月別アーカイブ: 2013年12月

ミサイル経営をつらぬいた孫さんとジョブズさん

YAHOO

ギャンブラーすぎる孫さん

多角化経営か弾丸経営のみが生き残る?」に関連した話題なのですが、一番すごいと思うのは企業規模が大きいのにも関わらず、弾丸経営をしている会社です。これをミサイル経営と呼ぶことにします。

もちろん、ミサイル経営日本代表は、孫正義さん率いる「ソフトバンク」です。経営というよりは、半分ギャンブルくらいの大きい賭けをしてきました。

2001年、なかなか日本でブロードバンドが浸透しないことに業を煮やした孫さんが、NTTに殴り込みをかけるべくYahoo!BBを立ち上げます。駅前でモデムを配る部隊が出動したのが印象的でしたね。(Yahoo!BB立ち上げについても、当時総務省の大臣だった麻生さんのところに乗り込む等、数々の逸話があります)
Yahoo!BBを運営するソフトバンクBBの2003年当時の収支がどうなっていたかと調べてみると、なんと営業利益は922億円の赤字です!

この孫さんの活躍のおかげでブロードバンド回線の価格が下がり一般に普及していくのですが、今度は2006年に携帯の通信キャリア事業に参入するためにVodafoneを買収します。その額、約1兆7500億円で、有利子負債は2兆4000億円にものぼりました。
その後独占販売していたiPhoneが大ヒットするなどの幸運にもめぐまれ、2012年9月末時点では有利子負債を1兆6872億円まで減らすのですが、2013年に米通信キャリアのスプリントを買収することによって有利子負債は3兆3372億円に膨れ上がっています。ギャンブラーすぎる!

自分のタコ足を食べられるジョブズ

企業体が大きくなるとなぜ弾丸経営がしづらいかといえば、部門間で競合となる事業を行いづらいからです。iPodの大成功の後、SONYはウォークマンを発明したのだから、同様の事業を行えたのではという指摘がありました。しかし、SONYが音楽配信事業に乗り出すと、関連企業であるSony Musicの収益を圧迫する可能性があるので実現できなかったと言います。

逆にAppleはiPodが大ヒットし、軽量化したiPodminiも続いてヒットするのですが、さらに軽量化したiPodnanoを発売するとminiを生産中止にしてしまいます。まだ市場で十分に売れているのにも関わらず、です。
その後、iPhoneを発売して世界的大ヒットになるのは周知の事実ですが、iPhoneには音楽再生機能が搭載されており、よく考えるとiPodの競合となる製品です。これが日本企業のように、すりあわせによる調整を行う組織体だと、既存事業の脅威となる事業なんてとんでもないという話になります。しかし、APPLEは、自らの会社の主力事業の脅威となる事業を自らが生み出しているのです。

ロケット型経営者が目指すものとは

ということで、奇しくも孫さんとジョブズは仲良しだったわけですが、二人に共通にしていたのは遠い先の未来を見据えて実現しようとしていたということです。孫さんは、ブロードバンドが普及し一般の人々がインターネットを使える世界を実現しようとしてYahoo!BBに参入したわけですし、ジョブズはテクノロジーとリベラルアーツの交差点を目指して常に革新的なプロダクトを提供するために次々と新しい製品を開発しました。

ただ、この未来を見通してそれを実現するセンスのようなものは、万人が勉強して習得できるというたぐいのものではありません。持って生まれたセンスや、生い立ちなど様々な要素からこういうロケット型経営を行う経営者が生み出されたのではないでしょうか。

これがリーンスタートアップのフローチャートだ!

世の中のサービスの失敗理由で最も多いのは、「使う人がいないサービスを作ってしまうこと」なんだと思います。これは身に染みて感じていて、自分がそういうサービスを作ってしまったことがあるので、二度とやってはいけないリストの先頭に上がっています。

二度とそれをしないために、サービス、プロダクトのあるべき立ち上げ方を研究した結果、リーンスタートアップこれに尽きると思うのです。
ということで、事業を考えた際にチェックすべきフローチャートを作ってみました!
フローチャート

1.サービスアイデアがある

自分が今サービスのアイデアを持っているかどうかです。持っていないのであれあば「2.問題解決しないといけないと思っている課題を持っているかどうか」です。両方ともない場合は、事業は立ち上げなくて良いのかなぁと思います。どちらかが満たされていれば、「3.それを使いたい顧客が存在する」に進みます。

3.それを使いたい顧客が存在する

これが最も重要なステップです。誰かが使ってくれない限り、世の中にあっても意味がないのです。プロモーションムービーを作ったりモックを作るなりしてサービスを顧客に見てもらい、確実に需要があることを確かめる必要があります。その結果、誰も使いたい人がいなかった場合は、サービスを修正するか0から考え直す必要があります。ここをクリア出来た場合は「4.すでに市場が存在する」に進みます。

4.すでに市場が存在する

確実に使いたい顧客がいて、いまだに市場が存在しない場合は、1分1秒でも早く世に出すべきです。逆に、すでに市場が存在する場合(むしろそちらの方が圧倒的に多いでしょう)は、「5.市場のことを把握している」に進みます。

5.市場のことを把握している

既存市場に参入しようとしているのに、市場のことを理解していないのでは話になりません。しかし、市場のことを理解せずに参入しようとしている人はあまりにも多いです。ECを経験していないのにECビジネスとか、音楽が嫌いなのに着うたビジネスとか、介護経験がないのに介護ビジネスとか・・・。せめてその市場に関する知識がなければ、いざ事業をはじめても指標が良いのか悪いのかが判断できませんし、そもそもビジネススキームが完成しないのです。
全くの初心者であれば、まずは関連の書籍を10冊読みましょう。これをクリアしている場合は「6.サービスに継続性がある」にすすみます。

6.サービスに継続性がある

5までの条件をクリアしていると、そのサービスは一時は急激に話題になります。しかし、継続性がなければ一過性の流行りになってしまって、事業として成り立たないのです。診断系サービスとか、マッチングサービスで起こりがちです。
診断は1回してしまえば何回もする必要はありませんし、マッチングは最初の1回だけマッチさせればあとはサービスのプラットフォームを飛び越えて連絡のやり取りをしてしまいます。

逆に継続性がある事業というのは、確実にユーザーが使い続けるサービスです。クックパッドは人が料理を作り続ける限り習慣的に覗くメディアですし、ニュースにも毎日見る習慣性があります。LINE等のメッセージングも毎日使う継続性のあるサービスです。

もしもサービスに寿命があると判断した場合は、短期間にいかに収益をあげるかという収益性のことを考えなければいけません。

ということでチャートを作ってみましたが、いかがでしょうか?でも、なんといってもポイントは「3.それを使いたい顧客が存在する」ですね。

同じモノサシを持ってないとしんどい

りーn

プロジェクトが始まった瞬間に積む

誰か偉人の言葉だったと思うのですが「間違っている人それぞれに理由があるが、正しい人の理由はいつも一つだ」というのがありました。
ふーんって思った記憶があるのですが、間違いかそうじゃないかの判断も主観が入るので、それを判断するためのモノサシが必要なんですよね。

私が今持っているモノサシは「リーン開発モデル(顧客開発モデル)」です。これは、簡単に言うと「真のターゲットとなる顧客が求めるものを、作っては改良、作っては改良を繰り返し、プロダクトが完成したと思った時に一気に広げる」という事業開発手法です。
ゆえに、初期段階のプロジェクトメンバーには、営業部隊も広報部隊もいません。顧客至上主義で、プロダクトファーストなのです。

ということで、私は「アントレプレナーの教科書」と「リーン・スタートアップ」を読んで以来、この開発モデルの信望者です。

というかむしろ、リーンモデルを採用しない人とは、一緒に仕事したくないです。

もっともっと言うと、もうSWOTとか3C4Pとか云々とか古いんだよ、と悪態をつきたい時もあります。

たまたまサポートで入ってと言われたプロジェクトで、のっけから営業やプロモーション部隊が編成されていると「積んだな」と思います。
既成の市場がある事業であり、メンバーが知見を積んでいるのなら良いですが、新規領域に乗り出すときはリスクが大きすぎる上にかえって効率が悪すぎるのです。

9割がた以下のルートをたどって、いずれ終わります。

売れない→営業が悪いと責める→営業は予算が足りないと言う→営業増員→売れない→毎月の売り上げを落とさないために、プロモーションが止められない→プロモーション費膨らむ→つづく・・・

顧客にとらわれていては、面白いものは出来ない!?

あるプロダクトの改良を依頼されて、私は定量データを解析してみました。どうやら、ユーザーは初期訪問で離脱してリピートしてないのですが、コンテンツページまでは到達しているようでした。私はそのデータからいくつか仮説をたて、当たっているか調べるために定性インタビューを行いました。

しかしこの場合、「〇〇だと思いますか?」とyes/noで聞いてしまうとバイアスがかかります。顧客がプロダクトを触っている間じゅう、じーーーっと観察し、躓いたところがあればそこがボトルネックになっていると判断します。

また、思うところを言ってもらって、仮説と同じ証言が得られればファクトになるのです。

これらの結果を資料をまとめ、要因と考えられる方向性をプレゼンしたのですが、プロデューサーから返ってきた答えは「ユーザーの言うことを聞いていたら、前例のないものは出来ない」でした。

リーン開発は確かに顧客の声を聞く開発ですが、顧客が言っていることを全てのみ込むのではなく、こちらで仮説を立てて、ファクトであるか顧客に検証してもらうモデルです。ゆえに、このプロデューサーに納得してもらうには「リーンとは何ぞや」という開発モデルを説明する必要があります。
(さらに言うと、プロデューサーの返答はロジックではなくて暗黙知に近いので、ロジックで説明しても解ってもらえるか分かりません。)

ということで、同じものさしを持ってないメンバーとプロジェクト組むとしんどいんじゃないかなぁと思います。今のところ、私は「リーン開発モデル」以上のものさしはないと思っているのですが。