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社長目線で働こう

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社長目線とは、全体最適化をすること

少し前に「社長になった気持ちで仕事に当たろう」という提言に大して「なぜイチ従業員が、給料も見合っていないのに社長になった気持ちで死ぬほど働かなければならないのか」という指摘が行われてました。

これは、社長目線で働くということの意味の取り方が、ちょっと本質的じゃない気がします。

社長目線で働くとは「部分最適化をするな、全体最適化をしろ」ということだと思うのです。例えばとあるアパレルメーカーがあったとして、営業部門はじゃんじゃん営業をかけて自社の製品を売り込みます。しかし、製造部門からなかなか潤沢に製品が納入されません。営業部門の責任者が製造部門の責任者に掛け合うと「じゃんじゃん作って在庫が積まれたら製造部門の責任になりますから」の一言。営業部門の責任者は「こっちが営業かけて売ってきてるのに、何を言ってるんだ!」とやり返して喧嘩になります。

そして、どこまでいっても平行線をたどります。これが部分最適化をしている組織の例です。営業部門は、とにかく商品を売ってくることがチームのミッションなので、鬼のように営業をしまくります。在庫なんて気にしません。製造部門は在庫をコントロールしながら返品率を下げることがチームのミッションなので、なるべく品質が高く、在庫が出ないように調整をします。どれだけ営業が売ってくるかなんて気にしません。

と、このように部分最適化(自分の所属チームのことしか見えてない)と、全体最適化(会社にとっての幸せ)が出来ないのです。

部分最適化を押し上げた成果型人事評価

それでは自分が社長だったらどうしますかね。営業をかけてお客さんが買ってくれると言っているのであれば、自社の利益に繋がるので売りたいですよね。しかし、製造部門が返品や在庫のことを気にする気持ちもわかりますね。しかし、物事はトレードオフなので、

「とりあえず製造ラインを増やして、納品を急ごう。返品率が○パーセントを超えたら考える」

とか

「製造ラインはこのままで品質を保とう。営業部門からお客さんに説明して、うちが品質重視であることをわかってもらおう」

とか

全体最適を考えた上で、いずれかのバランスに寄った結論を出すことになります。これが社長目線で働くという言葉の本質だと思います。

ただ、欧米型の成果型人事評価制度が導入されてしまったことで、ほとんどの人が部分最適化しか考えなくなってしまいました。

例えば営業部門だったら人事評価シートに受注○件獲得って書いてあるでしょうし、製造部門だったら返品率○パーセント以下って書いてあります。これを守れなかったら給料が上がらない(もしくは減る)というインセンティブが働いてしまうので、よほど昇進や評価に興味ない限り自分のチームのことしか考えられなくなってしまうのです。

ということで、欧米型評価制度を部分的に導入した故に全体最適化(=社長目線で働こう)が更に機能しなくなっているように思います。でも、見る人が見れば、きっと社長目線を持っている人かどうかはわかるはず。ということで、明日からも頑張って社長目線で働きましょう。

ミサイル経営をつらぬいた孫さんとジョブズさん

YAHOO

ギャンブラーすぎる孫さん

多角化経営か弾丸経営のみが生き残る?」に関連した話題なのですが、一番すごいと思うのは企業規模が大きいのにも関わらず、弾丸経営をしている会社です。これをミサイル経営と呼ぶことにします。

もちろん、ミサイル経営日本代表は、孫正義さん率いる「ソフトバンク」です。経営というよりは、半分ギャンブルくらいの大きい賭けをしてきました。

2001年、なかなか日本でブロードバンドが浸透しないことに業を煮やした孫さんが、NTTに殴り込みをかけるべくYahoo!BBを立ち上げます。駅前でモデムを配る部隊が出動したのが印象的でしたね。(Yahoo!BB立ち上げについても、当時総務省の大臣だった麻生さんのところに乗り込む等、数々の逸話があります)
Yahoo!BBを運営するソフトバンクBBの2003年当時の収支がどうなっていたかと調べてみると、なんと営業利益は922億円の赤字です!

この孫さんの活躍のおかげでブロードバンド回線の価格が下がり一般に普及していくのですが、今度は2006年に携帯の通信キャリア事業に参入するためにVodafoneを買収します。その額、約1兆7500億円で、有利子負債は2兆4000億円にものぼりました。
その後独占販売していたiPhoneが大ヒットするなどの幸運にもめぐまれ、2012年9月末時点では有利子負債を1兆6872億円まで減らすのですが、2013年に米通信キャリアのスプリントを買収することによって有利子負債は3兆3372億円に膨れ上がっています。ギャンブラーすぎる!

自分のタコ足を食べられるジョブズ

企業体が大きくなるとなぜ弾丸経営がしづらいかといえば、部門間で競合となる事業を行いづらいからです。iPodの大成功の後、SONYはウォークマンを発明したのだから、同様の事業を行えたのではという指摘がありました。しかし、SONYが音楽配信事業に乗り出すと、関連企業であるSony Musicの収益を圧迫する可能性があるので実現できなかったと言います。

逆にAppleはiPodが大ヒットし、軽量化したiPodminiも続いてヒットするのですが、さらに軽量化したiPodnanoを発売するとminiを生産中止にしてしまいます。まだ市場で十分に売れているのにも関わらず、です。
その後、iPhoneを発売して世界的大ヒットになるのは周知の事実ですが、iPhoneには音楽再生機能が搭載されており、よく考えるとiPodの競合となる製品です。これが日本企業のように、すりあわせによる調整を行う組織体だと、既存事業の脅威となる事業なんてとんでもないという話になります。しかし、APPLEは、自らの会社の主力事業の脅威となる事業を自らが生み出しているのです。

ロケット型経営者が目指すものとは

ということで、奇しくも孫さんとジョブズは仲良しだったわけですが、二人に共通にしていたのは遠い先の未来を見据えて実現しようとしていたということです。孫さんは、ブロードバンドが普及し一般の人々がインターネットを使える世界を実現しようとしてYahoo!BBに参入したわけですし、ジョブズはテクノロジーとリベラルアーツの交差点を目指して常に革新的なプロダクトを提供するために次々と新しい製品を開発しました。

ただ、この未来を見通してそれを実現するセンスのようなものは、万人が勉強して習得できるというたぐいのものではありません。持って生まれたセンスや、生い立ちなど様々な要素からこういうロケット型経営を行う経営者が生み出されたのではないでしょうか。

多角化経営か弾丸経営のみが生き残る?

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多角化経営で売り上げが1.5倍に

本当に変化のスピードが速いなと思うのです、IT業界。しかし、スマホというハードデバイスの登場により、携帯メーカー、カメラメーカー、ゲームメーカー等、IT業界以外も影響を受けるようになってしまいました。

速すぎるスピードの中、今後は、多角化経営か弾丸経営の両極になるような気がします。「無理ゲーを勝ち抜いて、売上を1.5倍にした富士フィルム」というブログでも書いたのですが、フィルムがヤバいと気づいた富士フィルムは、フィルム現像から事業を多角化しまくりました。カメラ技術を活かして医療用のカメラを開発したり、写真フィルムの技術を活かした化粧品「アスタリフト」を開発して化粧品分野に乗り出しています。

その結果、フィルム事業は2000年をピークにその後10年で10分の1にまで縮小しており、競合であったコダックは2012年に経営破たんをしています。しかし、富士フィルムは1兆4403億円であった売上高を2012年度は2兆2147億円と1.5倍にしているのです。

多角化経営とは、恐るべきイノベーションが現れて事業の一部が痛んでも、他の事業でカバーするポートフォリオ型の経営になります。ゆえに体力がある会社が取りやすい方針です。

既存事業との関連とポートフォリオ戦略が重要

しかし、やみくもに多角化すれば良いというわけではなく(現に国内のメーカーも多角化しまくって、逆に苦境に陥っています)、そこには既存事業との関連とポートフォリオ戦略が必要になります。

既存事業の関連とは、富士フィルムようにフィルム現像というコア事業の技術を用いて、全く別の事業に転用していくことです。この場合、ベースとなる技術開発におけるコストが安く済み、技術に関してのノウハウが社内に蓄積されているので進出しやすいのです。

また、ポートフォリオ戦略とは、いくつの事業をどこまで広げるかという戦略になります。例えば、先日「ピザーラ」を経営する株式会社フォーシーズの淺野社長がTVに出演していましたが、ピザーラのフランチャイズ社長に対して、同社が参加に収める串揚げ屋の社長を兼務することを薦めています。

何故かというと、宅配ピザの需要は雨の日などに高まりますが、串揚げ屋の需要は雨の日には低くなります。逆に、晴れている日は宅配ピザの需要が低くなりますが、串揚げ屋の需要は高まるのです。このように、天気によって顧客の需要が変動し、売り上げにバラツキが出ることを2店舗経営させることによって防いでいるのです。しかも、串揚げ屋は通常の飲食店に比べて設備投資のコストが安いというのもポイントです。

事業同士が、外的要因による売り上げのヘコみをカバーできるかが、ポートフォリオ戦略のキモになるのです。

弾丸経営とは、その時の成長市場に飛び込んでいくこと

多角化経営に対して、弾丸経営とはその時その時の成長市場に飛び込んでいくことです。これは、人数の少ない小規模の企業が取りやすい施策になります。特にITの分野に多いと思いますが、こないだまでは広告会社だったのにソーシャルゲームを作っていますとか、主力事業がどんどん変わっていく経営方針です。

この場合、所属するメンバーが特定のスキルに依存すると業態が変えられないため、メンバーの柔軟性とスピード、変化することを恐れない気質が重要になります。

そして、両者を会社の中に両者を内在させるタイプの会社もあるります。例えば、製造など原価率が高く先行投資がかかる場合は既存事業を活かした多角化経営になりますが、ITで完結する事業であれば、投資がほぼ人件費になるので弾丸型の経営がやりやすくなります。企業全体としては多角化によるシフトを行い、特定部門を弾丸部門にするということも考えられます。

サイバーエージェントなどは、社員数の割に弾丸セクションの多い会社だと思います。しかもこの1、2年はスマートフォンに振り切るという大きい賭けをして、2012年度の総売上げ1,624億円のうち915億円がスマートフォンの売上だといいます。

ということで、勝ち組の会社はこの2極化かハイブリット型だと思うのですが、あなたの会社はどういう経営ですか?

Think Simpleなジョブズ、複雑さを好む人々

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徹底した、容赦のないシンプルさ

ジョブズ関係の書籍で一番良かったのが「Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学」です。iMacを命名したクリエイティブ・ディレクターが書いた本なのですが、ジョブズ、そしてアップルが様々な局面でいかにシンプルだったかを書いています。

シンプルとは何か。

それは人間関係、マーケティング、プロモーション、プロダクトの作り方など、すべてにおいて共通する通念です。

例えばジョブズがアップルに復帰した際、アップルの社内ではありとあらゆるプロダクトが作られており、商品ラインナップは複雑を極めていました。ジョブズはマトリックス図を書き、

・ノート-プロ仕様
・ノート-一般仕様
・デスクトップ-プロ仕様
・デスクトップ-一般仕様

の4種に商品ラインナップを絞って、他は全部切り捨てることを進言します。おかげで、私たちはMacのノートPCを買いたいと思ったときには、ほんの2種類の選択をするだけ済みます。Airにするか、Proにするかです。
他のメーカーでパソコンを買おうとすると、なんちゃらC-2000とか、なんちゃらD-3000-proとか、何の違いがあって何がすごいのかよく分かりません。

人間関係についてもシンプルさを求めます。ある会議においてジョブズは、室内に座っていた見慣れぬメンバー(同席した他のメンバーから出席するように言われた人物)に対して、部屋を出て行くように言いました。会議に出席する人数を限定してシンプルにしたのです。

さらにアップルストアを作る際、長い時間をかけてプロトタイプの店舗を作り、いよいよオープン日を迎えようとしていたさなか、担当者が致命的なミスに気づきます。現状の店舗は、製品のラインナップ別にレイアウトを考えていました。しかし、アップルブランドをリアル店舗で扱うのであれば、消費者の生活導線別にレイアウトするべきなのです。この間違いを正そうとすれば、今までに時間をかけて築いてきたものを0にしてやり直すことになります。担当者は真っ青になりながらジョブズに報告し激しい叱責をうけますが、やはりジョブズも0に戻して作り直すことを決断します。

シンプルに出来るかどうかは、経営者の裁量

本書にもあるように、世の中の人々は複雑さを好みます。放っておけばどんどん複雑になっていき、シンプルの杖をふるうまでブロックを積み上げようとするのです。

たとえば、Macの製品をたった4つのラインナップに絞ったアップルと比較して、docomoのガラケーは全体を把握できないほどラインナップがありました。docomoはラインナップをそのままにして、STYLEとかPROなどのカテゴリ分けをしたのです。(おかげで、STYLEがどういうカテゴリなのかという、カテゴリ自体も認識しなければならなくなりました。)

つまり、複雑なブロックをそのままにして、さらに上にブロックを積み上げたのです。

会議についても、世の中にはたいてい「なんとかPT」という会議帯があります。部署を横断して20~30人程度の人間をあつめて皆で話し合おうという会議です。会議には部署ごとのメンツや事情などが持ち込まれ、積み上げ続けられる複雑さというブロックによって、特に収穫もないまま会議ごと瓦解していきます。

よくミもフタもない。という意見を聞きますが、物事の本質や解決方法はミもフタもないものだったります。問題を突き詰めると構造的な問題であることが多く、

・0から作り直す
・止める

の選択肢しかない場合がけっこうあります。
そのミもフタもない手段が取れるということが、シンプルに考えるということです。普通はその複雑さの上に、さらに複雑なブロックを乗せます。今まで費やした時間・費用がサンクコストになってしまったり、上から怒られるのが怖いからです。

故に、徹底的に経営層がシンプルの杖を振り続けない限り、現場はどんどん複雑になっていきます。私は、たまに意見を求められて、突き詰めた結論がミもフタもない意見だったとしても、それが正解であると思えば口にしますが、たいてい相手は怒り出します。たいていこんな感じです。

「じゃあ、今までやってたことが無駄だっていうの?」
「そんなの、上に報告したら怒られるに決まってる」

ということで、シンプルな考え方は最高決定権を持っている人の考え方に依存するわけです。一番上の人がミもフタもない意見でも正解だと思って採用する度量があれば、組織はシンプルな方に開ける思考性を身に着けるかもしれません。

組織への所属意識が強いと、顧客に最適解を示せないという話

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覆面調査で最悪の評価だったユナイテッドアローズの販売員

「ユナイテッドアローズ 心に響くサービス」という本を読んで目に留まった話があります。この会社は接客に力を入れており、お客さんになりすました調査員が接客を受けて販売員を採点する覆面調査をするそうです。そこで最悪の評価を受けてしまった販売員さんがいました。

お客さんがコートを探しており、試着をしたもののサイズが合わない。丈を詰めることを検討したものの、結局他のライバル店の商品を紹介してしまったのです。

これは確かに商いのことを考えると最悪でしょう。本来自社につくべき売上が、社内の人間の手によってわざわざライバル店に持っていかれてしまったのです。しかし、お客さんの立場から考えると最高の接客だったと思います。お客さんにとっては、どこのブランドで買おうと自分に合う洋服が欲しいわけですから、それを推薦してくれるというのは最高の対応ですよね。

この販売員さんは、また同じシチュエーションが起こっても同じことをすると思うと話していましたが、こういう人は稀有だと思います。ほとんどの人は、商いのことを考えてしまいます。

・アパレルの店員は、お客さんにサイズが合わないと思っても売ってしまえば売り上げになるし
・英会話教室の人は、基礎から勉強しないと無理そうな人のレッスン加入を止めないでしょうし
・不動産の人は、自分で妙な物件だなぁと思っていても買い手が良しとすれば売ってしまうでしょうし
・広告代理店の人は、効果があがらないかもと思いつつも、自社のイチオシ広告を薦めるでしょうし
・新聞販売をしている人は、お客さんが読まないと分かっていても洗剤を渡して購読してもらうでしょう。

と、例をあげてみましたが、月々のノルマを背負っていると「うーん」と思っても、顧客さえ良しということであれば、売ってしまうと思います。

新しいモノを作ろうとしても、自社の商品を組み込まざる追えない

さらに、立場を考えると発言も自由に出来なかったりします。例えば、新聞社・テレビの人が「新聞・テレビはオワコン。これからはネット」とは口が裂けても言えないですし、マクドナルドの人が「牛肉や脂を毎日摂取すると毒」ともいえないですよね。

これは組織にサラリーを貰っており、金銭的にコミットしているということと、組織への所属意識から起こる現象です。この意識が強すぎると、何かにつけて最適解が出ません。例えばテレビ局の人だったら、新しいメディアを立ち上げようとなっても、テレビを排除して考えることは出来ません。「インターネットを活用しながら、テレビを視聴してもらって・・・」と、顧客の都合とは関係ないところで自社の商品を組み込まないといけないからです。

しかし、現代では一つの事業の寿命がどんどん短くなっているので、この考え方が浸透しすぎると市場環境の変化に耐えられなくて、終わっている事業を延命しようとするゾンビ化現象に繋がると思うんですよね。
「根本的に無理だから、0から考えようよ」と、言える人がいないわけです。

ということで、冒頭の販売員さんに戻るのですが、ユナイテッドアローズの社員であるという前に一人の個人としてお客さんにアドバイスをしたと思うんですよね。自分が販売員ではなくてお客さんの友達だったら、親身になって同じことをするでしょう。

私も何か考えるときは、まず個人として最適解を考えるようにしています。そして、その最適解が自社の商品とマッチしないのであれば、それはそれで正直に伝えるべきです。たとえその時機会損失になったとしても、顧客との絆が深まります。
組織の都合を考えずに最適解を考えれば、良い物が世の中にどんどん出て行きます。

ということで、組織にも組織の良さがあると思いますが、これからは個人として立脚した立場での思考っていうのが大事になってくると思います。

「自分が何をやりたいのか分からない」という人に

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9割以上の人は、事業・サービスを運用する人

学生の方を中心に、自分が何をやりたいのかよく分からないという悩みを聞きます。その悩みの一助になればと、仕事を体系的に分類してみました。

まず、この表をご覧ください。これは、ITでも製造でもサービスでも何でも良いのですが、一つの事業・サービスが立ち上がって成長していくまでの図です。順番に説明していきます。
事業

1.ゼロからイチを立ち上げる~事業の芽生え~
何もないところから、事業が立ち上がるタームです。アスファルトを破って植物が咲いていたりしますが、あのイメージに近いです。

2.立ち上げた事業が伸びる
ゼロからイチになった事業を、2、3、4、5、と伸ばしていくタームです。出来たばかりの新規事業・サービスは生まれたての赤ちゃんですから、毎日気が抜けません。高速でPDCAを回していき、顧客にとって完全だと思える商品に固めていきます。

3.ギャズムを超える
ある程度普及した事業・サービスにドライブをかけて、ギャズム(一般の人々が使う前に存在する壁のこと)を超えるタイミングです。事業の形は固まっていますから、他業種との提携や買収、プロモーション、営業等のマーケティング戦略が重要になってきます。

4.一般に普及し、成熟した事業・サービスを経営する
一般に普及し、マネタイズのサイクルも回っている事業の経営をします。引き続きマーケティング戦略が重要になります。

5.成熟した事業・サービスの運用
ギャズムを突破して成熟に入った事業・サービスを運用します。規模が多ければ多いだけ、ここに多数の人材が必要になります。運用と呼びましたが、事業継続に必要な部隊全体をそう呼びます。運用、営業、カスタマーサポート、財務・経理、プロモーション、等々細かいセクションに分けて人が配分されます。

ということで、事業・サービスはこの5つのタームに分かれます。そして、どのタームに参加したいか?ということが、すなわち何の仕事をしたいかになります。

そして、何をしたいか分からない人は、5.「事業・サービスを運用する人」に属しているのです。

5.「事業・サービスを運用する人」
物理的に必要とされる人数が多いのがこのグループです。そして新卒で入社した人たちが配属されるのも、もちろんこのグループです。このグループの中において、「事業の内容にこだわるORこだわらない」か、「やることの内容にこだわるORこだわらない」というのがあります。

これを図にすると、以下の4種類になります。
事業2
a.事業の内容とやることの内容、どちらもこだわる
b.事業の内容にこだわるが、やることの内容にはこだわらない
c.事業の内容にはこだわらないが、やることにはこだわる
d.どちらもこだわらない

このうち、aは何をしたいか分かっている人なので除外します。そして、bの人は目的の事業はあると思うので、とりえず目的の事業者の採用状況を調べてみたら良いと思います。cについては、同じ職種でも様々な業種に散らばっている可能性があるので、専門のエージェントに相談してみると良いかもしれません。そして、dの人はこだわらないというか、何をやりたいのか分からないということだと思います。
このカテゴリの人は、悩むだけ無駄かなと思います。メロンパンって美味しいかなって悩むよりは、食べてみて口に合うかどうかを試した方が早いです。で、口に合わなかったら違うパンを食べればいいのです。なので、若い人はえり好みしないで飛び込んでしまった方が良いと思います。想像と実態は違いますから、体で実態を確かめた方が、万が一「やっぱり違かった!」と思っても、次の職を選ぶためのアンカーになります。

事業を立ち上げるのは、Stay Foolishな人。成長させるのは秀才。

ということで、5.以外の人々についても解説してみます。この人たちは、目的意識がはっきりしている人たちです。

3.4「事業・サービスのギャズムを超えさせて、経営する人」
ある程度育ってきたサービスを一般に普及させ、成熟期に入って以降も市場の波をよみながらコントロールする人です。経営、金融、マーケティングの知識に長けた大人が担うべき役目です。googleにおけるエリック・シュミット、日本でいえばマクドナルドの社長、原田泳幸さんが当たるのではないでしょうか。このカテゴリに属する人は、爆発的に市場に商品を拡大させる目的なので、あまり事業・サービスに対する好みで選ばず、事業・サービスの潜在的な可能性を重視しています。
蛇足ですが、成熟に入った事業・サービスのかじ取りをしているのは、このグループの人なのですが、たまに「5.事業・サービスを運用する人」が、ものしり顔に俺がやったった。って言っている場合があります・・・。

1.2「ゼロからイチを立ち上げ、伸ばす人」
起業家に該当するグループです。世の中の空気を読み取って、まだこの世に存在しないモノを生み出すので非常にリスクが高く、大変です。ゆえに、ジョブズ言うところの「Stay Hungry. Stay Foolish.」の人たちがこのグループに属します。日本の起業家の人を見ても、大学を中退している人がけっこういます。この分野に挑戦する人は、ものすごく確率の低いギャンブルをすることになるので、自分が心底打ち込める物事をする傾向があると思います。

まとめ

まとめると以下のようなことになります。

9割以上の人たちはココ⇒5「の事業・サービスを運用する人」
全体の1割未満に属する高学歴エリート⇒3.4「事業・サービスのギャズムを超えさせて、経営する人」
Stay Hungry. Stay Foolishな人1.2「ゼロからイチを立ち上げ、伸ばす人」

繰り返しますが、とりあえず何やろうか悩んでいる人は、本が好きだから編集とか、何かを進めるのが好きだから営業とか、そういう安易な考えで飛び込んじゃってはいかがでしょうか。きっとよくよく考えても結果はそれほど変わらないし、飛び込むタイミングが早い方が学びも早いと思います。

日本独特の成果主義がもたらすデメリット

成果主義

大企業が次々導入するも、相次ぐ撤回

前から言われていることですが、日本は年功序列で黙っていても年齢に合わせて給与が上がっていく時代がありました。しかし、90年代後半から2000年代中ごろまでに、多くの大企業が達成指標を以って評価を決定する成果主義を導入しています。しかし、不整合が生じて2000年代後半に撤回する企業も相次いでいるようです。私も、常々問題があるなぁと感じていたので、いくつか問題点を列挙してみたいと思います。

1.本来成果主義で図ってはいけない職位に導入されている
成果主義が導入されるべきは、その人の働きが直接業績に影響したり、将来的にインパクトを与える事業を起こすような人材のみなのです。しかし、せーので全社で導入されてしまったため、一般の事務職にまで適応されてしまいました。一般の事務職の成果って何だろうと考えると、「お客様に良く思って頂けるような会議室への通し方」とか「かかってきた電話を丁寧に対応」とか妙なことになります。

2.短期的な業績低下で評価が下がるので、誰もリスクを取りたがらない
全員が利益を十分に上げている事業に携わろうとします。その結果、新規事業などのどう転がるか分からない事業には逆に参加を避けるようになります。何かをして失敗するよりも、何もしないで失敗しない方が評価が良いからです。次に会社を支える新しい事業が育ちにくくなります。

3.評価に個人のバイアスがかかる
これは人間なのでしょうがないと言えばしょうがないですが、ものすごくバイアスがかかります。例えば評価者が営業出身だったら営業畑の人間の方が評価が高いですし、技術者だったら技術畑の人間を評価します。さらに日頃から評価者にどう思われているかがポイントになってくるので、飲み会などに参加したり、遅くまで残業をしてアピールすることが重要になってくる場合もあります。

4.顧客を見ないで上司の顔を見るようになる。
評価者へのアピールが重要になりますから、顧客を見ないで上司の方を向いて仕事をすることになります。例えばノルマ達成のためにあまり良くないと思っている商品を顧客にゴリ押ししたり、短期的な数値達成のために長期的にはデメリットとなる手法を使って売上を積み上げる等です。

5.評価に関係ないこと以外はやらなくなる
自分が評価シートに記述したこと以外をしても評価されないので、目立った部分のみを頑張って、それ以外の地味な業務には手をつけなくなります。ある大企業では成果主義を導入後、先輩が後輩をライバルと見なして教育をしなくなったので、導入を撤回したケースもあります。

これからはチームの時代

ということで、今のところ成果主義はほとんど上手く機能してないのではないでしょうか。成果主義が機能するのは「個人としてプロフィットが上げられる職業(しかも短期的に)」に絞った方が良いんじゃないでしょうか。投資化とか金融関係の業界は向いていると思います。

その他においては、チームで仕事をする時代ですから、チーム内の結束力が高くなるような制度にすべきではないかと。例えば、チームを分けて全員の職能給は同レベルにしておき、チーム単位で長期的な視点で競わせるとか。そうすると「自分のために何ができるか」ではなくて「チームのために何ができるか」という視点に切り替わりますよね。

とりあえず、成果主義といいつつ、実態の成果手法は日本社会にありがちな馴れ合いになっているなぁと思います。

新規サービスは、マネタイズを考えておくべきか?

クックパッド

必ず聞かれる「で、マネタイズは?」

なんらか新規事業についてプレゼンしたとします。まず、一番最初に聞かれる質問は「で?マネタイズは?」です。会社として事業をするのであれば収益を生み出さないといけないので、その事業でどうやってお金儲けするの?と問うてるわけです。

これが結構難しい問題で、「FREE」という書籍がありますが、特にインターネットではサービスや情報が無料で受けられることにみんな慣れてしまっているのです。メールもチャットもクラウドのファイルストレージも無料だし、ネットの情報もニュースをはじめとしてほとんど無料、ソーシャルゲームやライトゲームなどの娯楽も無料です。

儲ける方法は2種類しかない

今のところインターネットサービスで設ける方法は

・広告
・ユーザーへの直接課金

の2種類しかありません。
しかし、これはサービスが以下条件を満たしている必要があります。

・広告=1000万人以上の人に使ってもらう必要がある
・ユーザーへの直接課金=ユーザーがお金を使う必要性を感じるか、ファンになってもらう必要がある

早期にマネタイズしようとすると、この点を損なって逆にスケールしなくなるのです。。広告は完全に規模の商売ですから、大きなシェアを握っている会社(googleとか)はアホみたいに儲かります。(2013年1~3月期決算は、約1兆3720億円の売上)
日本で目立って儲かっているサービスの大半は、ユーザーへの直接課金の方ですね。

・ニコニコ動画
・クックパッド
・ソーシャルゲーム

直接課金が上手くまわると、広告より利幅が大きいので利益率が高いです。30~50%にもなります。ひろゆきさんも2000年代中ごろに「これからはユーザーへの直接課金がメインだと思う」という趣旨の発言をしており、さすが先見の明がありますね。

ソーシャルゲームはコンテンツそのものが課金システムと言ってもいいのですが、ニコ動とクックパッドは、機能の一部を使うには有料会員にならないといけないフリーミアムモデルです。「コレにお金を払おう」と思う心理障壁は高いと思うんですよね。最初からマネタイズを考えてしまったら、結局そのへんの思惑がサービスに反映されてしまい、たいした規模のサービスしか作れないと思うんですよ・・・。

だから、最初はマネタイズを考えないでユーザーファーストでサービスを作るのが良いと思います。ただ、これって企業はすごくやり辛いので(当たり前ですが)、個人で開発しているチームにも利が出てくるのはこのポイントですよね。

企業でコレを実践していると思うのは、サイバーエージェントとLINEですね。サイバーはとにかくサービスを立ち上げて改善を繰り返し、爆発的に流行るタイミングを待つという姿勢ですし、LINEについても拡大するまではマネタイズを考えるなという号令が出ていたそうです。

「Amazonが最強な理由は「待てる経営」だから」という記事でも書きましたけど、これだけサービスやコンテンツがあふれている時代には、マネタイズは置いておいてワクワクするものを作るのが良いと思います。


なぜ、会議中にツイッターを見てしまうのか

kuchi

情報共有の会議、聞いている人は半分以下―。

よく業界のトレンドやマーケティング情報等を発表し合う会議ってありますよね。例に漏れず、私もそういう会議に参加しているのですが、気が付くと出席者の半分以上は発表者の話を聞いていないのです。何をやっているかといえば、ツイッターかフェイスブックをしています。何故話を聞かなくなるか考えると、以下の2つのどちらかだと思うんですね。

1.そもそも業界のトレンドやマーケティング情報に興味がない
2.トレンドやマーケティング情報に興味はあるけれど、発表者の話には興味がない

だいたい1.に該当する人はフェイスブックで友だちの近況を見たり、2ちゃんねるのまとめブログを見ている人です。では、2に属する人が何をやっているかと言えば、目の前で発表者が語っているかたわら、ツイッターで情報収集しています。目の前に話している人がいるのにも関わらず、です。

発表者の人を観察してみると、たいていネットの情報をそのまま読み上げているだけだったりします。ネットの情報を読み上げるのであれば、自分でその文章を読んだ方が所用時間が短くなります。だから、デキると言われている人ほど目の前の発表者の話は聞かず、ニュースサイトやブログ、ツイッターを循環して情報収集しているのです。

ニュースに文脈を与えよう

ニュースソースがネットである以上、アクセスは誰でも出来るわけですから、そこに情報の整理や発表者の視点が入ることにより、文脈が生まれて面白くなってきます。NAVERまとめが面白いのは、個別に存在している風に見える単体の事象を紐づけたり、まとめ作成者が独自の切り口を入れることによって文脈が生まれるからです。

例えば、以下がつまらない人の発表内容。

1.A社がカード系ソーシャルゲーム出しました。ゲームの特徴は、コレコレこうです。
2.B社もカード系ソーシャルゲーム出しました。ゲームの特徴は、コレコレこうです。
3.C社もカード系ソーシャルゲーム出しました。ゲームの特徴は、コレコレこうです。

これに視点や切り口を入れて文脈を与えると、

競合のA、B、C社が一斉にゲームをリリースしました。3社の内容を比較すると、かくかくしかじかの差別ポイントがあります。A社、B社はこのジャンルが得意なのでこれまでのタイトルをなぞる形ですが、C社は今まで売れ筋だった箱庭系がダウントレンドなので新しいロジックに挑戦しているような状態です。

となります。

このように、人の興味を惹ける発表するということは、

1.ニュース記事にある以上の情報を持っておく必要がある
=A社、B社はこのジャンルが得意,C社は今まで売れ筋だった箱庭系がダウントレンド

2.自分の思考の結果、生まれた視点を入れる
=C社は今まで売れ筋だった箱庭系がダウントレンドなので新しいロジックに挑戦

が必要になります。今書いていて思ったのが、これはブログを書くことと似てるので、会議に参加するメンバーにブログを書いてもらうと、レベルが一気に上がるかもしれません。

松下幸之助とAmazonジェフ・ベゾスの共通点

松下Kindleで松下幸之助の名言集を買って電車で読んでいたのですが、珠玉の言葉すぎて車中なのに涙が出そうになりました。すごいすごいと言われ続けている経営の神様、松下幸之助氏ですが、本当にすごいですね。社員を家族にように考えて、時に厳しく接し、時に目線を下げて一緒の立場になっていて、社員と一体という感じがします。特に、文中に出てきた以下のコメントに感銘を受けました。

昭和二十九年、松下幸之助が取引先の銀行へ挨拶に行ったときのことである。銀行のある重役が幸之助に、「松下電器はどこまで拡張するのですか」と質問した。

これに対して幸之助は、ゆっくりとした口調でこう答えた。

「それは私にも分かりません。松下電器を大きくするか、小さくするかは、社長の私が決めるものでもなければ、松下電器が決めるものでもありません。すべて社会が決定してくれるものだと思います。松下電器が立派な仕事をして消費者に喜んでいただくならば、もっとつくれという要望が集まってくる。その限りにおいてはどこまでも拡張しなければなりません。

しかし、逆にわれわれがいあかに現状を維持したいと考えても、悪いものをつくっていたのではだんだん売れなくなって、現状維持どころか縮小せざるをえなくなる。だから、松下の今後の発展はすべて社会が決定してくれるのです。もちろん半期とか一年とかの一応の見通しを立てた計画書は銀行にお出ししていますが、どこまで拡張するかと言われると、これは分からないという答えしか出ません」

「松下幸之助から未来のリーダーたちへ」より

会社の成長を決めるのは、自分でも組織でもなく、社会であるというところに、「良い製品を作ってベストを尽くすだけだという」奢りなき決意が見えます。最近どこかでコレと同様の発言を見たなと思っていたらAmazonCEOのジェフ・ベゾス氏でした。

我々は市場シェアを自分たちで決めることはできないと常に思っています。最高の顧客経験を提供することに重点を置いてビジネスを展開するだけ。あとは顧客がアマゾンのシェアを決めます。アマゾンで買い物をするのか、それとも別のところでするのか。これは常に顧客が決めることです。

両社ともカスタマーの裾野が広い、規模の商売をしています。規模が広いと1%でも購買率などの割合が変われば、ダイレクトに売り上げに反映されますから、どうしても「大きな数」として見てしまうと思うのですが、いかに1人1人の顧客への対応を重要視しているかがうかがえる発言です。

時代と国を超えても、普遍的な経営哲学というのがあるのですね。