日別アーカイブ: 2015年11月27日

男性向け「モノマガジン」が、若年層に受け入れられる理由

男性誌の中でも、安定した部数を保つ”モノマガジン”

先日からこの7年の間に部数を増やした雑誌と、そうでない雑誌の違いについて書いてきたのですが、男性向けの「モノマガジン」も比較的部数が安定しています。

「Begin」(世界文化社)が2008年に13万8千部だったのが、2015年に10万8千部と3万部の減少、「デジモノステーション」(エムオン・エンタテインメント)が2008年に10万部だったのが2015年に9万部と1万部の減少となっています。
男性向けモノマガジンの部数が安定しているのも、先日のブログで書いた「Hanako」が安定している理由と近いかもしれません。男性は女性よりも、モノに対して機能以上の感性的価値を感じて、物語性のあるモノを好んで使う傾向があります。ここで例をあげた2つの雑誌は、紙媒体として世界観を形成しやすいカテゴリを選んでいると言えます。

消費をしなくなったと言われるミレニアルズ世代

この2誌以外にもモノマガジンはあるのですが、部数を8万部近く減らして7年前の半分になってしまった雑誌もあります。これらの雑誌の特徴を見ると、以下のような特徴があります。

・モノの定量的な情報に終始している(インターネットに置き換えられる)
・ターゲットとする年齢層が高い(30代後半〜40代以降)

雑誌の傾向として、年齢層が高めに設定されている雑誌の方が部数を伸ばしているのですが、モノマガジンに関しては20代〜30代向けの先ほどの2誌の方が安定しています。
日本でも「若者の○○離れ」や「さとり世代」などという言葉をよく聞きますが、アメリカにはミレニアルズ世代という世代観があります。1980年代以降に生まれて、現在20〜30代になっている若者のことで、消費をしない世代ということで知られています。
日本でも同年代層の消費が乏しいということで話題になる層ですが、そもそも可処分所得が減っているので、消費傾向が絞られるのは必然です。ただし、日常の消費は渋るものの、自分が良いと思ったモノにはお金を出す傾向があります。そういった意味で、少し高いけれどちょっと良いモノをセレクトした「モノマガジン」を読むということは、「Hanako」を雑貨として楽しむ女子と同じように、その雑誌を読んでいる空間や時間込みで価値を感じているのかもしれません。

また、例に挙げた2誌はそれぞれウェブメディアにも力を入れており、「デジモノステーション」については「デジモノ!」という専用のキュレーションサイトまで立ち上げています。解析ツールで見ると、月間の訪問者数が「Begin」は数万人程度、「デジモノ!」は30万人以上あるようで、雑誌の世界観をウェブでも展開しています。(というところから、やはり20代〜30代前半がターゲットであることが分かります。)

「Begin」
http://www.e-begin.jp/

「デジモノ!」
http://www.digimonostation.jp/

男性版「北欧暮らしの道具店」を目指せる?

そして、モノマガジンが成立するのであれば、そのままEC化しても親和性が良さそうですが、海外の面白いガジェットを販売する「RAKUNEW」というECサイトがあります(https://www.rakunew.com/)。
売上は不明ですが、月間訪問者数は数十万程度はあるようで、解析ツールを見ると直接訪問が3割に上っており、リピート率の高さがうかがえます。(サイトへの直接訪問が多いということは、お気に入り等から再訪している経路が多いことを指します。サイトの規模にもよりますが、通常は10%以内におさまります。)

こういった男性向けのモノECが、逆にメディア化する可能性もあるかもしれません。北欧の雑貨を販売するECサイト「北欧暮らしの道具店」は、ECサイトに「読み物」というコーナーをつけて自社メディア化を行い、今では「おしゃべりノオト」と「暮らしノオト」という冊子も定期刊行しています(1冊280円)。

感性価値を伴うモノ情報は、「消費は押さえるけれど、気に入ったものにはお金を使う」というミレニアルズ世代のスタイルにはマッチしています。女性向けの「北欧暮らしの道具店」が、EC→メディア化したEC→定期刊行物の発行と進んだように、男性のモノ市場にも同じチャンスがあるかもしれません。