月別アーカイブ: 2015年12月

マクドナルド不振の本当の理由

マクドナルドの不振の引き金を引いたのは、コンビニコーヒー?

マクドナルドの2015年1~9月期連結決算が、292億円の赤字(前年同期75億円の赤字)に達したそうです。日本で一番大きかった原宿表参道店の閉店も決まり、ネット界隈では「いよいよか」といった感じのコメントが見られます。

マクドナルドが2004年に原田泳幸氏が社長に就任してから8年もの間、増収増益を達成していたものの、それ以降は減収減益に転じた要因を過去にブログで分析したことがありました。

なぜ増収増益から減収減益に転じたのか、以前のエントリで分析したことを簡単にまとめると以下2点になります。

1 コンビニコーヒーが台頭してきたせい(⇒で、来店者数が少なくなった)
2 高価格商品が売れなくなったせい(⇒で、顧客単価が減少した)

これが2大要因になるのですが、原田体制になったマクドナルドがまずしたことは、低価格帯の商品で来店を促進することでした。これを100円マックで実施していたのですが、プレミアムローストコーヒーが導入された2008年以降はコーヒーが来店促進の主役となります。(7年くらい前を思い出すと、お昼前後、みなこぞってマックにコーヒーを買いに行っていませんでしたか?)
しかし、2012年前後にコンビニ各社がコーヒーに力を入れ始めたため差別化が出来なくなり、マクドナルドの2013年の来店者数はガクッと減っています。さらに、コーヒーで集客していたお客さんに高価格帯の商品を提供して利益を出していたのですが、それらが売れなくなった結果、顧客単価が減少して利益が出ない状態になるというダブルパンチとなったのです。(高価格帯の商品を購入させるためにメニューの撤去を行う等の迷走もありました。)

これがマクドナルドが減収減益となり、さらに赤字に転じた直接の原因だと思うのですが、マクロの視点で見ると大きな一つの背景があると思うのです。

マクドナルドとモスバーガーの定義は異なる

その背景とは「ハンバーガーというワンコンセプトのお店が、巨大外食チェーンとして存在することが難しくなった」ということかと思います。よくモスバーガーは頑張っているのにマクドナルドは…という意見がネットで見られますが、そもそも売上規模がものすごく違います。モスバーガーの売上は年間650億円前後ですが、マクドナルドは売上が落ちたとはいっても4千4百億円もあります。その差、7倍近くです。さらに、年間の来店者数は2011年時点の数字ですが、モスバーガー1.06億人に対して、マクドナルドは9.25億人です。
モスバーガーは「ハンバーガー好きな人が、たまにハンバーガーを食べに行くところ」ですが、マクドナルドは「日本人が年に何回かは定常的に食事をとる飲食店」ということで、定義が違うのです。

さらに、外食チェーンの大手というと牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーが思い浮かびますが、ゼンショーの牛丼カテゴリは2015年3月期の売上が1,735億円ですから、2014年の売上が4,463億円であったマクドナルドは2.5倍も売上規模が大きいのです。インフォグラフィックで売上を比較するとこのように開きがあります。
比較 グラフ

ということで、マクドナルドが凋落した最大の要因は「ハンバーガーというワンコンセプトによる、売上5,000億円規模の外食チェーンの存在が、食の嗜好の多様化により難しくなった」という背景があるのではないかと思います。「すき家」や「モスバーガー」は商品開発などに力を入れて、客単価の向上などに努めているようですが、それはマクドナルドよりも数倍売上規模が小さいからこそ効く施策なのです。

今後のマクドナルドについて考えると、上記の理由から売上の減少は下げ止まらないことが予測されます。現在、店舗が続々閉店しているようですが、売上規模を大幅に落として、他の外食チェーンのように顧客の嗜好に合わせた商品を開発して利益を出すという流れになるかもしれません。(しかし、マクドナルドは商品開発においてグローバルの規制が激しいという話も聞くので、どうなんだろうとも思いますが。)

Facebookの売上がTwitterの9倍あり、3倍のユーザーがいる理由

ユーザー数はTwitterの3倍。しかし、売上は9倍も高いFacebook

その昔、mixiの利用者がたくさんいた頃、同じ様にモバゲータウンの利用者もたくさんいました。しかし、同じ様に利用者がたくさんいても、mixiに広告を出すと効果が良いのだけれど、モバゲータウンに広告を出しても対して効果がよくないという話をよく聞きました。

そして2015年現在、mixiはFacebookに取って変わられました。Facebookの第3四半期の売上は45億ドルに達していますが、一方Twitterは5億6920万ドルの売上とFacebookの1/9しかありません。月間のアクティブユーザーはFacebookが9億6800万人(第2四半期)、Twitterが3億2000万人(第3四半期)ですからアクティブユーザー数は3倍程度の開きに対して、収益は9倍も開きがあります。
その理由を、TwitterはFacebookのように小口の一般広告主に広告が解放されていないからと見る向きもありますが、前述のmixiとモバゲーの例も含めて考えるとこれは、根っこのところには心理学に根ざした要因があると思うのです。

ego(自我)と外界の間には、境界があいまいなトワイライトゾーンがある

心理学者の河合隼雄さんと小説家の村上春樹さんが、対談にてego(自我)とは別にself(自己)という概念があるのではないかという風に語っています。村上春樹さんは、次のように言っています。

”はっきりとしたことはまだ突き詰めてなくて、いま考えているところなんですが、ここにセルフというものがあって、ここにエゴというのがあるんじゃないか。で、ここに外界が周りを取り囲んでいるんじゃないか。”

ego
つまり、ego(自我)と外界の間には、self(自己)という境界があいまいなトワイライトゾーンがあるという指摘です。この村上春樹さんの言葉に対して、河合隼雄さんはself(自己)には環境も含まれるのではないかという話をします。

”だから、ひょっとしたらここは環境のほうも入ってるかもしれませんね。ある程度、うまいこと。(中略)だから例えば環境といっても、ここに座っている人とこのジュースとはずいぶん違うんです。例えば「僕のジュース」という言い方をするでしょう。ほんとは僕のジュースじゃないんだけど、僕のジュースといってもみんなおかしくないというのは、これを僕が飲んでもみんな怒らないからですね。ところがこの天井を僕の天井と言ったら誰も同意せんですね。だから「僕のジュース」とういのは、このトワイライトゾーンに入ってるかもわからん。”
(河合隼雄対談集「こころの声を聴く」新潮文庫より)

そして、Facebookに投稿されている内容は、だいたいが、ここでいうところのself(egoと外界の狭間にある環境)に該当するわけです。自分が訪れたレストランで撮影する料理の写真や、訪れた旅行先の写真、そして仲間内で飲んでいる風景など、ego(自我)に接しているself(自己)という環境の写真を投稿しているわけです。
ということは、Facebookの利用者は自分のタイムラインをselfそのものと捉えます。そこに流れたきたターゲティング広告をselfの一部としてとらえるため、反応が良いということになるのです。

一方のTwitterは、self(自己)の領域に係る投稿をするのは若年層だけで、だいたいは外界の話題(面白ネタやオピニオンによるコメントなど)を消費して楽しむプラットフォームです。つまり、Twitterのタイムラインは、self(自己)の外にある客観的な視点で見ているわけです。そのタイムラインに広告が流れてきても、閲覧中のテレビに流れて来る広告を見るのと、さほど変わらないのかもしれません。

self(自己)に属するSNSプラットフォームは利用者が最大化する

また、先日利用者数が4億人を突破したインスタグラムも、利用者がタイムラインをself(自己)としてとらえるソリューションです。自撮りや生活の一部を切り取った写真たちは、self(自己)を切り取ったソリューションと言えるでしょう。
そして、これらのself(自己)に属するソリューションは、利用者数が最大化する器と成り得ます。Twitterのアクティブユーザーが伸び悩むという話を聞いてから久しいですが、selfに属さない客観的なコンテンツを扱うソリューションは、3億人程度が上限なのかもしれません。

情報をゆるく繋いで、空間設計が求められるWebメディア

「Cancam」は「女性自身」よりもショートケーキのほうが近い

例えば「女性自身」と「Cancam」は同じ”雑誌”というくくりですが、むしろ距離が遠い気がします。「Cancam」は「女性自身」よりは、むしろショートケーキのほうが距離が近い気がします。雑誌と食べ物なのに。

このように、定量的には同じカテゴリに属するんだけれど、定性的には全く同じカテゴリに属さないものたちがたくさんあります。
例えば「NHK のど自慢」と「テラスハウス」は定量的にはテレビ番組ですが、「テラスハウス」はむしろのど自慢よりは、ヴィダル・サスーンの方が近い気がします。

では逆に、定量的には同じカテゴリに属さない以下の項目を見て何を思い浮かべるでしょうか

・リネンのチュニック(洋服)
・ミナ・ペルホネン(ブランド)
・そば粉のパンケーキ(食べ物)
・かもめ食堂(映画)

雑誌「リンネル」のようなナチュラル系女子の生活が浮かび上がってきますね。このように、定量的には同じカテゴリに属さないのだけれど、定性的には極めて近いところにいる情報をくくるのが、メディアの役割だとも言えます。
雑誌が主流だった時代は、この手法がメインとなってメディアは作られていたと思うのですが、webでは定量情報のみに注目したメディアがけっこうあります。ハウツーだったり映画の上映スケジュール、PC等のガジェット情報などです。同じカテゴリの定量情報の記事を扱うということは「情報が情報として存在している」ということであり、これからのメディアとしてはけっこう大変かと思います。

「情報が情報として存在している」記事をメディアとして集約するのは(雑誌で言えば東京ウォーカーなど)、情報が点在していた時代には意味があったのですが、いまは「検索」という手段によってほしい情報にすぐアクセスできてしまいます。そして、ユーザーは欲しい情報を取得したら、その情報が掲載されているメディアを意識することなく直帰してしまいます。
かつ、そういった情報にアクセスする人たちの属性はまちまちなので、メディアとして広告もつきにくい状況になります。

つまり「情報が情報として存在して良い」メディアとは、そもそも利用者数が多いYahoo!などのポータルサイトなどでないと、成立が難しいのです。

記事同士をゆるく繋いで、空間を設計する

逆に定性的に近い情報をくくったメディアの何が良いかと言うと、読み手がそこに共感を覚えてメディアを認知するようになるということです。そして、そのメディアが提供する場の雰囲気を味わうために、再びメディアを訪れて習慣化していきます。
こういったメディアは、Facebookページと非常に相性が良いです。Facebookのタイムラインを流れる情報は、自分に関連のある情報としてユーザーは認識しているため、タイムラインを流れるお気に入りのメディアの情報を閲覧することが自然な導線となります。
そして、Facebookページのいいねを集めるための広告は、興味属性やデモグラフィックでターゲティング配信が出来るため、メディアのファンになってほしいユーザーにアプローチすることができます。こちらが意図するユーザーを集客出来れば、メディアのマネタイズがやりやすくなります。

今後のメディアの設計としては、情報単位で成立する記事ではなく、記事同士が緩く連携してひとつの空間を作るような雰囲気作りの設計が重要です。
そして、web上においてはYahoo!など一部のポータルを除き「マス」という概念が存在しないため、嗜好によって細分化されたメディアが複数存在するようになります。ちなみに、こういう概念によって雰囲気作りがうまく作られているなと思うのは、価格コムが提供するメディア「キナリノ」です(https://kinarino.jp/)。
解析ツールによると100万UUを超えており、すでにタイアップ記事が入るなどマネタイズも始まっているようです。

ということで、今後のWebメディアは情報だけでなく場としての空気を醸成することが大事ですし、その方法は、定性的に似たカテゴリーの情報をセンスよくパッケージにして届けられるかにかかっているのです。

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「日本ではiPhoneは流行らない」と言われていたことを覚えているか

筆者は、長期記憶が異常に発達しているので、だいぶ前の記憶を細かく覚えていたりします。例えば、1年前の飲み会で、誰々がこう言ったよねという発言を覚えていたりというようなことです。
その長期記憶をたどって思い起こすと、今世間でマジョリティになっているモノって「絶対流行らないよね」と言われていたなと思います。

「日本はガラケー文化が強いから、iPhoneは流行らない」

2009年頃、当時所属していた会社で、マーケティング担当の社員による社内セミナーがありました。テーマは「世界OS大戦争」という内容で、ちょうど昨年iPhone3Gが発売され、Androidも発表されたばかりだったので、今後どこのOSが覇権を握るのかというテーマでした。今では史上を独占したiPhone(iOS)とAndroidですが、2009年時点ではまだまだ勝負は分からないという雰囲気で、他にもWindowsやシンビアン (Symbian) などというOSもありました。(というか、2008年におけるスマートフォンのOSシェアはシンビアンがトップだったので、誰もiPhoneとAndroidがここまで世界を席巻すると思っていませんでした。)

講演が終わった後、セミナーを聞いていた社長が「それで、日本でもiPhone流行ると思う?」という質問を講師の社員に投げかけたのですが、その人は「いやー、日本はガラケー文化が強いから、難しいでしょうねえ」と答えたのですね。2009年当時は、スマートフォンを使っているのはギークの人たちやIT企業関連の人たちが圧倒的で、一般の人たちはまだまだフィーチャーフォンを使っていました。

そのとき、社長はその社員に「マッキントッシュが発売された当時も、コンピューターを1人1台持つわけがないと言われていたんだ。(当時コンピューターと言えば、企業向けの巨大なメインフレームコンピュータが主流。)
だから、今こうだから、流行らないと思うっていうのは当てにならないんだよ。」と話していたのですが、実際その後の経過を見ると、スマートフォンがフィーチャーフォンを押しのけてメインストリームとなったのです。

しかし、人の記憶とは塗り替えられるもので、2009年当時スマートフォンが流行ることに懐疑的であったことを、皆忘れていると思うのです。

Facebookはなぜつまらなかったのか

さらに同年行われた別のセミナーでも「Facebook」について話題が上がった時、参加者の一人が「日本はmixiが強いから絶対流行らないと思うけど」という話をしていました。調べてみると2009年時のFacebook利用者は139万人で、対するmixiは920万人となっています。確かにこの時点でFacebookがmixiの利用者を追い抜いて月間利用者が1000万人を超えるなど、予想できなかったでしょう。
ちなみに、Facebookのセミナーでは、講師に向かって上級役員が「Facebookの面白さが分からない。つまらない」と発言していた姿も記憶しています。(ついでに、脳科学者の茂木健一郎さんも確か同じくらいのタイミングで「面白さがさっぱり分からない」と言っていたような気がします。)
当時、日本でFacebookをしていたのは、ITか広告代理店の関係者が多く、仕事つながりの人たちが多かったように思います。ゆえに、フィードを流れるのは自分と関係の薄い職場の人間の投稿が多かったの、でつまらなかったのだと推察します。その後、仲の良い友達や身近な人が使い始めるようになり、だんだんと面白くなっていきます。(そして今は、つながりすぎて逆につまらなくなりました…。)
初期のFacebookは「登録から10日以内に7人以上の友人と繋がる率」を最重要KPIに設定して、そのために2年間の新規開発を止めたそうで「つまらない原因」を解決する的確なKPIに注力していたのですね。

ピーター・ティール言うところの「ほとんど賛成する人がいないような 大切な真実」

ということで、iPhoneがフィーチャーフォンに勝てないと言っていた人も、Facebookがつまらないと思っていた人も、今となっては記憶が塗り替えられて「最初からスゴかった」みたいなことになっている気がしますが、得てして市場を席巻するものというのは、最初は「流行らない、絶対だめ」と言われるものが多いのかと思います。ピーター・ティール言うところの「ほとんど賛成する人がいないような 大切な真実」ということなのかもしれません。

ちなみに、みんなが「来る、絶対来る」と言っているものは逆に来ない確率が高かったりします。ピーター・ティールも「ゼロ・トゥ・ワン」で再生可能エネルギーを例に出してあげていますが、今までを思い返しても「セカンドライフ」は何だったのかなと思いますし、誰も覚えていないと思いますが2011年あたりは「サブスクリプションコマース(定期購入)」が来ると言われていました。あと、ユビキタスやライフログだったり、バズワードとして広まるけれど実態はなんだったのかと思い返したりします。という理由から、IOTに関しても懐疑的な見方をしていたりしますが…。

出典:参考
http://www.find-job.net/startup/event_growth0726
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20091224_339368.html
http://gaiax-socialmedialab.jp/socialmedia/368

マクドナルドもホンダもほぼ日も!?偶然生まれたビジネスモデル

マクドナルドの隆盛は、偶然の産物だった!?

マクドナルドが2000年代半ばからどのように栄光を極めて、そして凋落していったかというブログを書いたのですが、原田泳幸社長が就任して以降のマクドナルドは、原田マジックなど言われて素晴らしい戦略だと賞賛されていました。

ブログではマクドナルドの売上と利益の推移をグラフで見ながら、要因を探っていたのですが、来客数のアップからの単価アップという流れるようにきれいな戦略になっています。

1 100マックの低価格戦略でお客を取り戻した!(来客数アップ)
2 えびフィレオ大ヒットに続く高価格帯商品も大当たり(単価アップ)

しかし、これは元々そういう戦略を考えていたわけじゃなくて、えびフィレオのヒットは偶然だったらしいんですね。(そもそもえびフィレオを手掛けたのは、カサノバ氏だそう)

「今だから話せますが、100円マックを始めた頃は、そんなフェーズ1・2・3なんて戦略を詳細にはつくっていませんでした。客数は上がるが、絶対客単価が落ちるので、なんとか少しずつ収益を戻すということを段階的にせざるを得ないなと思ったぐらいです。具体的に何をいつ発売するかは決まっていなかったのです。戦略がないと言ったら、それこそ記者から叩かれますからね。」
原田泳幸の実践経営論「大きく、しぶとく、考え抜く。」より

ホンダの小型バイクが北米市場を席巻したのはショッピングセンターの担当者のおかげ?

MBAの教科書に載るような成功が、実は戦略ではなくて偶然だったというのは他にもあります。先日「君に友達はいらない」を読んでいたら、ホンダがかつて小型バイクでアメリカ市場を席巻したという話題についてこう書かれていました。

「それまでアメリカのバイク市場は、ハーレーダビッドソンが独占していた。同社のバイクは趣味性が高く、オートバイを愛する男たちに熱烈な支持を受けていた。その市場に乗り込むにあたり、ホンダは同じ土俵で闘うのではなくて、”気軽に乗れる機能性の高い実用的な乗り物”として自社のバイクを位置づけることにした。そのリポジショニング戦略がうまく行って、ハーレーほかのアメリカンバイクのメーカーの市場を大幅に奪ったのである」
(「君に友達はいらない」講談社刊より)

しかし、同書によるとリチャード・パスカルさんというスタンフォード大学の教授がホンダの北米進出を手掛けた人物に話を聞いたところ、戦略なんて全くなかったそうなのです。当時は、ハーレーダビッドソンに習って大型バイクを売り込んでいたものの全く売れず、ショッピングセンターの担当者が、たまたまホンダの営業担当者が乗っていた「スーパーカブ」を見て「そっちの小さいのだったら売ってもいいよ」というのが始まりだったそう。

物販サイトとなった「ほぼ日刊イトイ新聞」のはじまり

さらに、月間約139万人の訪問者数を誇る「ほぼ日刊イトイ新聞」ですが、直近1年の売上が30億円(決算期変更による参考値)を超えており、ものすごい物販サイトとなっています。しかし、同社CFOの篠田真貴子さんによると、物販をし始めたのは偶然だったそうです。

そうした中、商品という形で売り上げを立てたのは、偶然の産物でした。最初の商品は1999年秋に販売したTシャツでした。当時、事務所スタッフが少人数だったので、大学生のサークルがユニフォームを作るような感覚でお揃いのTシャツを作ろうという企画が持ち上がったとき、メンバーの一人が「読者にも売ったら喜ばれるのでは」というので、Webサイトで通信販売してみました。すると、3000枚を超える申し込みがあり、「自分たちも物販でやっていけるのでは」と思うきっかけになりました。その後、オリジナルのハラマキ、永久かみぶくろ、手帳と、1つずつ商品を開発しました。

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1308/21/news023.html

漫然と待っているだけでは、良い偶然は訪れない

ということで、マクドナルド、ホンダ、ほぼ日刊イトイ新聞と、大成功を納めているビジネスでも、最初からきれいに戦略を描いたわけではなく、やり続けることで偶然の幸運に巡り会うことも多いようです。
しかし、一方でそのチャンスをただ漫然と待っていたわけではなく「天は自ら助くる者を助く」ということわざの通り、フィソロジー(哲学)を持って地道に準備をしています。

マクドナルドの例でいえば、起爆剤となった「えびフィレイオ」が誕生したのは偶然ですが、原田社長は就任後に「メイド・フォー・ユー」というスローガンのもと、キッチンの大改革を行なっており、これがなければ「えびフィレイオ」ほかに続く高価格帯の商品は生まれませんでした。ホンダの例も、そもそもホンダが小型のバイクを開発できる技術力と実績があったからこそ、ひょんなきっかけで一気に小型バイク市場が広まることになったのです。
さらにほぼ日刊イトイ新聞も、物販が順調なのはメディアに共感するファンが一定量存在するからです。サイトが始まった当初から「自分たちがおもしろいと思うことをする」という信念のもと、1度も広告を入れたことはないと言い、様々な運用ポリシーを貫いています。

このように、ある種の事業には、きれいに描いた戦略ではなくて、自分たちのフィソロジーに基づいて着々と準備をして「いつか訪れる偶然を待つ」という行為が求められるのかもしれません。

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