日別アーカイブ: 2013年12月18日

勝ちパターンを探すという顧客無視の姿勢

今までストーリー風の例を用いて説明してきたのですが、事業立案において「他社から勝ちパターンを探せ」とか「売れるためのベストプラクティスを探そう」とか言うのは、顧客無視というか顧客への冒涜です。勝ちパターンがあるなら、誰でも勝ちパターンを駆使して儲かります。

ということで、勝ちパターンを探すダメな人の思考法はこうです。
顧客無視
「他社ECで儲かっているのは、ポイント還元に力を入れてキュレーションコマースをしているところ」

こうやってその時市場で流行っているバズワードをベストプラクティスに設定して「コレをやればイケる」みたいな理論になります。

で、説明するまでもなく顧客無視なんですよ。顧客はなぜこのECサイトでモノを買っているのかという考察がないのです。いくらポイント還元されても取り扱ってるアイテムが年に1回しか買わないようなものだったら、いつまで経ってもポイントは貯まりません。また、顧客がわざわざ目的買いしにくるような商材だったら、キュレーションコマースなんて入れられても邪魔です。むしろ検索インターフェースを充実させるべきです。

つまり、顧客は何が欲しくて、どういう気持ちでここに来ているかが解かっていないのです。対して、そういうことが分かっている人の思考法はコレです。
顧客満足
・顧客は誰?:アパレルやインテリア、アートなど、感性に訴えかけるアイテムを見る、買うことが好き
・何を求める?:他のコマースにはない感性に訴えるアイテム。アート、雑貨、ファッション。
・どのように?:指名買いではなく、商品をを眺めるようなインターフェースで

これは、米で驚異的な成長を遂げているECコマース「Fab」の例です。1300万人以上の登録数を誇り、リピート率は7割超え、創業から2年未満で2億5千万ドルを売り上げたと言います。
このECは完全に顧客視点から出発しています。日用雑貨から洋服まで多種多様な商品ラインナップを取りそろえるAmazonをコモディティ(一般化)コマースと位置づけ、自分たちは買い物のワクワク感を顧客に与える「エモーショナル・コマース」だと位置づけているのです。顧客から見て、満ち足りてなかったECの潜在需要を喚起し、エモーショナルコマースというコンセプトを出発点に、プロダクト、インターフェースなど全ての要素がそのコンセプトを満たすために設計されています。

CEOのジェイソン・ゴールドバーグ氏は顧客に何を提供すべきかを、顧客目線で把握しています。顧客が1番目に求めるのは、ここでしか出会えないユニークな商品、そして2番目に求めるのは最高の買い物の体験です。(この順番が分かってない人は、妙にUIにこだわってみたり、関係ないところをいじくりまわします。)

1番目の要望を満たすために、Fabの扱う商品の99%はアマゾンでは売っておらず、2番目の要望を満たすためにカスタマーサポートに全体の10%以上の社員を費やしていると言います。

そしてポイントは、顧客の要望を満たすことは本当に大変でめんどくさいということです。amazonが扱わない商品を仕入れるのも、顧客をケアするためにカスタマーサポートの体制を組むのも一朝一夕にはできません。しかし、この方針を地道に日々続けることが、顧客の需要を満たすことに繋がるのです。

ということで、勝ちパターンとかベストプラクティスとか言ってる人は、言い換えると「楽して儲けたい」と聞こえるというわけです。

ちなみにこれを書こうと思ったきっかけは、「ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件」を読んで感銘を受けたことです。