偶然に頼らずデスティネーション(目的)型に変えていかなければなりません。
わざわざ来ていただくためには、対象を明確にする必要があります。ルミネは建物がそれほど大きくないため、百貨店のように客層を幅広くというフルライン展開は不可能です。ターゲット顧客層が通勤帰りだけでなく休日にも足を運んでくださるためには、わざわざ来ていただくに値する店舗と商品展開が必要となるのです」


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出典
http://www.jreast.co.jp/investor/guide/pdf/201503guide1.pdf
http://www.jreast.co.jp/investor/guide/pdf/201509guide1.pdf
http://www.buaiso.net/interview/buaisointerview/4907/

百貨店の不調とショッピングモールの好調を、mixiとFacebookの違いで説明する

3兆円以上売上を減らした百貨店。一方ショッピングモールは好調。

三越伊勢丹ホールディングスの社長さんのインタビューが掲載されていたのですが、百貨店市場はこの25年間で3兆円以上売上を減らしており、衰退の路線をたどっているようです。

日本の小売業全体では約140兆円の売上規模がある。うち百貨店の売上高は約6.2兆円で、全体の4.4%にすぎない。バブル経済が崩壊する前の1990年頃は、10兆円近くの売上高と6%のシェアがあった。まさに「衰退の四半世紀」であったのだ。

一方、ららぽーとなどの複合型ショッピングモールや、六本木ヒルズ、渋谷ヒカリエなど巨大な駅ビル施設が、この四半世紀の間に続々とオープンしました。
ららぽーとや川崎ラゾーナを展開する三井不動産の「賃貸事業収益内訳、商業施設」の部を見ると、2015年3月期の第2四半期823億円に対して2016年3月期の第2四半期は937億円となっており、1年で114億円も伸びています。

さらに、ファッションビルであるルミネの業績を見ても、2014年3月時の営業収益653億円に対して2015年3月時には677億と103.2%も伸長しており、ショッピングモールやファッションビルが売上を伸ばしている一方で、百貨店はシュリンクしている模様が伺えます。

百貨店とショッピングモールの違いを、3つのレイヤーに分けて考える

この百貨店不振については、冒頭のインタビューの中でも語られていますが、施設の定義、ハード(建物、箱)、ソフト(商品)に分けて考えると分かりやすいのではないかと思います。

まず、百貨店についてこの3つの定義を考えるとこのようになります。

ソフト(商品・サービス)→比較的単価が高めのアパレル。最上階には飲食店。地下には食品街。
ハード(建物、箱)→立方体のビル。エスカレーターで位置を確認して、目的の階へと向かう
定義→休日に家族が出掛けて楽しめるアミューズメントスポット(→から、可処分所得が高い層のショッピングスポットへ)


次に、ららぽーとやラゾーナなどのショッピングモールについてこの3つの定義を考えると次のようになります。

ソフト(商品・サービス)→単価の高いアパレルからユニクロまで。飲食店の他、フードコートを完備。映画館やゲームセンターも。
ハード(建物、箱)→フロアの概念に縛られない回遊性を意識した円状の構造物
定義→休日に家族や恋人、友達と出掛けて楽しめるアミューズメントスポット


shopping
まず、定義を比較するとショッピングモールは家族や恋人、友達をターゲットにしたアミューズメントスポットであり、百貨店の家族向けスポット(からの可処分所得が高い層へのショッピングスポット)という定義を包括しています。

この定義の差別要因となるのがソフト(商品・サービス)です。百貨店は比較的単価が高めのアパレルが入っていますが、ショッピングモールはユニクロ等の安めの衣料品から割合高いアパレルブランドまでラインナップが幅広く取り揃えられています。そして、飲食店街の他にフードコードを設置することによって、子供が騒ぎがちで周囲の目が気になるファミリーや、食事にお金をかけたくない学生、若いカップルなどをカバーしています。さらに映画館やゲームセンターなどのアミューズメント施設を入れることによって、モール内での滞在時間を伸ばし、来場のきっかけを生んでいます。つまり、ショッピングモールはターゲットが幅広いため、全方位にウケる商品とサービスをソフトとして兼ね備えているのです。

最大の違いはハード(建物、箱)の作り。mixi型の百貨店とFacebook型のショッピングモール

そして、最大の違いがこのソフト(商品・サービス)を提供するためのハード(建物、箱)の作りの違いです。Webサービスで言えば、ここがUIにあたるのですが、百貨店は立方体のビルにエレベーターやエスカレーターが設置されており、婦人服売り場や飲食店など、目的のフロアとショップのある位置を選んで、目指す階数に移動するインターフェースです。つまり、何か目的が終わり次第、建物の外に出るという導線になります。

一方、ショッピングモールは、吹き抜けで上下の階が見渡せるようになっており、そこをエスカレーターで移動する流れです。ビルの階数を意識させない平面的な設計が多く、建物の入り口が不明瞭で、一度モールの中に入るとグルグルと回遊するような作りとなっています。つまり、目の前に現れる景色を眺めながら進む設計になっており、なかなか終わりが区切りにくいインターフェースなのです。

ショッピングモールについての対談集「ショッピングモールから考える: ユートピア・バックヤード・未来都市 (ゲンロン叢書)」という本ではこのように語られいます。

「ショッピングモールはエスカレーターだらけですよね。ショッピングモールはエスカレーターによって「フロア」の概念を無効化している。なかを歩いていても、そこが何階かを気にする事はあまりない。これが百貨店だと「○階は書籍売り場」、「△階は紳士服」とフロアごとの区切りがきわめて明確です。モールが平面的に展開するのに対して、百貨店は垂直に積み重なっている。」

さらに、同著ではこうも語られています。

「さて、ぼくが前回お話したなかで一番面白かったのは「モールは内装でできている」ということです。(中略)たとえばラゾーナ川崎では、川崎駅の改札口を出て渡り廊下を越えると、いつの間にかモールのなかにいる。外を見る機会がないんです。そのあとなかをぐるぐると見て、用が住んだら同じ渡り廊下を通って帰る。すると、まったく外観を見るタイミングがない。」

つまり、ショッピングモールは外観や全体間を把握させない作りになっているため、来場者は全体間を把握することなく建物内を周回するイメージになります。このスキームであれば、モールへの滞在時間が伸びる他、来場者が本来目的外だったショップに目を留めさせることが出来る可能性があります。
そして、目の前に現れるショップを回遊しながら閲覧するというこのスキームは、Facebookのタイムラインに類似しています。逆に、全体間が把握できており、目的のショップで用を済ませたら建物外に出る設計の百貨店は、かつてのmixiのようです。mixiはトップページにコンテンツのリンクが並んでおり、目的のリンクをクリックして閲覧したら、トップページに戻るかそのまま離脱する仕組みでした。
一方、Facebookは、ご存知のようにタイムラインを延々と眺める作りになっています。どちらの可処分時間が長いかは、肌間で分かってもらえるのではないでしょうか。

ということで、ショッピングモールは百貨店のターゲットを全て包括しており、全てのターゲットに向けたソフト(商品・サービス)を提供している上に、回遊性を意識したハード(建物、箱)によって滞在時間を伸ばす設計になっているのです。こういった仕組みによってショッピングモールがアミューズメントパークとしての側面を備えている以上、来場者が百貨店ではなくモールを選択するのは自然な流れと言えるのではないでしょうか。次回は、好調なファッション駅近ビル、ルミネについて解説してみたいと思います。

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出典参考
http://diamond.jp/articles/-/83913
http://www.jreast.co.jp/investor/guide/pdf/201503guide1.pdf
http://mitsuifudosan.co.jp/corporate/ir/finance/segment/lease/index.html