月別アーカイブ: 2013年11月

多角化経営か弾丸経営のみが生き残る?

富士フィルム3

多角化経営で売り上げが1.5倍に

本当に変化のスピードが速いなと思うのです、IT業界。しかし、スマホというハードデバイスの登場により、携帯メーカー、カメラメーカー、ゲームメーカー等、IT業界以外も影響を受けるようになってしまいました。

速すぎるスピードの中、今後は、多角化経営か弾丸経営の両極になるような気がします。「無理ゲーを勝ち抜いて、売上を1.5倍にした富士フィルム」というブログでも書いたのですが、フィルムがヤバいと気づいた富士フィルムは、フィルム現像から事業を多角化しまくりました。カメラ技術を活かして医療用のカメラを開発したり、写真フィルムの技術を活かした化粧品「アスタリフト」を開発して化粧品分野に乗り出しています。

その結果、フィルム事業は2000年をピークにその後10年で10分の1にまで縮小しており、競合であったコダックは2012年に経営破たんをしています。しかし、富士フィルムは1兆4403億円であった売上高を2012年度は2兆2147億円と1.5倍にしているのです。

多角化経営とは、恐るべきイノベーションが現れて事業の一部が痛んでも、他の事業でカバーするポートフォリオ型の経営になります。ゆえに体力がある会社が取りやすい方針です。

既存事業との関連とポートフォリオ戦略が重要

しかし、やみくもに多角化すれば良いというわけではなく(現に国内のメーカーも多角化しまくって、逆に苦境に陥っています)、そこには既存事業との関連とポートフォリオ戦略が必要になります。

既存事業の関連とは、富士フィルムようにフィルム現像というコア事業の技術を用いて、全く別の事業に転用していくことです。この場合、ベースとなる技術開発におけるコストが安く済み、技術に関してのノウハウが社内に蓄積されているので進出しやすいのです。

また、ポートフォリオ戦略とは、いくつの事業をどこまで広げるかという戦略になります。例えば、先日「ピザーラ」を経営する株式会社フォーシーズの淺野社長がTVに出演していましたが、ピザーラのフランチャイズ社長に対して、同社が参加に収める串揚げ屋の社長を兼務することを薦めています。

何故かというと、宅配ピザの需要は雨の日などに高まりますが、串揚げ屋の需要は雨の日には低くなります。逆に、晴れている日は宅配ピザの需要が低くなりますが、串揚げ屋の需要は高まるのです。このように、天気によって顧客の需要が変動し、売り上げにバラツキが出ることを2店舗経営させることによって防いでいるのです。しかも、串揚げ屋は通常の飲食店に比べて設備投資のコストが安いというのもポイントです。

事業同士が、外的要因による売り上げのヘコみをカバーできるかが、ポートフォリオ戦略のキモになるのです。

弾丸経営とは、その時の成長市場に飛び込んでいくこと

多角化経営に対して、弾丸経営とはその時その時の成長市場に飛び込んでいくことです。これは、人数の少ない小規模の企業が取りやすい施策になります。特にITの分野に多いと思いますが、こないだまでは広告会社だったのにソーシャルゲームを作っていますとか、主力事業がどんどん変わっていく経営方針です。

この場合、所属するメンバーが特定のスキルに依存すると業態が変えられないため、メンバーの柔軟性とスピード、変化することを恐れない気質が重要になります。

そして、両者を会社の中に両者を内在させるタイプの会社もあるります。例えば、製造など原価率が高く先行投資がかかる場合は既存事業を活かした多角化経営になりますが、ITで完結する事業であれば、投資がほぼ人件費になるので弾丸型の経営がやりやすくなります。企業全体としては多角化によるシフトを行い、特定部門を弾丸部門にするということも考えられます。

サイバーエージェントなどは、社員数の割に弾丸セクションの多い会社だと思います。しかもこの1、2年はスマートフォンに振り切るという大きい賭けをして、2012年度の総売上げ1,624億円のうち915億円がスマートフォンの売上だといいます。

ということで、勝ち組の会社はこの2極化かハイブリット型だと思うのですが、あなたの会社はどういう経営ですか?

とりあえず「自分だったらどうするか」考えてみよう

目覚まし

自分だったら、それ使う?

先日書いたエントリ「ユーザー目線の勘違いを起さない5つのポイント」に若干関連するのですが、何かサービスを考えるときは「自分だったらどうするか」で考えてみれば良いと思うんですよ。

例えば、前に「こういうサービスどう?」って聞かれたんですね。

目覚ましアプリで、目覚ましを好きな楽曲に設定できるんだけど、アラームを止めた瞬間にその日の天気やニュースが流れる。

これ「自分だったらどうするか」を考えてみましょう。

目覚まし鳴りますよね、
アラーム止めますよね。
その後は・・・、

時間がないから眠い目をこすりながらベッドから起き上がるか、あと5分寝ようってなるか、どっちかじゃないでしょうか。

起きた直後の寝ぼけ眼になっている状態で、いきなりその日の天気とかニュースを見る人はいないですよね。

ということで、たいていのサービスは、「自分だったらどうするか」で、ありやなしやを考えられると思います。逆に男性が女性向けのサービスを考える場合は、女性にありやなしやを聞けば良いのです。
前にコスメのサービスを考えていて「朝のメイク時間に、秀逸なUIでワンポイントメイクを学べるってどう?」というアイデアが出たのですが、これも女性に聞いたら即却下だと思うんですよね。朝のメイク時間なんて5分~10分くらいで急いでる人が大半ですから。

既存の行動導線に、どう食い込むかがカギ

ということでダメな例を出してきましたが、逆に「自分だったらどうするか」が最大限マッチしていると思うサービスが「studyplus」です。これは自分の勉強の進捗度を共有して、みんなで頑張ろうねっていうアプリなのですが、さて何が秀逸なのでしょうか。

皆さんは、自分が例えば英語を勉強するとしたら、どうしますか?

たいていの人は、参考書を購入して、それに沿って勉強していくと思います。「studyplus」はこの行動導線に沿って、勉強の進捗度を共有するメンバーは「共通の参考書を所有しているメンバー」になっているのです。

しかも参考書という物さしは〇ページまでと定量的に消化量が分かりやすいので、進捗度の共有も一発です。この「人が〇〇をする時に、当たり前にやる〇〇」に差し込むというのがサービス普及のポイントだと思うんですよね。人の行動導線ってそう簡単に変わりませんから。

「ユーザー目線の勘違い」を起さない5つのポイント

8czcsd5r藤田晋社長の「ユーザー目線の勘違い」というブログを読んでいたら

(2)運営側が使わせたいサービスを全面に押し出す。

という失敗が多いという記述があって、そうだよね、そうだよねと頷いていました。ブログにもありますが、当事者が思わず使ってしまうのと、当事者でない人間が「こういうの使うだろう」と予想したことには天と地ほどの隔たりがあるのです。

私自身も、使って欲しいと思う機能をゴリ押して大失敗したことがあります。ということで「本当にユーザーが使いたいサービスを実装する」ための5つのポイントを整理してみました。

1.えらい人を締め出せ
感覚的にいって「運営側が使わせたいサービスを押し出す人」はえらい人が多いです。理由は二個あって、「だって俺は使うもん」というパターンと、「押し出せばサイトの指標が上向く気がするから」です。
前者は社長とか超えらい人に多く、後者は現場の責任者に多いです。現場の責任者は、売上や指標を上向かせなければさらに上から怒られるため、短期的に効果の出ることをしがちになるのです。この場合はその時市場に出回っているバズワードがよく使われます。
過去にも某EC系サービスについて「ゲーミフィケーションを入れて、ユーザーのリテンション(再訪)をあげる」という提案をしている人がいました。
でも、これはユーザーがゲーミフィケーションを欲しているのではなくて、運営側がゲーミフィケーションを使ってサービスに来て欲しいという願望の押しつけなのです。

2.自分のアイデアを信じるな
自分がそのサービスを使うコアターゲットでもない限り、自分が考えたアイデアなんて想像、仮説でしかないのです。ここが難しくて、どうしても自分が考えたアイデアに固執して離れられなくなるケースが多いように思います。

3.顧客に聞こう
自分のアイデア(仮説)が正しいかどうかは、ユーザーに判断してもらいましょう。モックを作って、ユーザーに「こういうのあったら使ってみたい?」と聞いていくのです。そのユーザーが使ってみたいと思えば、本当にその人が欲しているサービスです。

4.本当の顧客を探そう
顧客に聞くからといって、万人の意見を取り入れていてはどっちつかずのサービスになってしまいます。顧客に意見を聞くからには、100人のなかにいる真の5人の顧客を探す必要があるのです。ゆえに真の顧客にたどり着くには、それまでに95人に「興味ない」と言われることをスルーする必要があります。ここでも、自分のプライドが頭をもたげてくるのを、そっとやり過ごして真の顧客に合うまで耳を傾ける必要があるのです。

5.顧客の熱量を見よう
私がここまでのステップを経て犯してしまった一番の間違いが「使う」と言った顧客の言葉を信じてしまったことです。意見を聞いている顧客が友達であれば、「絶対使わない」とは言いづらいのです。「たぶん、一回は使うかも」という人は、絶対に使ってくれません。こちらが何も言わなくてもサービスを使い続ける、そのくらいの熱量がないとサービスを使ってくれることはありません。真の顧客の熱量が高い必要があります。

ということで、5つのポイントを出してみました。大失敗を犯してしまった自分としては、日々これを心にとめておきたいです。

たとえ間違っていても、どんどん未来を予想しよう

mixi

モバゲーとmixiとGREE、一番強いのは?


かつてモバゲー、mixi、GREEが内製で作っていたソーシャルゲームをオープンプラットフォーム化すると発表したのは、2009年か10年くらいのことだったと思います。

その頃、私は、とある大人たちの会議に出ていました。その会議中に、一番偉い大人が次のように質問しました。

「3社の中で、ソーシャルゲームのプラットフォーマーとして一番大きくなるのはどこだと思う?」

私はしばし考えると、こう答えました。(学級委員風に)

「mixiだと思います。なぜならば、ソーシャルというのは人と人とが交流することで楽しむゲームなので、実際の知人であるリアルグラフを持ったmixiの方が強いと思うからです。」

それから3年か4年経った現在、この予想は見事にハズれていたことが分かります。

実際にはモバゲーとグリーがしのぎを削り、事実上この2社の戦いになっていきます。
(まあその後のスマフォ普及により、さらに主戦場はappstoreとgoogleplayに移ってしまうのですが・・・)


おおやけで間違えたことは、記憶に残る


その時、偉い人は最もらしく頷いていた記憶があるので、私の答えはわりとすわりの良い解答だったと思います。実際には大間違いなわけで、過去になってから要因を分析すると簡単な理由なんですよね。

・ソーシャルゲームは、プレイヤーが課金をすることによって強くなり、それを他のプレイヤーに見せつけることによって成立する。(ギルドバトル等のMMORPGの手法もどんどん取り入れられていった)
→ゆえに、むしろリアルグラフは邪魔になる

・ソーシャルゲームで課金をしていたユーザーは、フィーチャーフォンでのキャリアによる課金システムに慣れており、ケータイコンテンツに対してお金を落とすことに慣れていた。
→ゆえに、課金障壁が低い

ということで、この質問の問いを答えるには、ソーシャルゲームになぜ課金をするかという本質と、日本のケータイコンテンツにおける課金システムの仕組みを以って解とする必要があったのです。

むしろmixiのゲーム的な「リアルグラフの友人たちと楽しくゲームをする」で代表的だったZingaなどは、あれよあれよと勢力を失って今日にいたります。

この間違いはいまだに記憶に残っていて、自分の間違った仮説をおおやけに発表したおかげで、余計印象づけられたのです。故に、類似ケースが今後出てくれば、本質的な顧客の課金ポイントはどこなのかに注目しますし、どんなコンテンツであれ、最も重要なのは課金システムが収斂されているかという点であることも理解しています。

なので、未来について仮説を立てて、発表してみるって良いと思うんですよね。たとえ間違っていても、教訓が残り、その教訓を活かすことによって、さらに確度の高い仮説を作ることに繋がるのです。

UIがどうでも良い場合だってある

 

uiux

UIは道具にすぎない

いきなり寒くなってきました。巷ではUI・UXという単語が流行して久しいですが、今いちど定義を整理すると、
UX→ユーザーが得られるモノ、体験
UI→UXを実現するための設計図

だと思います。つまり、UIはツールですね。UXがお味噌汁だとしたら、UIは包丁とまな板とお椀とお箸で、コンテンツがお味噌とダシと具です。

UXが嵐のライブだとしたら、UIはライブ会場とチケットと物販エリアで、コンテンツは嵐のメンバーの歌や踊りです。

UXが・・・、ってもういいですかね。

ちなみに、こちらのUXのためのUIデザインが非常に参考になります。

で、本題なのですが場合によっては、ほとんどUIとかがどうでも良い場合があります。例えば先ほど出てきた嵐のライブでUI(ライブ会場)がすごく悪かったとします。ライブ会場がもしも、近所の小学校の体育館だったらどうでしょうか?別にファン的にはどっちでも良いですよね。

なぜかというと、ファンにとって大切なのは、そこに生身の嵐が存在していることだからです。つまり、コンテンツへの熱量が超高い場合はUIなんて、どうだって良かったりします。

その最先端を走るのがエロ動画です。エロ動画を見たいと思う欲求は、とても熱量の高い欲求です。そしてエロ動画サイトの多くは、サイトを立ち上げても入口か分からないくらいUIが最悪です。むしろ、サイトの作り手がアフィリエイトで儲けるためにわざとUIを悪くしています。
それでもエロ動画を見たいので、頑張って入口を探すわけです。このようにコンテンツへの熱量によっては、ほとんどUIがいらない場合もあります。

UIが必須なのは、三位一体のとき

逆に、UIが必須の場合もあります。UIとUXとコンテンツ(あるいはソリューション)が一体になっている場合です。例えばLINEです。LINEはメッセージングというソリューションであり、友達と気軽に言葉やスタンプをやりとりするというUXを実現するために、使いやすいUIが備わっているのです。

このようにコンテンツ(あるいはソリューション)×UX×UIが三位一体となっている場合は、UIそのものがサービスの一部になっているので、外せない要素になります。

ちなみに先日
「UIとUXに超こだわったものを作りたい。アメリカのアプリで〇〇っていうのがあるんだけど、シャーっと画面が上から流れてきて、そういう物を作りたい。」

と、言っている人がいたのですが、これってUIの話しかしてないんですよね。

つまり、何の料理を作るか分からないけど、良い包丁を買おうって言っているのとニアリーで、
誰を呼ぶか分からないけど、とりあえずライブやるから良い会場押さえようって言っているのとニアリーで、
さらに言うと、、、ってもういいですかね。

ということで、UX・UXっていう話をしながら、UIの話になりがちだなっていうことでした。

不完全なコンテンツこそが、ユーザーの熱量を高める~AKB恐るべし~

nikoniko

ユーザーが参加するコンテンツには2種類ある

前回のエントリで、初音ミクのようにユーザーが再加工(2次創作)することによって爆発的に広まるコンテンツが増えてるのではという話をしました。
パンa02

NAVERまとめやニコニコ動画のゲーム実況なども、ユーザーによる再加工とセットで流通しています。

こういったモデルを見ると、やはりサブカルチャーやオタクジャンルが多いのかなぁと思います。初音ミクもそうですし、いまや日本最大級のイベントになっている同人誌即売会コミックマーケットもそうですよね。
つまり、1次情報&コンテンツに対して熱量が高いユーザーが再加工(2次創作)を行っていると言えますよね。

おもに、ユーザーが再加工(2次創作)を行う動機としては次の二つに分類されると思います。
・対象物が好きで、そこに参加したいという気持ち
・対象物をいじりたいという気持ち

初音ミクやコミケについては前者かと思います。そして、後者に関しては2ちゃんねるなどです。誰かが発言したコメントなどをテンプレと呼び、一部を変えてみんなで面白がる文化があったりします。
これはどちらかというと、学校の先生が言うギャグには絶対反応しないけれど、先生の失敗をすかさずネタにして笑うというのに近いかもしれません。

コンテンツの不完全さは、ユーザーの熱量を高める

付け加えると、後者は話題にはなるかもしれないけれど、お金にはなりません。数年前にニコニコ動画で「エルシャダイ」というゲームのプロモーションムービーが話題になり、派生の創作ムービーなども作られましたが、ゲーム自体の実売本数はPS3が6万本でXboxが約1万本とふるわなかったようです。
ユーザーが再加工することによってブレイクするためには、対象物が好きでそこに参加したいという気持ちが必要なのですが、これの究極がAKB(以降のアイドルシステム)であることに気づきました。

言わずもがなですが、AKBは総選挙を行って、ファン投票により選抜メンバーが決定します。つまり、投票権を所持したファンの介入がなければ、AKBという存在が一見成り立たないように出来ているのですね。

これは、ユーザーの再加工というよりは、AKBというコンテンツの製造過程そのものにファンが参加しているていなのです。
対象物の製造過程にファンを組み込むということは、ファンにとってアイドルの存在が自分事化しているので、お金を出そうと思う意思決定コストが限りなく下がってきます。

そして、この場合コンテンツに求められる条件は、不完全であることです。ファンの投票という行為によってメンバーが確定するということは、メンバーの選抜という本来であれば最も重要なプロセスを、ユーザーに委ねて不完全さを残しているということです。

あえて不完全な点を作るからこそ、ファンが参加できる「のりしろ」が生まれるのです。

プロデューサーの秋元さんが、AKBを作る時にクラスで2番目とか3番目に可愛いと言われる子を集めたという話は有名ですが、ここまた不完全さを担保するための戦略だと思うと、恐るべしです・・・。

食パンでフレンチトーストを作る人々~初音ミクのヒットに見る~

パンa05

情報・コンテンツを受取り手が加工

前回は、今までマスメディアは良い情報(美味しいパン)を提供することを考えていれば良かったけれど、ネット時代はどう流通させるか(どんな車でどう運ぶ?)も重要になったというテーマでした。

前回のエントリは、何年も前から言われており、車(流通)を握るということは、プラットフォームを制するということで、佐々木俊尚さんの「レイヤー化する世界」にも、どう場(プラットフォーム)と向き合うかというテーマで書かれています。

そして、前回の続きなのですが、食パンを受取った人たちはパンを再加工してフレンチトースト作ってるなぁという話題なのです。

どういうことかと言うと、今まではパンa01
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〇小麦粉(→素材)

〇食パン(→加工)

〇車(→流通)
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という風に情報・コンテンツが流通していたのですが、

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〇小麦粉(→素材)

〇食パン(→加工)

〇車(→流通)

〇ユーザー(→再加工)
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という形で、受取手のユーザーが、再加工しているのです。しかも、好む好まざるに関わらず、今後のネットメディアやコンテンツは情報やコンテンツを再加工するユーザーを念頭に置かざるおえない構図になると思うのです。

ユーザーの再加工により、爆発的に普及した初音ミク

ニコニコ動画なんかは、その筆頭です。例えば、初音ミクをこの図にはめるとこんな感じになります。
パンa02————-
〇ヤマハの開発した音声合成システム「VOCALOID」(→素材)

〇音源、及び初音ミクとしてのキャラクター(→加工)

〇ニコニコ動画(→流通)

〇ユーザーによる2次創作(→再加工)
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元々初音ミクとしての人格を与えられた音声合成システムが、ニコニコ動画の中でユーザーに2次創作されたことによって爆発的にヒットした経緯があります。
初音ミクの関連する楽曲はネット上に10万曲以上あるとされ(by wikipedia)、初音ミクのヒットはユーザーによる再加工とセットになっており、流通&再加工は同時に行われるのです。

ニコニコ動画については、ゲーム実況というジャンルについても、以下が当てはまります。

パンa04————-
〇コンソールゲーム(→加工)

〇ニコニコ動画(→流通)

〇ユーザーによる実況プレイ(→再加工)
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また、情報の流通プラットフォームとして存在するNAVERまとめも、ニコニコ動画と同じく、流通と再加工を同時に行っているのです。
パンa03————-
〇ネット上の情報(→加工)

〇NAVERまとめ(→流通)

〇ユーザーによるまとめ制作(→再加工)
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他にもツイッターを再加工したToggeterとか、誰かの発言をひな形にして一部を変えるネット上の遊びとか、2ちゃんねるを転載したブログとか、ユーザーによって再加工されたコンテンツや情報が溢れています。
これらはコンテンツそのものを加工した例ですが、その他にも1次情報を題材にブログを書いたりするのも、再加工と言えます。

そして、再加工されたコンテンツや情報は無尽蔵に増えて、たくさんの人々にリーチするのです。例えば、現代ではFacebookやTwitterでシェアされることが大事だと言われますが、情報にコメントを加えてFacebookでシェアするのも、ある意味再加工なのです。

ということで、ネット上で流通する情報やコンテンツは、再加工によってさらに多くの人に届き、なおかつその想定込みで1次情報を作る人は色々考えなければならないのです。

食パンより、それを運ぶ車が強くなった~ネット登場以降のコンテンツ流通~

パン4

1次情報に該当するのは、食パン

「そんなこと知っているよ!」と言われそうですが、食パンはなんと小麦粉から出来ています。
小麦粉という材料に、牛乳や卵などを加えてコネコネしてオーブンで焼くと食パンが出来上がります。
食パンは6枚切りや8枚切りにした後、袋詰めにして車に乗せて運ばれていきます。私たちは、店頭にならんだ食パンを購入して美味しく頂くわけです。

つまり、以下のような図になります。
パン01————-
〇小麦粉(→素材)

〇食パン(→加工)

〇車(→流通)
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【素材】を【加工】して、【流通】に乗せて人々に届けるのです。
もしも小麦粉だけ渡されても食べられませんよね?誰かが食パンという形に加工してくれるからこそ、美味しく食べることが出来ます。ニュースやコンテンツに例えると、この【素材】を【加工】した食パンが、1次情報/コンテンツになります。

これをテレビで流れる記者会見のニュースに例えると、
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〇記者会見そのもの(=小麦粉→素材)

〇記者会見を編集した映像(=食パン→加工)

〇記者会見を流すテレビ(=車→流通)
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になります。この記者会見を編集した映像が、1次情報です。
パン2もしこれが新聞であれば、

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〇記者会見そのもの(=小麦粉→素材)

〇記者会見を取材した文章(=食パン→加工)

〇記者会見の記事が載った新聞(=車→流通)
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と、素材の加工の仕方と流通の仕方が変わるわけです。インターネットが出来る前までは、素材を食パンに加工する人と、それを流通させる人は同じでした。
テレビ局は、映像という食パンを作り、テレビという車で流通させていました。
そして、新聞社は、記事という食パンを作り、新聞という車で流通させていました。

この時、大事になっていたのは、いかに美味しい食パンを作るかです。どう流通させるかという車は、マスメディアにほぼ独占されていたため、だいたいみんながみんな同じ情報を見ていました。作り手が気にすることは、いかに素材を加工して、美味しい食パンを作るかということでした。

ネットの登場により、パンより車の方が立場が強くなった

しかし、ネットの登場により、食パンを作る人と、車で運ぶ人が必ずしも一致しなくなります。例えばYahooはこんな感じです。
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〇記者会見そのもの(=小麦粉→素材)

〇記者会見を取材した文章(=食パン→加工)→超たくさん

〇記者会見の記事が載ったYahooニュース(=車→流通)
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パン3
食パンという1次情報が、Yahooニュースという車によって運ばれるようになりました。一番立場が強いのは、圧倒的な人たちに食パンを届けることの出来る車、Yahooニュースです。ネットでは、マスメディアによる車(流通)の独占がありませんでした。新興勢力であったYahooは、90年代以降、最も力のある車(流通)になりました。

こうして、食パンよりも、車の方が立場が強い場合が出てきたのです。ネットで大きく覇権を握ろうと思う人は、性能の良い車(→流通)を作ることに一所懸命になりました。

最近では、月間4000万人もの人たちが使うNAVERまとめが、Yahooに次いで最も大きな車(流通)です。
そしてgoogleも、googleニュースというソリューションを持っており、むろん大きな車(流通)です。

ということで、マスメディア時代は流通(車)のことを気にせず美味しい食パン(加工)を作っているだけで良かったけれど、ネット時代は車(流通)のことを考えないと、ビジネスとしてスケールが難しくなっています。

次回は、パンを受け取ってフレンチトーストを作る人々について書きます。

▼次回はコチラ
食パンでフレンチトーストを作る人々~初音ミクのヒットに見る~