月別アーカイブ: 2015年10月

余白がある世界について

選択肢の大半がふざけているゲーム「絶体絶命都市」

「絶体絶命都市」というゲームシリーズがあるのですが、これがとても面白いんです。ニコニコ動画などでも実況動画が多数アップされているのですが、水没しそうな新興の大都市から脱出するというシリアスなテーマでありながら、限りなく選択肢がふざけています。
例えば、いじめられっ子の高校生の女の子が、いじめていた女子生徒が崖から落ちそうになっている時に、「何も言わないでニヤリと笑う」とか「良い気味よと言う」とか、シュールな選択肢が出て来るんですね。しかも、そういうふざけた選択肢が8個中7個を占めていたりして、突っ込みが好きなネット民にとってはたまらないゲームなのです。
さらに、セリフの選択肢の他にもおふざけ要素があり、ゴミ袋とガムテープを組み合わせて、妙なコスチュームを作れたりもします。遊び心の伸びしろというか、突っ込みどころのある余白が多いなと思います。
ニコニコ動画のゲーム実況では、このように突っ込みどころの多いゲームが好まれる傾向にあるのですが、だいたいが2000年代に発売された据え置き型ゲームです。
余白の反対は、効率です。今のスマホのソーシャルゲームなどを見ると、とにかく効率が突き詰められて考えられています。例えば、「絶体絶命都市」のように選択肢が8個も用意されていて、しかもボイスがついていたら声優さんの稼働がかさみます。それが、課金率に還元されなければムダなものと判断されるでしょう。最近のゲームは、とにかく課金収益における効率性から逆算して作ったモノが多いなと思います。
ふざけていることを、許さないんですね。

突き詰められた効率。「ほぼ日刊イトイ新聞」のあえて作る余白

効率が突き詰められると、色んなことが最適化されるので、だいたいどれも似たようなものになります。今のappstoreの上位にいるのも似たようなライト系のパズルゲームだったり、クイズゲームがほとんどだと思います。
そこに余白が存在しないということは、突然変異が発生しないということなんですね。だいたいみんな80点前後の平均点を取れるコンテンツになり、100点を超えるような突然変異的なコンテンツを生む伸びしろが、少なくなるということなんです。
これは、今のウェブメディアにも言えることで、マーケティングというツールで効率と最適化を行なうと、まだまだSEOが有効なので検索クエリに引っかかりやすいページを量産しようということになります。さらに流行のキュレーションサイトのコンセプトは、いずれも「手に届くなんとか」とか「身近ななんとか」とか、似通ったものになって、似たような記事が量産されています。
糸井重里さんの「ほぼ日刊イトイ新聞」は、意識的に余白を大事にしてるなと思います。毎日更新される糸井さんのコラム「今日のダーリン」というコーナーがあるのですが、バックナンバーは読めません。SEO的に言ったら、ストックに記事にならないのでもったいないのですが、あえてそうしているのです。マーケティング的に解釈すると、1日で消えてしまうことによって、毎日アクセスしようというモチベーションを喚起しているということになりそうですが、おそらく糸井さんの心中はそういうところではなくて、あえてそういう伸びしろや余白を意図的に作ってるんじゃないのかなと思います。
▼今日のダーリンのバックナンバーについて。「ほぼ日刊イトイ新聞」より

「今日のダーリン」は、基本的には、

「毎日、更新されて、
毎日、消えていくコンテンツ」というふうに
とらえていただければ、と思います。

「いつか無くなるものを求めちゃいかんのだよ。
無くなるものは、求めるためではなく、
そいつで遊ぶために、この世にあるんだからな」
(『セフティ・マッチの金の言葉』より)

「妖怪ウォッチ」に学び、ひっかかりのあるネーミングを考える

こんばんわ、トリブログです。

昨日妖怪ウォッチを生み出したレベルファイブの社長さんが、妖怪ウォッチのネーミングについて語っている記事を見て、なるほどなぁと思いました。

妖怪ウォッチ』では、まず妖怪をテーマにしたRPGを作りたい、という発想があり、そこから、「妖怪とくっつけていちばんひっかかりがある言葉は?」と考えていったのだそうだ。しかし、“妖怪の館”、“妖怪小僧”、“妖怪番地4丁目”……などなど、いろいろ考えてもピンとこない。そこで活用したのが、日野氏が「すごいタイトル」と評する、『ドラゴンボール』式の命名法だ。“ドラゴンボール”は、“ドラゴン”のあとに、“ボール”という日常的な単語をつけることで、ファンタジー感と現代性を結びつけ、異質な感じを生み出したすばらしいタイトルだ、と日野氏。同様に、“妖怪”のもつ“古い”、“有機的”、“不気味”、“謎”といったイメージとは正反対に、“新しい“、“無機質”、“クリア”、“よく知られている”というイメージを持つものとして“ウォッチ”を結びつけ、ひっかかり、違和感を生み出したのだという。

妖怪というおどろおどろしい言葉と、ウォッチという無機質な言葉を組み合わせることにより、ひっかかりのある言葉を生み出したというのです。

つまり、人々の記憶の片隅に残るキャッチコピーや商品名を考えるには、2つの異質な性質を持った言葉を組み合わせることが必要であるということです。

ということで、今朝うらぶれた歓楽街を通り抜けながら、何か引っかかりのあるネーミングを考えられないかと思案していました。

まず、無機質なワードとして「ボックス」というキーワードが浮かんで来ました。ボックスが持つイメージは、ただそこに箱が鎮座しているようなイメージを受けます。静か動かでいったら、完全に静のワードです。

では、「ボックス」と組み合わせるべきワードは、とことん「動」のワードであるべきです。

究極の「動」を持ったワード、

究極の「動」を感じさせるワード、

究極の「動」がほとばしるワード、、、

と、その時一筋の光明が走ったのです。

究極の動、それは

藤岡弘、

であると。

ご存知の通り、藤岡弘、さんは初代仮面ライダーですが、正式名称は「藤岡弘、」。
常に同じところに留まらないという決意を現す読点がついているのです。

無機質なワードに耐えうる究極の動を持ったワード。それは紛れもなく

 

藤岡弘、

 

なのです。
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そしてここに、「妖怪ウォッチ」に発想を得た新しいキャッチフレーズ

 

 

藤岡弘、ボックス

 

 

が誕生したのです。

 

 

 

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「孤独のグルメ」や散歩番組のヒットの背景ある、みんな疲れてる現象

2000年代に入ってから人気となった「孤独のグルメ」。好調な散歩番組。

ドラマのシーズン5が放送され、視聴率が1%代から2%代になったという「孤独のグルメ」ですが、90年代に連載をしていた時は3刷で絶版になるなど、まったくだったようです。2000年代に入り、文庫版が発売されてからは増刷が年に2回づつかかるようになり、2015年に第2巻が発売(なんと1巻から18年ぶり)されました。
また、「孤独のグルメ」の原作者、久住さんが手がけるグルメ漫画「花のズボラ飯」も好調で、累計発行部数は60万部に達しています。
さらには「おとりよせ王子 飯田好実」なんていう、26歳の青年エンジニアがお取り寄せグルメを楽しむという漫画もあり、こちらもドラマ化されています。
これらの漫画に共通するのが「ただひたすら、主人公が素朴なグルメを食す」ことにスポットを当てているという点です。ひたすら主人公が目の前のグルメ(高級ではない)を食べるシーンを綴っているのです。「食べること」ことに焦点をあてた、非常にプリミティブな構成となっています。
“ただ○○しているところを写し続ける”という意味でいうと、散歩番組も好調です。出演者たちが散歩している様を放送する番組が多くなっています。「正直さんぽ」や「モヤモヤさまぁ~ず2」に加え、加山雄三の「ゆうゆう散歩」の後継番組「じゅん散歩」も始まりました。
これらの番組に共通しているのは、視聴者が何も考えずに、番組に登場する人たちの追体験をするような構成になっているということです。

スマートホンによって、集中力が細切れに分散

90年代あたりのテレビ番組を振り返ると、過剰な番組が多かったように思います。熱湯芸人が悲惨な目に合うお笑いや、強気なおばさんタレントがホストをつるし上げたりと、えげつない演出も多数ありました。
しかし、現在ヒットしている番組を見ると「ただ○○しているところを単調に放送する」という素朴な構成がウケているのです。
背景のひとつとして、みんな疲れているのではないかなと思います。2010年以降はスマートフォン時代になり、色々なものが細分化されました。情報もTwitterでつぶやけるコンテンツに細切れにされ、スマホをいじる時間も数分単位と細かく区切りられ、ソーシャルゲームは1駅間に1ターンが終わるように設計されています。
先日深夜0時の駅のホームで回りを見渡してみたのですが、7割の人がスマートフォンを触ってうつむいた状態でした。しかも、LINEを立ち上げてメッセージを返したり、Twitterでメンションを確認したり、Facebookで友達の投稿をみたりと、1つの作業を数分、いや数秒単位で行っています。
ひたすらスマートフォンに来る通知を気にして、私たちの集中力は細切れにされて、慢性的に神経過敏状態にあるのではないかという気すらします。
一方、テレビはスマホに比べたら受動的に長尺のコンテンツを楽しむメディアです。そこの人気コンテンツとして、プリミティブで淡々としたものがウケているというのは、人々の神経が疲れている反動のような気がしてしまうのです。
出典
http://www.jprime.jp/tv_net/tv/19641
 

特殊すぎる日本のツイッター〜おっさんの溜まり場からマイルド2ちゃんねるになるまで〜

Twitterの利用者が頭打ち?日本を開発の注力拠点に?

Twitterの月間利用者数が3億1600万人となり、今年に入ってから減速しているとかで株価が下がっているそうです。3億もいるなら良いじゃないと思ってしまいそうですが、Twitterが長いこと3億人前後にとどまっている間にFacebookは1日の利用者数が10億人を突破しているとかで、Twitterは行き詰まりを見せるのではないかという予測になっているのです。創業者のジャック・ドーシーさんがCEOに復帰する中、日本での開発拠点に注力するというニュースも流れています。
実は、日本語は世界で2番目につぶやかれている言語で、日本人のTwitter好きは異常とも言われているのです。

しかし、Twitterの日本ユーザーは客観的に見てすごく特殊なように思えます。最近では、ツイッターはマイルド2ちゃんねるなのではないかと思うほどです。ということで、Twitterのユーザー属性を見ていってみたいと思います。

おっさんのたまり場から、マイルド2ちゃんねるになるまで

twitter

1 始めにTwitterを使い始めたのは、おっさん
こちらがTwitterのユーザー分類をイラストにしてみた図です。まず、最初にTwitterを使い始めたのは、IT企業や広告代理店の関係者(おもにおっさん)でした。2009年6月時点は利用者は約320万人(※1)で男性が7割を占め、35歳から54際が全体の6割を占めていたのです。今じゃ考えられないですね。何か海外から来たサービスを使ってみようというのと、オピニオン(津田大介さんなど)をフォローする動機で始めたのではないかと思います。

※1出典 https://ja.wikipedia.org/wiki/Twitter

2 芸能人のアカウント開設によって、一般の人たちが使い始める
おっさんの情報ツールとして機能していたTwitterですが、徐々に著名人が参入してきます。2009年後半には孫さんや広瀬香美さんなどがアカウントを開設し、2010年には有吉弘行さんや、きゃりーぱみゅぱみゅさんがアカウントを開設。有名人をフォローしたい一般の人たちが流入し、2010年10月時点での利用者が1千100万人を超える(※2)など、急速に普及していきます。また、2011年の東日本大震災でも情報取得のツールとしてTwitterが注目され、普及のきっかけとなっているかと思います。

※2出典 http://media.looops.net/

【流れ込む2ちゃんねるのカルチャー】
このあたりから、Twitterに2ちゃんねるのカルチャーが感じられるようになります。例えば、一斉に「天空の城ラピュタ」のほろびの呪文「バルス」をつぶやくいわゆる祭りや、大喜利的なお題のハッシュタグはそもそも2ちゃんねる上で行われていたやりとりに類似しています。そして投稿の内容にも2ちゃんねる特有のネットスラングが見られるようになり、シャープなどの企業公式アカウントもネットスラング(アカウントのことを垢と呼ぶなど)を使うようになります。
なぜTwitterに2ちゃんねるのカルチャー(いわゆるネットカルチャー)が侵食していったのかは謎ですが、仮説としてTwitterで2ちゃんねるまとめブログがよくシェアされるようになり、その文化に親しんだということが一点。そして、2012年6月に一部の2ちゃんねるまとめブログが2ちゃんねるからの転載禁止命令を受け、Twitterの人気のつぶやきをまとめるようになりました。その作用もあって2ちゃんねるのカルチャーが相互に入ってきたのかなという気がします。

3 若年層の間でブレイク
最後にTwitterを使い始めたのが10代〜20代前半の若年層です。15~19歳でTwitterのアカウント所有率が5割に達するというデータ(※3)もあり、ここ数年は若年層の利用率が高まっています。理由としては口コミで広まった他、Twitterを使った動画配信サービス「ツイキャス」の普及もひとつの要因としてあるのかなと思います。2013年3月に200万人だったツイキャスの利用者数は、2015年9月には1000万人を超えたそうです(※4)。
この若年層の使い方はかなり特殊で、自分の些細な日常を身近な友達にシェアするLINEのような使い方をしています。実際に、鍵つきアカウントにして身近な知り合いにしか公開していないことも多いようです。しかし、Twitterが開かれたソーシャルであることへの理解が足りないことから、ソースの口を鼻に突っ込むなどの写真をTwitterに投稿して炎上するなど、いわゆる「バカッター」と呼ばれる人が出て来てしまうのもこの層です。

※3 http://www.opt.ne.jp/news/pr/detail/id=2341
※4 https://ja.wikipedia.org/wiki/TwitCasting

■まとめ

ということで、おっさんの溜まり場であったTwitterがマイルド2ちゃんねるとなり、若年層にブレイクするまでを整理してみました。本当に日本て特殊な市場だなと思うのですが、今後については広告でのマネタイズは難しいかなと感じます。Twitterはコンテンツ流通のプラットフォームなので、大喜利などに代表されるように面白系のコンテンツが即座にリツイートされて拡散しますが、リアルグラフとして使っているのは若年層のみです。
しかし、インスタグラムやミックスチャンネルなどに若年層が流れていくのではという気もしており、リアルグラフに紐づかない広告は総じて単価が下がるように思えます。
また、Twitterの土壌がマイルド2ちゃんねるである以上、Facebookほどは普及しないのではないかという気もします。ということで、この後Twitteの動きがどうなるのか注目したいところです。

キティちゃん、リラックマ。人気キャラクターが無表情な理由

キティちゃん、リラックマ、LINEスタンプのブラウンに共通するもの


かなり前のことですが、LINEのスタンプキャラクターで一番人気なのは、国外問わずクマのブラウンだという話がありました。
そして、不動の人気のキティちゃんは、海外のセレブが愛用して逆に国内でも火がついたという話があります。そして、キティちゃんのサンリオと対をなしてキャラクタービジネスを手掛けるサンエックスの看板キャラクターは、リラックマです。

この3キャラクターには、「無表情」という共通する項目があります。いずれもシンプルな描画で、それほど大きくない瞳と、笑っていない口元。大多数の人から受け入れられるキャラクターの条件は「無表情」と言ってもいいのかもしれません。

無表情であるということは、受け取り手の感情を自由に投射できる偶像となっているということです。悲しい気持ちの時にキティちゃんを見たら、悲しい表情に見えるかもしれないし、楽しい気持ちの時であれば笑っているように見えるかもしれません。
受け取り手の想像によって、解釈が傾く余地がある顔(無表情)というのが、キャラクターとして普遍性を持つ鍵なのですね。

実写恋愛ゲームがヒットしない理由


一方、女性向けの恋愛携帯ゲームのキャラクターにも、ある法則があります。実写の恋愛ゲームは、ヒットしないのでう。恋愛ゲームに出てくるキャラクターは、皆アニメイラスト調なのです。
そして、どの恋愛ゲームでも、だいたい3人から5名くらいいる男性キャラクターの中から一人を選んで進めていく形になっています。

これらのキャラクターには、それぞれ性格づけがあり「大人系(たいていメガネをかけている)」、「年下系(目が大きい)」、「ツンデレ系(持ち上げて落としてくる)」といったカテゴリに分けられています。
これも、先ほどの無表情のキャラクターたちと同じく、受け手の想像の解釈を広く受け止められる構造、つまり実際のモチーフを抽象化している偶像であると言えるかと思います。

これが仮に、実際の大人の男性(渋谷美容院勤務:29歳)を登場させた場合、
「髪の毛の襟足が長いのが気に入らない」
「手にはめてるブレスレットが嫌だ」
などなど、たくさんの不満が出てくるのです。しかし、それを「大人系男子」としてイラストとして抽象化することで、受け手側は実際に描かれていない細部(襟足とか)を自分の都合の良いように解釈するのです。

リアル世界をモチーフにした偶像


要約すると、キャラクターやゲーム、アニメに漫画といったコンテンツ全般は、リアル世界をモチーフに偶像化したものであり、受け手側の想像力を抱えられる、ひとつの器とも言えるわけです。

リアル世界のモチーフ(もしくは概念)を、どのサイズでどのくらいの形に切りとり、どう加工するかが、大多数に指示されるかどうかの試金石になります。
ちなみにサンリオと違ってサンエックスのキャラクターは、世情を反映するような性格づけがされており(リラックマは方の力を抜いて、だらんとした性格)、このあたりもリアル世界をモチーフにした偶像と言えるかもしれません。
(最近ではサンリオも「ぐでたま」など、だらんとしたゆるい性格設定のキャラクターを出していますね。)