日別アーカイブ: 2013年12月9日

体系的思考のテスト~ハムスターをめぐる問題~

ハムスターをめぐる3年B組の問題

体系的思考が低下している気がするのです。唐突に結論から入ったのですが、まずは以下の文章を読んでみてください。

みつこさんは3年B組の学級委員長です。みつこさんは、3月に行われた学期末の学級会において教室で飼育しているハムスターの係を決めるべきだと議題を出しました。3年B組では、ハムスターの世話を担任のよしこ先生が行っていたのです。クラスメイトののぶおくんは、引き続きよしこ先生が世話をするべきだと言いました。さとこさんは、みつこさんに賛成で係りを決めるべきだと言いました。よしこ先生は自分が引き続き世話をすると言いました。

さて、3年B組のハムスターをめぐる状況を整理してみてください。

体系的思考をする人が、どういうルーツをたどって記憶していくかを図解してみます。

【みつこさんは、3月に行われた学期末の学級会において教室で飼育しているハムスターの係を決めるべきだと議題を出しました。】
まず、冒頭においてみつこさんの主張がぽつんと置かれます。

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【3年B組では、ハムスターの世話を担任のよしこ先生が行っていたのです。】
みつこさんの議題に対して、現状がどうなっているかの解説です。事実として脇において置きましょう。
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【クラスメイトののぶおくんは、引き続きよしこ先生が世話をするべきだと言いました。】
よしこ先生が世話すべきという、みつこさんと真逆の主張を持つのぶおくんが現れました。みつこさんと反対のことを言っていますから、対極に置きます。
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【さとこさんは、みつこさんに賛成で係りを決めるべきだと言いました。】
みつこさんの意見の支援者が出てきました。みつこさんの近くにおきます。それとともに、現状は「ハムスター係を決める」という主張と「先生がやる」という2つの対立した主張が存在します。ここで、登場した人々の意見をこの二つの主張に分ける大見出しをつけます。
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【よしこ先生は自分が引き続き世話をすると言いました。 】
よしこ先生の意見はのぶおくんと同意見です。前のステップでつけた大見出しのうち、「先生がやる」派の意見ですので、そちらのグループに入れます。
hamu_01

ということで、最終的にこういう図が出来上がりました。これが体系的思考が出来る人の情報整理術です。ここに新たに美術の先生がきて「生徒の自主性を重んじて係を作るべきだ」と発言しても、美術の先生を「ハムスター係を決める」派に投入すれば良いのです。最初に状況を整理した図を頭の中に作っておけば、その後の情報量が増えても体系的に処理が出来ます。
また「先生がやる」という意見の人は何人?と聞かれてもすぐに答えられるのです。

体系的思考ができない人

では、体系的に情報を整理できない人はどう考えるでしょうか。これら一つ一つの情報は、思考の棚に入れられないまま、目の前を流れるベルトコンベアのように通過していくのです。ゆえに、登場人物が増えれば増えるだけ混乱していきます。おまけに、意見の違いと利害関係の構図が理解できないので、ここから状況を整理することが出来ません。

体系的思考をするためのポイントは二つです。まず一つ目は、真っ白な頭の画用紙に情報をひとつ置くことから始めることです。この例でいえば、【みつこさんは、3月に行われた学期末の学級会において教室で飼育しているハムスターの係を決めるべきだと議題を出しました。】という情報がはじめに置かれます。
その事実から出発して、関連した情報をどんどん紐づけていくのです。

そして、二つめのポイントは、ある程度情報量がたまったら情報を抽象化して再構成すること。【さとこさんは、みつこさんに賛成で係りを決めるべきだと言いました。】のくだりです。このくだりで、異なる2つの主張がぶつかっていることが分かります。ここで両者の意見の見出しをつけることにより、その後の情報がさらに分類しやすくなり、大局観が分かりやすくなるのです。

なぜ体系的思考ができなくなったのか

なぜこんなことを思ったかというと、ちょっと前に行った実験が原因です。少し前に「解るニュース」というコンテンツを考えました。ニュースを図解にして、テキストを恋愛ゲームのインターフェースでポチポチ小出しにしていき、画像部分に対応した図解が表示されるというものです。

ここで数十人に見てもらって気づいたのが、一番目に見た情報を記憶として蓄積できず、2番目、3番目以降の情報もどんどんダダモレてしまう人がけっこういたのです。

ここでは、ハムスター係を例に出しましたが、国際情勢などはこの図が更に複雑になったようなものです。

シリアのアサド大統領がいました。
アサド大統領は国民を弾圧しているので、デモが発生しました。
一部の過激派とアサド大統領側の軍隊がぶつかり、国際問題となっていきます。
欧米諸国は民主化を目指すために国民の味方ですが、中国やロシアなどはアサド大統領を支援しています。
シリア

このように、シリアのアサド大統領を起点に頭の中の情報を更新していくのですが、思考の棚が築けずに「アサドって誰だっけ?」と、相関関係が分からなくなってしまうのです。

しかも、思考の棚が築けないのは20代前半の若年層(結構良い大学を出ている)に多いようでした。私見ですが、この現象にはツイッターが一役買っているような気がします。ツイッターは体系的思考がなくても単体で刺激的なコンテンツが目の前をベルトコンベアのようにどんどん流れていきますから。
ツイッターに限らず、スマートフォンの作りは体系的思考を求めないベルトコンベア型(フロー型)がほとんどなのです。

ということで、一番の訓練はとにかく本を読むです。特に物語は、登場人物とそれぞれの利害関係を把握するには、最も役にたつツールなのです。

■最後に
そして、皆さんはハムスターをどうするのが最適化だと思いますか?生き物係を作りますか?それとも先生が引き続き世話をしますか?
正解は、次回のブログで・・・。

※関連エントリ
体系的思考は、これからの時代には必須だと思う
体系的思考の養い方