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メディアはどこに向かうのか2 〜ネットメディアにコミュニティ(ビオトープ)は存在するか?〜

先日「メディアはどこに向かうのか 〜ライフスタイルの先導から共感へ〜」という記事を書いたが、雑誌メディアに限定した内容だった。
内容をまとめると、雑誌メディアは、メディアが提示する色眼鏡(コンセプト)を支持する人たちが集まり、コミュニティ(ビオトープ)化していたが、2000年代後半以降はそれが解体されたという内容となっている。

ニワトリが先か卵が先かという話になるが、雑誌メディアにおけるコミュニティ(ビオトープ)の解体は、ネットメディアの成長と比例している。ネットメディアの隆盛にはコミュニティ(ビオトープ)は、存在するのだろうか。

コンテンツは、入れ物(ソリューション)によって変容する

コンテンツが入れ物(ソリューション)によって変容するというのは、長らく変わらない真理だ。例えば動画というコンテンツは、映画館という入れ物の中では2時間くらいの長さが妥当だった。その後テレビという入れ物が登場すると、お茶の間に集まった家族が楽しめるように30分や1時間尺くらいの番組が多くなった。そしてネット動画が普及している今となっては、人気の動画は1分程度の尺になった。入れ物の箱(ソリューション)が映画→テレビ→ネット(スマホ)という風に変容するに伴い、動画コンテンツはどんどん短い尺になっている。
それでは、メディアは紙という入れ物からネットに移行するにあたって、どのような変化があったのだろう。

ネットという入れ物によって変容したメディア

ネットメディアになってから、メディアはこのように変わった。

1 メディアとしてのコンセプトを打ち出し辛くなった

雑誌メディアは、1冊の本から成る。これは、1つの本として全体の流れを作りやすい構造だ。1冊の雑誌の中で起承転結をつけることにより「私たちのメディアはこうだ」というコンセプトを打ち出し(色眼鏡をかけ)やすい構造になっている。一方、ウェブメディアは、細切れの記事単位で構成されている。そして読者は、検索結果で表示されたり、ソーシャルでシェアされた個別の記事単位を閲覧することになる。メディア全体の中で起承転結をつけることは難しく、一定のコンセプトに沿った文脈を個別の記事に載せることになる。ウェブメディアの記事は、情報が情報として流通することを目的とされた箱なのだ。(前回の記事にもあるが、雑誌メディアも情報を情報として流通させる形態に変化してきており、雑誌のウェブ化と言えるかもしれない。)
しかし、複数の記事単位で構成されたウェブメディアでも「私たちの媒体はこうだ、こういうコンセプトだ」という色を少しづつ載せることは出来る。読者は、グーグルの検索結果やSNSでシェアされた記事に接触し、それが複数回行われるうちに、そのメディアを気に入ってトップページをブックマーク(あるいはアプリをダウンロード)するかもしれない。

2 ライフスタイルの提示から、読者へ寄り添う形へ

雑誌メディアの特徴は、メディアが主導するライフスタイルやロールモデル(Hanako世代、エビちゃんOL)を提示することだった。メディアの主導により、ファッションだったり、ライフスタイルにおけるブームが作られていた。しかし、ウェブメディアはライフスタイルやロールモデルを提示することはなく、読者の共感を誘うようなコンテンツがメインとなる。(これも前回の記事にあるが、雑誌メディアも最近はこういう流れがある。)

これはウェブの集客方法に起因する。ウェブメディアの集客方法はSEOかSNSでの集客に2分される(が、ほとんどSEOだ)。SEOで集客を行うということは、読者の検索需要がある記事を逆張りして作るということになる。すでに読者が読みたいというニーズがある記事を作成するのだから、読者の共感を誘うコンテンツがメインとなるのだ。ソーシャルの場合でも「いいね」をするということは、共感を抱いているということだ。いずれにしろ、共感を誘うコンテンツを作れるかどうかがカギになる。

ネットメディアにコミュニティ(ビオトープ)は存在するか?

ネットメディアにコミュニティ(ビオトープ)は存在するのだろうか。前回のブログをアップしたところで佐々木俊尚さんにツイッターで紹介していただき、こんなコメントをいただいた。


ネットメディアはバーティカル化し、そこでコミュニティ(ビオトープ)は形成されるという。しかし、私の個人的な感覚では、コミュニティ(ビオトープ)を形成しているバーティカルなネットメディアが、どれなのか良く分からない。例えばクオリティの高い1次情報メディアはあるかと思うと、それはあると思う。例えば、音楽情報を提供する「音楽ナタリー」がそうだ。代表の方の書籍も読んだことがあるが、ナタリーは記者自らが原典にあたり、情報が足りないと思えば電話などでも追加取材をしているという。しかし、コミュニティ(ビオトープ)を形成しているかといえば、そうでもない。それは、情報の網羅性にある。ナタリーは、ジャパニーズポップスからアイドル、ロックバンドに至るまでありとあらゆる音楽ジャンルの情報を網羅している。それは、読み手が見たいコンテンツを提供するというナタリーの編集方針でもあるらしいのだが、情報を網羅しているだけに、読者のスタンスは好きな音楽情報の入手先であり、コミュニティ化はしていないように思う。
ネットメディアの「オモコロ」も大変に面白いメディアではあるが、そこでコミュニティが形成されているかというと、そうでもないと思う。「オモコロ」は、カルチャーの枠を超えて万人が心の奥底でフフッとなれるコンテンツを提供しており、読者は「オモコロ」のフフッとなるコンテンツを見て、フフッとなっているだけな気がする。

と、考えた時、コミュニティ(ビオトープ)を形成しているバーティカルメディアとは、一体どこにあるのだろうか。それは、存在するのだろうか。
ここまで書いておいてなんだが、きっと私の知らないところで、それは存在するのかもしれないと思う。ネットメディアが紙メディアに比べて大きく異なる点は「それを好きな人はよく知っているが、知らない人は知らない」というタコツボ化である。雑誌「BRUTUS」の発行部数は10万部に満たない(96,805※)が、「BRUTUS」に熱心なファンがいてとても偉大な雑誌であることはもっと多くの人が知っている。雑誌メディアは、実際の発行部数が小さかったとしても、外部の人々によるブランドの認知はされている。だから、周囲を見渡せば、あそことあそこにコミュニティ(ビオトープ)があるんだなということが分かる。

しかし、ウェブメディアは見渡してもコミュニティ(ビオトープ)の形成はわからない。おそらくそれが月間100万人の訪問があったとしても分からない。きっと月間1,000万人が訪問くらいになって、初めて外部の人たちが「こんなメディアがあるのか」と認知するレベルなのだと思う。
ということで、バーティカルなウェブメディアのコミュニティ化(ビオトープ)は、それぞれにひっそりと進行しているのかもしれない。

http://www.j-magazine.or.jp/data_002/m2.html

メディアはどこに向かうのか 〜ライフスタイルの先導から共感へ〜

メディアって何だろう

昔から雑誌が好きで、書店の雑誌コーナーに通っては、ラックの上から下まで目についた雑誌を手に取り、ページをパラパラをめくっていた。雑誌メディアとは何だろうと、改めて考えたときに、一番当てはまるメタファーは「色眼鏡」なのかと思う。

ヨガといえば、女性がフィットネス的に楽しめるアクテビティだ。しかし、ヨガはその昔、オウム真理教の影響もあり、うさんくさい目で見られていた。しかし、2004年にヨガの専門誌「Yogini(ヨギーニ)」が創刊されると、体に良くて痩せてキレイになるフィットネスとしてブランディングされ、一気にヨガ市場が拡大したのだという。LINEの田端さんのインタビューで見かけたエピソードだ。

この「Yogini(ヨギーニ)」というメディアが果たした役割は、ヨガというアクティビティを、「痩せてキレイになれる」「体に良い」「オシャレ」というフィルターをつけて見せてあげたことだと思う。「ヨガはオシャレで体に良いよ」という色眼鏡をかけてあげたのだ。色眼鏡をかけるとは、メディアが特定のテーマに対して、読者に提示する視点を提供してあげることであり、メディアが支持されているということは、メディアの色眼鏡(視点)を装着したいと思う人が多いということだ。

吉祥寺も自由が丘も、定量的にはただの街だけれど、Hanakoという雑誌メディアの色眼鏡をかけると「探索するのが楽しいオシャレな街」ということになる。

メディアとはコミュニティ(ビオトープ)だ

「メディアの色眼鏡」をかけたいという人が集まってくると、メディアはコミュニティ化する。コミュニティにあらずとも、なんとなく同じ色眼鏡をかけた人たちが集まってきて、それぞれのビオトープ(生息圏)が出来る。例えば、Hanako世代という言葉があるけれど、1980年代後半に20代だった女性は、雑誌Hanakoによって消費傾向に影響を受けていたという。自分が好きなものを買って、自分が好きなところへ旅行に行く。そんな自由な消費スタイルという色眼鏡をメディアが打ち出すと、それに影響を受けた層がゆるく集まってビオトープ(生息圏)のようなものが出来る。

メディアのコミュニティ(ビオトープ)化には、2つの手法がある

メディアのコミュニティ(ビオトープ)化に至るには2つの手法がある。1つ目は、メディア自身が色眼鏡を定義し、それを啓蒙すること。先ほどの80年代の「Hanako」における自由な消費スタイルなどがそれにあたる。さらに、2000年代半ばに赤文字系雑誌の「Cancam」を通して流行した「エビちゃんOL」も、コンサバ系OLファッションに身を包んで髪の毛はゆるい巻き髪をするという色眼鏡を定義して啓蒙していた。ロハスで自然な暮らしを提案する「リンネル」や「クウネル」と言った雑誌も”ロハスで自然な暮らし”という色眼鏡を読者に提供している。

この手法を広めるにあたって有効だったのが、メディアの色眼鏡の象徴(アイコン)となる人物を設定することだ。例えば、「Cancam」の「エビちゃんOL」の象徴(アイコン)は文字通りモデルの蛯原友里であり、ビオトープにいる読者たちは「コンサバOLになりたい=蛯原友里が象徴」という明確なゴールが出来る。

コミュニティ(ビオトープ)を形成する2つ目の方法は「体系的な知識を必要とする閉じたサロンを作ること」だ。雑誌で言うと音楽雑誌の「ROCKIN’ON JAPAN」を読んでいる人たちは「かなり音楽に詳しい人」であり、日本の音楽シーンの歴史年表がある程度体系的に頭に入っていて話が出来る(どこそこのバンドは、どこそこのバンドを影響を受けている)前提になる。
その雑誌を読んでいることが、コミュニティ(ビオトープ)に入るための入場券になるのだ。同様に「STUDIO VOICE」を読んでいる人は、サブカルチャーに詳しく、日本のサブカル誌についての知識がある程度体系的にある前提となる。
(体系的な知識を必要とする という前提でいうと政治経済ニュースにも当てはまり、NewsPicksもこの構造にハマる気がする。)

メディアのコミュニティ(ビオトープ)化の終わり

メディアが読者に色眼鏡をかけて、コミュニティ(ビオトープ)化していたのは、2000年代半ばくらいまでだったと思う。2000年代後半以降はメディアを取り巻く定義は激変した。それは主に以下の点に集約される。

1.数十万人たちをくくれる色眼鏡が消滅した

現在において「Hanako世代」や「エビちゃんOL」など、メディアの色眼鏡をかけたビオトープ圏をくくれる言葉は存在しなくなった。人々の消費行動やライフスタイルを、一つの大きな枠で括られなくなったのだ。言い換えると、人々はライフスタイルにおけるロールモデルを必要としなくなった。cancamは最盛期は80万部を超えており、購読者層はコンサバエビちゃんOLを目指していたが、現在において数十万人をひとくくりに出来るメディアの色眼鏡や、象徴としてのロールモデルは存在しない。

2.体系的な知識を必要とするサロン的メディアは解体された

体系的な知識を必要とするサロン的メディア、例えば映画雑誌や音楽雑誌などは次々と廃刊となり、特定のジャンルにおいて濃い知識を持ち寄って、サロン的に動いていたメディアは解体された。2000年代にはミニシアターブームもあり、都市部には「ある程度カルチャーを分かっておくべき」的な空気感があったが、現在においては「面白ければいいじゃん」的なノリで体系的な知識が必要とされるメディアは皆無に等しい。

メディアはどこに向かうのか

コミュニティ化(ビオトープ)が終わったメディアは、色眼鏡を読者にかけるのではなくて、単に「情報」を提供し始めた。特にファッションにおいては、ファッションの潮流がベーシック化になる流れを受けて、逆に色眼鏡を設定することが購読者層獲得にマイナスに働くからだ。ファストファッションの台頭により、ファッション誌はGUなどのプチプライスのアイテムをメイン特集にするなど、読者の消費環境に寄り添った特集記事を”情報”として提供し始めた。(これは、2000年代まではメディア主導でライフスタイルが作られていた動きから見ると、真逆の動きと言える、。)
もしくは、雑誌に特典付録という麻薬的なアイテムをセットにすることにより、紙メディアの部数を伸ばそうと試みた。

このように、雑誌がライフスタイルについてのロールモデルを主導する時代は終わり、消費者の消費行動に即した等身大の「情報」を提供するようになった。(そして、それは消費者に受け入れられ、雑誌を定期的に購読する層であった現在の30代、40代をターゲットとしたファッション誌などは部数を伸ばしている。)

しかし、一部の雑誌は今もまだそれぞれの雑誌固有の色眼鏡を提供し続けて、読者はその色眼鏡をかけたいと親密な関係を結んでいる。「ブルータス」といったカルチャー誌や部数を維持している「Hanako」などもそうだ。主婦向けの「Mart」なども主婦たちのコミュニティが形成され、そこから新商品が登場している。
これらを見ていると、読者は雑誌が提供するロールモデルに従っているのではなく、雑誌の提案するポリシーや空気感に「共感」を抱いているように感じる。成功しているカルチャー誌のキモは、メディアが提案するポリシーや空気感を「共感」を持って受け入れてもらえることが大事なのではないだろうか。

▼続き
メディアはどこに向かうのか2 〜ネットメディアにコミュニティ(ビオトープ)は存在するか?〜

嗜好が細分化した時代に、人々を一つに繋げるコンテンツ

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インターネット、スマホの登場により細分化した人々の嗜好

最近ピコ太郎の動画がYOUYUBEで流行っていると聞いて見てみたものの、いまいち何が面白いのか分からない今日この頃です。

さて、スマートフォンの登場以降、人々の嗜好はどんどん細分化しています。かつてのマスであったテレビが、マスではなくなりつつあり「万人が知っている」共通の情報はどんどん少なくなっています。
嗜好の細分化に一役買っているのは、スマホデバイスの普及です。スマホデバイスが普及した結果、様々なソリューションに常時アクセスすることが可能になりました。

facebookやツイッターもSNSという名のソリューションですし、YOUTUBEやニコニコ動画という動画ソリューションも台頭しました。さらにソーシャルゲームというソリューションが生まれた結果、今までゲームをしなかった層にもゲームが普及しました。
以前は情報の入手手段がマスメディアしかなかったのですが、人々が情報を手に入れるソリューションば細分化しているのです。

さらに、個々のソリューションの中も、さらに細分化しています。ツイッターを見てみても、政治、経済などについてつぶやいているアカウントがある一方、中高生が身内でのコミュニケーションの一環としてつぶやいているアカウントもあります。そして、これらはお互いに交わることがありません。
自分たちが興味のある情報やアカウントをフォローし、それぞれの住み分けとクラスタがあるのです。このように、自分の興味がある情報だけを追うようになるのも、インターネットのソリューションの特性と言えます。

この10年で、みんながが知っている【共通知】という括りが減り、好みや嗜好が細分化して、自分たちのクラスタが生息するエリアのみ情報のみを、取り入れるようになったのです。

ピコ太郎やラッスンゴレライ。リズムネタやキャラネタにお笑いが偏る理由

好みや嗜好が細分化するということは、以前であれば「テレビを見ている人がたいてい知っている」という共通の情報がなくなるということです。例えば爆笑問題さんは、漫才で時事ネタを扱っているので、旬のニュースや芸能ネタを取り入れます。ライブでショーンKさんのネタを扱ったと言いますが、このネタを笑うには観客に「ショーンKさんが経歴詐称で話題になった」という知識がある必要があります。昔の日本であれば、テレビのワイドショーで扱ったニュースはだいたいの人たちが知っていましたが、今はテレビが家にない人も珍しくありません。ショーンKさんの経歴詐称の話題を知らない人にとっては、知識がないので笑えないネタなのです。
お笑いというのは、人々の共通知をくすぐるコンテンツなので、今は非常にお笑いというものが作りにくくなっています。

それでは、笑いの最大公約数を取るためのネタを考えると「共通の知識」がなくても笑える「見た目が面白い」「五感で理解出来る」と言った分かりやすい方向に行きます。これが、リズムネタやキャラネタに転化され、幼稚園児が見ても笑えるようなプリミティブなものになっていきます。プリミティブな笑いは表層的な共通知なので、分かりやすい分、飽きられるのも早くなります。リズムネタやキャラネタが流行っては、半年以内には消えていくということがここ数年起こっている現象です。

本当は、深いところで一つになりたがっている

嗜好の細分化が起こった結果、人々は表層的な共通知でしか繋がることが出来なくなりました。しかし、その反動的に一つに繋がりたいという気持ちが非常に強くなっています。以前に比べて、「何が共通項か分からないけれど、人々を一つに繋げることのコンテンツ」の爆発力が高まっているのです。それはスタジオジブリの作品だったり「君の名は。」が予想外のヒットになっていることに現れています。
しかし、この深層的な共通知は、これが共通知であるという因数分解が出来ないため、時代の流れを読むのに長けたクリエイターによる感覚やセンスに依存します。そして、クリエイター自身も爆発的ヒットになるかどうかは、事前に予測が不可能なのです。

ということで、現代における3つのコンテンツの種類とは「細分化した嗜好に合わせたコンテンツ」「プリミティブな感覚に即した表層的なコンテンツ(コンテンツの消費期限は早い)」「深層的な共通知に働きかけるアートなコンテンツ」に分類されます。そして、最後の1つは誰にも爆発的ヒットになるかは予測できないものの、人々がこのコンテンツを深く欲しているため、一度爆発すると並外れたヒットになる確率が高いのです。

雑誌とウェブメディアの編集者に求められるスキルの違い

近頃雑誌の休刊が相次いでいます。ファッションなど趣味嗜好の情報を雑誌のみに頼っていた時代が終わり、多くの人はウェブメディアで情報を手に入れるようになりました。
雑誌とウェブの違いを比較した上で、編集者に求められるスキルの違いを考えてみました。
(ここでいうウェブメディアは、中堅程度のキュレーションメディア等を指します。例えばNewsPicksのように、独自の取材記事などがメインになるメディアはウェブメディアというよりは、雑誌メディアのウェブ化のように感じます。)

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■視点・切り口
雑誌メディア=トレンドや媒体が先導
ウェブメディア=読者目線

この「視点・切り口」の違いが、雑誌とウェブの最大の違いです。雑誌で扱うテーマは常にトレンドや媒体が先導してきました。つまり、雑誌自体が「いろいろなブームを先導してきた」のです。例えば「Cancam」はエビちゃんOLというブームを巻き起こしましたし、その昔、雑誌「Hanako」の読者層が時代を象徴する女性像となり、1989年にはHanako族という言葉が流行語大賞にもなりました。
雑誌がトレンドを先取りしてブームを作り、雑誌に載っているモノやライフスタイルを追い求めているという図式が出来上がっていたのです。

対して、ウェブメディアに求められるのは読者目線です。ウェブメディアは読者が日常気になっていた課題を解決するような記事が好まれます。例えば、女性向けメディアであれば「伸ばしかけの前髪のアレンジ方法」や「可愛すぎない大人の花柄モチーフコーデ」などです。前者の記事は、前髪を伸ばしかけの女性の課題を解決し、後者は花柄モチーフが流行していても、可愛すぎて着れないと思っている女性の課題を解決します。

このように、雑誌メディアが「これを買うといいですよ。こういう生活が素敵です。」と、ライフスタイルの提案をしてきたのに対して、ウェブメディアは「あなたの課題を解決しますよ」という読者に寄り添った切り口になっているのです。
この両者の違いは、集客方法の違いに起因します。ウェブメディアの集客導線の多くは未だに検索流入です。検索の集客を最大化するということは、すでにある課題(=検索ワード)への回答を用意することが最適解だからです。

■ビジュアル
雑誌メディア=ビジュアルはコンテンツそのもの
ウェブメディア=ビジュアルはテキストのアイキャッチ

雑誌メディアにおける写真などのビジュアルは、コンテンツそのものです。これは、雑誌のサイズが大きいというハコの形状が影響しています。
雑誌におけるビジュアルはカメラマンが撮影したり、イラストレーターが専用に描き起こすため、非常にクオリティの高いものになっています。

対して、ウェブメディアのビジュアルは、テキストのアイキャッチ的役割が強くなっています。文章中に差し込まれた写真を目で追いながら、合間のテキストを流し読みする構造になっています。
ウェブメディアでも今後はビジュアルがコンテンツの主軸になっていく可能性はありますが、1記事あたりにお金をかけられないというウェブメディアの特性があるため、多くのウェブメディアはゼロからビジュアルを起こすということは、あまりしていません。
また、ウェブの世界は限りなく「視点・切り口」が読者寄りになっているため、プロが撮った完璧な写真よりは、消費者が撮った生活感のある写真の方が好まれたりもします。

■ライティング
雑誌メディア=正確性、専門知識
ウェブメディア=大量生産、個々の要素をまとめる力

雑誌メディアにおけるライティングには、正確性と専門知識が求められます。一度紙に刷ってしまうと修正が出来ないため、ことばの表記や「てにをは」など、厳密にチェックされます。そして、正確性とともに専門知識も重要です。映画媒体であれば、年間映画を10本しか観ない人よりは、年間映画を100本観る人の方が中身が厚い記事を書くことが出来ます。
ファッションについてもトレンドの源流になっている海外コレクションの最新情報や、ファッションの体系的情報を得ている人の方が中身の濃い記事を書くことができます。

一方、ウェブメディアのライターには記事を大量に生産することが求められ、編集者にはそれを管理する能力が求められます。先の理由により、ウェブメディアの集客はSEOが主軸なので、1記事あたりのアクセス数から逆算すると、記事を量産する必要があるからです。
そして、記事のジャンルとしてまとめ記事がメインになってくるため、一見脈絡のないものを一つのテーマでまとめる力が求められます。例えば、今年の旬のファッションアイテムがニットセットアップであれば、ニットセットアップのビジュアルを探して出してまとめたり、「意外とご飯のお供にしたら美味しかったモノ」というくくりを与えて食材のまとめ記事を作るなどです。

雑誌メディアが専門知識を使った深堀りを得意とするのに対して、ウェブメディアは分かりやすい解説やまとめに主軸においています。

■求められる重要なスキル
雑誌メディアの編集者=読者を引きつける取材、文章力
ウェブメディア編集者=マーケティング(SEO、ソーシャル)、コスト管理

ということで、これらをふまえた上でそれぞれの編集者に求められるスキルを整理すると、このようになります。雑誌メディアの編集者に求められるのは、そのまま「編集」スキルです。しかし、ウェブメディアの編集者には、マーケティングとコスト管理という全く異なるスキルが求められます。
ウェブメディアは特性上、1本あたりの原稿で出来るだけ多くの人を集客しなければなりません。ですから、SEOを考えて記事の原稿タイトルを決めたり、出来るだけソーシャルで拡散しやすい題材という集客から逆算をしたコンテンツの設計をする必要があります。かつ、大量の原稿を作成する必要があるため、1本あたりいくらという厳しいコスト管理が求められるのです。

雑誌メディアが編集に徹していられるのは、収益とコンテンツが切り離されているからです。雑誌は雑誌全体でブランディングされ、想定される購買読者層がおり、その購買層にリーチしたい広告主がいます。雑誌は、どのページがどのように読者に響いたのかという効果測定をしません(というか出来ません。)
しかし、ウェブメディアは1ページあたりのユニーク数やPV数が測定できるため、収益とコンテンツが直結しており、コンテンツが収益のために最適化されていきます。この最適化をするのがマーケティングなのです。

ということで、雑誌メディアとウェブメディアの編集者に求められるスキルの違いを解説してみました。この違いの根幹にあるのは「収益とコンテンツが分離しているか否か」及び「1本の原稿あたりにかけられる費用」の違いです。
つまりウェブメディアが雑誌メディア並みにリッチな媒体になるには「収益とコンテンツが分離している」状態を作り(=メディア全体としてのブランディング)、「1本の原稿あたりにかけられる費用が雑誌並みに高くなる」必要があります。

そういう意味では、課金モデルで収益化を実現している「News Picks」は「1本の原稿あたりにかけられる費用が雑誌並みに高くなっている」状態にあると思いますし、話題のニュースを掘り下げ、専門性の高い記事を提供している「Buzz Feed」は「収益とコンテンツが分離している」状態を目指しているのかなと思います。

このように雑誌メディアのウェブ化とも言えるウェブメディアが増えてきているように思います。私も雑誌世代として育った年代なので、こういうったメディアが増えたほうが、読みごたえがあるなと思う次第です。

地域限定なのに100万人が見ている!?謎のウェブメディア「はまれぽ.com」

メディアには人格がある。

その昔、書店の雑誌コーナーにて、雑誌を上から下までくまなくチェックしていた生粋の雑誌好きです。最近は雑誌の編集者がウェブメディアに流れるという傾向もあるようですが、紙の雑誌と比べると、ウェブメディアには人格が備わっていないように思います。

雑誌を定期的に見ていると、雑誌自体に人格が備わっているような気がしてきます。例えば、リニューアル前のクウネルであれば、都心から離れた小さな山の麓に木の家を構えるさと子さん(30代女子)みたいな感じです。お気に入りの雑誌を定期的に見るということは「さと子さんは、今月お変わりないかしら」と電車に乗って会いに行って、お茶でも飲みながらさと子さんと話して「ああ、今月もさと子さんはお変わりなかったわね」と帰ってくるようなイメージです。
逆にウェブメディアは、そこに擬人化もメタファーも入る余地がなく「情報!メディア!!伝達!!!」みたいなところがあります。

しかし、あるきっかけがあり、横浜を中心にした地域情報を配信するWebメディア「はまれぽ.com」の存在を知ったのですが、ものすごく人格を感じられるメディアです。メディアに人格を与えるという行為は、メディアブランディングと言い換えられるかもしれません。例えばクウネルはリニューアルして、30代ほのぼの女子さと子さんから、30代都内でおしゃれ生活を営む久美子さんみたいな感じになりました。なぜ雑誌に人格を与えるかといえば、それは30代おしゃれ生活に憧れる女子に読んでほしいという読者のターゲティングのためであり、さらにその先には広告によるマネタイズという目的があります。

しかし、この「はまれぽ.com」からどういう人格が感じられるかといえば、新宿歌舞伎町に棲む(はまれぽだけど)ルポライター雑学太郎42歳みたいな、誰得なイメージを受けます。わかりやすく例えようとして逆にわかりづらくなったので、具体的に何がすごいのかを説明していきます。

日本三大ドヤ街にストリップ劇場!?ディープすぎる記事の内容

今現在(2016年8月8日)、このメディアにアクセスして一番最初に目につく記事は

「ストリップ劇場「浜劇」、「横浜ロック座」になってどう変わった?」

です。横浜やその周辺にスポットを当てたメディアと聞くと、横浜に新しく出来た商業施設の紹介(MARINE & WALKなど)や、イベント情報(赤レンガにてオクトーバーフェスト開催)などと想像できますが、なんとストリップ劇場です。いくら何でもディープすぎるでしょう。

ちなみに「はまれぽ.comからのごあいさつ」を見ると、コンセプトがこのように書かれています。

「はまれぽ.com」は、「横浜という街の本当の姿をもって知ってほしい!そして、もっともっと好きになってもらいたい!」という思いから生まれました。
横浜は、多くの人がイメージする「海の近くのおしゃれで華やかな街」という顔ばかりでなく、「ドヤ街」と呼ばれる日雇い労働者向けの簡易宿泊所や、かつて「ちょんと間」と呼ばれた青線地帯があったりと、華やかさとは無縁の一面も持っています。
それらをひっくるめた「横浜の魅力」を、ライターや編集者が「自分たちの目で見たもの、耳で聞いたことをしっかりと伝えていく」というモットーで、広めていきたいと思っています。

このコンセプトの通り、先ほどのディープ横浜を扱った記事が多数掲載されています。さらに、先ほどのストリップ劇場記事の下には

神奈川駅、年季の入った看板の「さくら旅館」は営業している?

という本当に地元民じゃない限り、全く気にならないようなディープすぎる題材も扱われているのです。

ハンパない取材力とぐいぐい読ませる文章

このメディアで提供されている記事は、ほとんどがライターの現地取材に基づいています。ウェブメディアは、1本あたりの記事提供コストが低いので「中華街でハズせない!おすすめグルメ6店」みたいな、きっと「中華街 おすすめ グルメ」ってググって出てきたお店をまとめ記事にしてるんだろうなー的な原稿が多いように思います。しかし、このメディアについては記者自らが現地に赴き現場取材を敢行しています。

例えば、私がこのメディアを知るきっかけとなったのは、横浜にある日本三大ドヤ街のひとつ寿町を扱ったこのルポです。(そう、もはや記事というよりはルポです。)

「ライター井上が、身一つでドヤ街を調査。その実態をレポート!」

これを読んでみるとわかるのですが、なんでしょうか、このハンパない取材力は。寿町といえば、関西にあるあいりん地区、東京都上野の山谷と並んで日雇い労働者が集まる日本三大ドヤ街として有名な地区です。一般的には女性がこの地域に足を踏み入れることを推奨されず、私も一度気づかずに足を踏み入れてしまったのですが、周りの空気のあまりの変わりようにびっくりしたことがあります。

寿町には2000円代で泊まれる簡易宿泊施設が軒を連ねているのですが、その土地柄、女性を泊めることはありません。しかし、この女性のライターさんは15件も宿泊を断られたのちに、16件めの宿泊施設で管理人にゴリ押しをして泊めてもらうという、テレビ東京のリアル旅番組さながらの交渉をしています。

さらに、その管理人さんと夜の寿町に連れ立って赴き、管理人さんのリアルな証言を取ることにも成功しているんですね。ぐいぐいと読ませる生の証言の数々は、この体当たり取材がなければ書けないでしょう。
その他の記事を見ても、いずれもライターによる現場での体当たり取材が多く、しかも扱う内容がディープであるだけに、取材先に10件以上断れることも珍しくないようです。

果たして、どれくらいの人が見ているか?マネタイズの謎。

ということで「はまれぽ.com」の異常なクオリティの高さがお分かりいただけたかと思いますが、とは言っても「はまれぽ」という名称からわかる通り、扱う内容は横浜、湘南、川崎と地域が限定されます。果たしてどのくらいの人がこのメディアを見ているのが、解析ツールのシミラーウェブを調べてみると、過去半年間で100万人の訪問者数があるそうです(解析ツールなので実績値とは誤差がある可能性が高いです。)。参考までに横浜ウォーカーの発行部数は49,834部ですから、ウェブメディアとはいえ月ベースでならしても20〜30万人程度のアクセスはありそうです。
インタビューコーナーを見ても、「トレンディエンジェル」斎藤司さんや、谷原章介さんなどのビッグネームのタレントさんのインビューを単独で取れているので、アクセス数はかなりあるのでしょう。

しかし、記事のクオリティが高く、アクセスががある程度あることが分かっても頭をもたげるのが「マネタイズをどうしているのか?」という疑問です。現在サイトのトップには大磯ロングビーチのバナーが掲載されているため、バナー広告による収入はあるのだろうなと思うのですが、その他何でマネタイズをしているのかよく分かりません。
横浜近郊のレストランや、ウェディング場などを扱った記事広告のようなものがあるので、これでマネタイズを図っているような気もします。(しかし、特に記事内にPRマークは入っていないようです)

たまに、メディアそのものでマネタイズをするというよりは、提供元の会社の販促活動等のマーケティング目的であったりするので、運営元の株式会社アイ・ティ・エーのサイトを見にってみたのですが、通信機器の販売などをメインに手掛けているようで、特にメディアとのシナジーは感じられませんでした。(というか、なぜ通信機器の販売を手がける会社さんが、このようなぶっとんだメディアを運営しているのでしょうか。)

ということで、いろいろと謎に包まれた「はまれぽ.com」ですが、メディア好きの人間としてはこのままディープなメディアを貫いて欲しいなあと思います。先ほど半年で100万人程度の訪問者があるらしいという話をしたのですが、アクセス経路を見ると、なんとそのうち27%は直接訪問なんですね。これはつまり、お気に入りに入れるなどして、定期的に見ている読者が多い=このメディアを好きな読者が多いということです。

ということで、これからも「はまれぽ.com」を遠くから応援したいです。

もしも、女性向けファッション誌がなくなったら、失われること

ファッション誌の売上が、ものすごい勢いで急降下しています。

特に雑誌は店頭の売り上げが落ち込み、女性誌ファッション誌が前年比88.2%、ティーンズ誌が同92.3%だった。雑誌の休刊が相次ぎ、創刊91誌に対して休刊177誌になり、販売部数の減少が売り上げ減少に響いた。
出典:https://www.wwdjapan.com/business/2016/06/03/00020687.html

前年比の88%の売上レベルとなっており、毎年この比率を続けたら10年後にファッション誌が存在しているのかと思ってしまうほどです。しかし、ファッション誌(というかCancamなどに代表される赤文字系ファッション誌)がなくなってしまったら、失われてしまうことがあります。

1.ファッションのトレンド発信

シーズンごとのファッショントレンドは、主にテレビ等のマスメディアによって拡散されますが、情報の出所はだいたい雑誌です。シーズンごとに各ブランドが世界各地でパリコレなどのコレクションを披露し、そのトレンドに沿った大量の既製服が作られます。そのトレンドを「今シーズンのトレンドはコレ」といった形でファッション誌が特集し、テレビにも取り上げられるのです。ゆえに、ファッションのトレンドはブランドによって製品が作られ、ファッション誌によって啓蒙されるのです。

最近は、ファッションのベーシック化が進み、シーズンごとのトレンドの差異が少ないように思いますが、それでもファッション誌がなくなってしまったら、1次情報の発信元としてトレンドを啓蒙する存在がなくなってしまいます。
しかし、この点においてはWebのファッションメディアでも代替え可能かもしれません。

2.ファッション誌バズワードの発信

かなり前に赤文字系ファッション誌のWebに関わっていたことがあり、毎号の目次を凝視していたのですが、そのコピーライティングのセンスにはうなるものがあります。一番うなったのはクリスマスシーズンの号に掲載されていた「おねだリング」というワードです。彼氏や旦那に買ってもらいたい指輪のことです。ファッション誌は昔から、アイテムの使用用途に合わせたバズワードを作るのが上手です。ヘビロテ服(ヘービーローテーションする着回せる服)や、こやし靴(安めで使い勝手の良い靴)、最近ではおフェロ顔(チークなどを効果的に使ったフェロモンたっぷりの顔)などなど、トレンドを現すバズワードの発信元もファッション誌です。
エビちゃんが流行していたときは、エビちゃんOLというようなワードもありましたね。

ファッション誌がなくなったら、こういったバズワードはどのように生み出されるのでしょうか。今のところ、Webのファッションメディアは、ファッション誌のトレンドやバズワードを後追いで編集し直している部分が多いかと思います。今後ファッション誌出身の編集者がWebメディアへと移動し、Webメディアからこういったワードが発信されていく可能性はあります。(ただし、社会現象になるほどのワードになるためには、テレビの力が必要ですが。)

ひとつの仮説としては、今後はこういったワードがソーシャル上で強い力を持つ個人から発信される可能性があるのかなと思います。ファッション誌の専売特許といえばモデルやタレントのファッションスナップでしたが、いまやモデルやタレントたちは、インスタグラムで日常的に自身の写真を投稿しています。同様に、ソーシャル上で強い力を持つインフルエンサーによってバズワードが生み出され、それがテレビで拾われる形になるかもしれません。例えば最近「プロ彼女」というワードが流行しましたが、最初のこのワードを用いていたのはコラムニストの能町みね子さんでしたね。

3.赤文字系ファッション誌特有のストーリープレイ

「ストーリープレイ」というのは、私が今名付けたのですが、つまりは赤文字系雑誌にたいてい載っているこちらのページです。

赤文字系雑誌 「赤文字系ファッション誌」にたいてい載っているストーリープレイ。気になる先輩や後輩が出現し、最後には告白されるパターンが多い。

主人公が登場し、1週間のコーデを披露します。そして、その1週間には必ず彼氏や彼氏候補(だいたい職場の先輩か後輩)が登場するのです。
この「ストーリープレイ」が赤文字系ファッション誌を赤文字系たらしめているコンテンツです。このようにファッションに対して、異性の目線を取り入れますよと高らかに宣言しているのです。逆に青文字系ファッション誌は、自分のためのオシャレなので、この「ストーリープレイ」に相当するコンテンツを見たことがありません。少なくともこの20年近くは、ずっと赤文字系ファッション誌に掲載され続けているコンテンツなので、需要はあるのでしょう。

このコンテンツは、上記の2点に比べてWebメディアへの移行がおそらなくないので、もしもファッション誌がなくなってしまったら、このコンテンツもそのまま消滅してしまう可能性があります。

ということで、もしもファッション誌がなくなったら失われる3つのことについて考えてみました。いずれにせよ、紙媒体と比べてWeb媒体は細分化しやすいメディアであり、ひとつの大きなトレンドを提起するには不向きなので、トレンドの提案が今後どのようになっていくのかが気になるところです。

オンライン動画に、字幕をつけるべき理由

動画元年、動画元年と言われつつ、今年こそ動画元年だと言われる2016年。最近はネット上での動画に注目が集っているわけですが、調査をしてみたところ、オンライン動画って普通の動画と全く見られ方が違うんですね。ということで、注意すべきポイントを挙げてみました。

1.動画の尺は5分以内に。短ければ短いほど良い。

視聴者が興味のある動画(海外ドラマやゲーム実況動画)であれば長くて良いのですが、チュートリアル的な動画だったりアテンションを取りたい動画であれば5分以内に納めた方が良さそうです。再生時間を見て、再生するかどうかを決めるからです。

2.起承転結ではなく「結」から入る

映像クリエイターさんは、おそらく起承転結の形で映像を作成するため、冒頭に前置き的な内容を起きがちですが、結論ではないマクラ話が数十秒続くと視聴者は離脱します。オンライン動画は「結論」から入ることが大事です。
ちなみにYoutubeの動画広告は5秒立てばスキップできる広告が主流ですが、実際に5秒後にスキップされる率が大半らしく、最近は冒頭5秒に言いたいことを詰め込むという方向にシフトしているそうです。
最近では開始6秒はスキップできない新広告が登場し、動画広告冒頭の数秒に言いたい事を詰め込むという流れが加速していきそうです。

3.動画に字幕を付けた方が良い

動画の視聴方法を調査している中で、多かったのが「そもそも動画を再生しないで、再生バーを送っていって静止画として見る」というものでした。
なんと動画を「連続した静止画」として見ている人たちがいるのですね。この場合、字幕がついているかどうかが、その動画を見るかどうかの分かれ道になります。字幕がついていた場合、気になるところを静止が的に閲覧するため、動画の尺が長めでも見られやすくなるでしょう。
さらに、動画に字幕を付けた方が良い理由として「スマートフォンでの視聴」が多いこともあります。YouTubeでのモバイルでバイスでの視聴時間は劇的に増えています。

モバイルデバイスからのYouTube動画視聴時間は平均40分にのぼり、1年で50%も増えています。
出典:http://www.movie-times.tv/feature/8024/

スマホでオンライン動画を見る際、街中や電車等の外出先で見るときは周りの音がうるさいのでミュートで字幕のみをおうケースもあるため、字幕をつけて置いた方が外出先にスマホで視聴しやすくなるのです。

ということでオンライン動画が見られやすくなる3つのポイントでした。

参考
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1604/27/news097.html

スターバックスに学ぶ顧客全包囲のメディアの作り方

スタバの売上はドトールグループの2倍近く!?

一人で作業したり、Wifiを使いたかったりでスターバックスに行くことが多いのですが、都内やその近郊では圧倒的にスターバックスの数が足りないと思うんですよね。常に混んでますし、当初は席の間にゆとりがあってくつろげる空間というコンセプトだったと思うのですが、今ではけっこう寿司詰め状態になっているところが多いです。(特に電源設置のカウンターあたり)

スターバックスの店舗推移を見ると、年々順調に増えていて2014年3月期には1034店舗と全国1千店舗の大台を超えているのですが、それでも都市部では需要に供給が追いついていない気がしますね。

ちなみにドトールグループ(ドトールにエクセルシオール等も含む)は2016年3月末時点で1339店舗(2016年)で売上が684億9千万(2015年)に対して、スターバックスは1034店舗で売上1256億6千万(2014年3月期)なので店舗数ではドトールグループの方が上ですが、スターバックスは2倍近く売上があります。スターバックスの方が単価が高いことは予想できますが、さすがにこの売上差は店舗あたりの来店数にもかなりの差があるのではないかと推測されます。

店舗数

売上高

※(単位 百万)スターバックスは2014年度の数値。ドトールグループは店舗数は2016年の数値、売上高は2015年の数値を使用

訪れる人によって提供する価値が異なるスタバ

何故こんなに集客力があるのかというと、スターバックスは訪れる客層によって提供する価値が異なるからです。例えば放課後のスターバックスは女子高生の溜まり場(筆者は放課後の学生をマクドナルドからスターバックスが奪ったと思っています)になっていますが、彼女たちにとってのスタバはフラペチーノを提供するスイーツ店です。今の季節、スタバにいる学生を見ると、みんな新作フラペチーノを片手にお話しに来ています。
そして、ノマドな人たちやフリーランス、ビジネスマンにとってはwifiや電源もあるので仕事場になっていますね。
私はこの2タイプがスタバの2大顧客層だと思っているのですが、さらにここから都市部か郊外かによって、客層が分かれてきます。都市部であれば軽いランチを取りに来るOLさんや、簡単な商談をしているビジネスマン、郊外であれば買い物の途中で休憩しにきた主婦や、勉強をしに来た学生などなど。これらの人は、スタバという一つの存在をそれぞれ違う確度から見ているのです。

■みんなにとってのスタバ

女子高生
フラペチーノを提供するスイーツショップ
求める価値は「美味しいフラペチーノ」
ノマドやフリーランス
仕事をするところ
求める価値は「Wifiと電源」
ビジネスマン
簡単な打ち合わせをしたり、営業の間に一息つく
求める価値は「緩和剤としての珈琲」
OL
ダイエット中なのでスタバで簡単にランチを
求める価値は「高いから1個しか買えないサンドイッチ」
買い物途中の主婦
買い物の途中に一息つく
求める価値は「おやつとしてのスイーツ」
勉強をしに来た学生
スタバを勉強部屋として使用
求める価値は「長時間座れる机と椅子」

このようにスタバはそれぞれの顧客の望む価値を提供しているのです。打ち合わせするビジネスマンは、会話の緩和剤としてコーヒーがあれば良いのでフラペチーノは頼みません。ノマドやフリーランスもスタバの使用頻度が高いので、単価の高い飲み物よりはWifiと電源を求めます。

それでは、ドトールはどうかというと、これらの顧客の中でビジネスマンとOLの要望しか満たせないのではないでしょうか。フラペチーノのようなキラースイーツがないので学生は集客できないですし、wifiや電源環境も万全ではないのでノマドやフリーランスも来ません。長時間居づらいので、勉強をしに来た学生にも不向きです。(最近は白ドトールという電源完備のゆったりとしたドトールも増えているようですが)

ということで、スタバの強さというのは、それぞれのニーズに合わせた価値をちゃんと提供できているというところにあるんですね。これはコーヒーショップという店舗以外にも応用できる話で、例えばWebメディアにも同様のことが言えます。趣味嗜好の違う人向けにたくさんの記事コンテンツを用意することで自分のお気に入りの記事を見つけてもらい、ファンを増やして行くという手法です。

音楽メディアの「ナタリー」は、音楽やアーティストに関するオールジャンルの記事コンテンツを大量に発信していますが、代表の大山氏の著書の中でもこのような形で語られています。

見つけた話題にフィルターをかけず、可能な限り全部のニュースを紹介するのが自分の理想だ。そもそも送り手が受け手の欲しいものを把握するなんてことは不可能だし、もしそれができるとおもっているなら送り手側の傲慢だと思う。
(中略)
「ナタリーって○○だよね」というイメージも、読んだ人の数だけあればいい。我々は徹底的に無色透明な存在でありたいと思っている。

とうことで、一定のジャンルはくくりながらも、可能な限り全方位の価値を提供することが集客の最大化に繋がるということでした。ただ、スタバはこの状態を最初から狙ったわけじゃなくて、なんとなく成り行きな部分も含むのではと思っていますが。

▼オウンドメディアの企画運用を承っております。お問い合わせはこちらまで
https://torino-inc.jp/

参考URL
https://www.doutor.co.jp/about_us/ir/report/kessan.html
http://www.starbucks.co.jp/ir/highlight/

女性向けファッションメディアの作り方〜当事者目線の視点が必要な理由〜

紙からWebへ。当事者目線の視点が必要な理由

前回のブログにて集客がしやすいメディアは、圧倒的に女性向けのファッションメディアなのですが、どうしたら集客出来る記事を書けるかというテーマで解説をしてきました。

・季節(トレンド)要因がある×SEOに強い

というジャンルに属するファッション系記事を量産するのが得策ということで、具体的な記事コンテンツの作り方(とタイトルの付け方)までを解説したのですが、実はそれ以上に大切なことがあります。それは、当事者目線の視点を持って、記事をセレクトするということです。これはキュレーションメディアが出来始めて顕著な傾向ですが、ファッション誌等の紙媒体は、当事者の目線に寄り添うというよりはむしろ「今年はこれが流行るよ!こういうファッションしてみない?」というメディアによるスタイルの提案がメインでした。
しかし、Webに移行すると、アクセスが容易に解析できることもあり、より読者の悩みを解決するような当事者目線の視点に寄り添った記事が求められます。

当事者目線で考えるファッション記事とは?

当事者目線で考えるファッション記事で、最も読者の需要があるのは「お悩み解決系」記事です。

例えば、以下の記事は女子なら誰しもが経験したことにある「前髪を伸ばしたいけど、その過程がウザい時」を解決する記事です。

アレンジ下手でも簡単!伸びかけ前髪のアレンジ術
http://matome.naver.jp/odai/2139900116029812501

同様にヘアアレンジ系で言うと、以下の記事もまた女子なら誰しも経験したことがある「朝、張り切って髪を巻いたら数時間で取れる」と解決する記事です。

【巻いても取れる】巻き髪をキープする方法
http://matome.naver.jp/odai/2134777897342370201

では、ファッション系ではどういったお悩み解決系の記事があるでしょうか。最も需要があるのが冠婚葬祭に関するファッションのお悩みです。

結婚式・披露宴にお呼ばれ。意外とやってしまうNGコーデ
http://matome.naver.jp/odai/2139997973530528101

結婚式や披露宴に行き慣れていない若年層の人は、意外とどういう格好をしていったら良いのか分からなかったりします。

さらに、冠婚葬祭に限らず季節のファッションのお悩みといえば「夏になっても使えるはおり物が欲しい」というお悩みなどです。

今買って、夏まで使える!はおり物コーディネイト術
http://matome.naver.jp/odai/2139873938968034001

お悩み解決系のファッション記事は、オウンドメディアに有効

このように、当事者目線に立ったお悩み解決記事は「そうそう、これが読みたかった」とかゆいところに手が届く記事になります。こういった記事コンテンツを作ることは、小売り業のオウンドメディアにおいてかなり有効だと思います。集客が出来るのはもちろんですが、すでに顕在化している読者の悩みについて「コレで解決できますよ」とモノの提案をすることが出来るからです。

「今買って、夏まで使える!はおり物コーディネイト術」であれば、ジップアップパーカーやシャツなどをそのままコマースで奨めたり、店舗に特設売り場を作ってO to Oで誘導しても良いでしょう。結婚式や披露宴のファッションは既に売り場がある場合も多いので、記事からそのまま店舗に誘導出来ます。
もしくは、売り場から逆算して記事コンテンツを量産するのも良いと思います。例えば、最近は海外旅行需要に応えるために、百貨店の片隅に水着売り場が常設されています。

このような記事を量産して、常設されている売り場に誘導するのも良いかと思います。
「海外でビーチデビュー。旅に役立つビーチグッズって?」
「海外ビーチファッションカタログ。アクティビティにもOKな可愛い水着って?」

ということで、当事者目線の視点で記事をセレクトすることが大事なのですが、「お悩み解決系」の記事はそのままモノの提案に繋がるため、小売業のオウンドメディアに向いているというお話でした。

▼オウンドメディアの企画運用を承っております。お問い合わせはこちらまで
https://torino-inc.jp/

女性向けファッションメディアの作り方〜見られる記事タイトルとは〜

先日こんな記事「Naverまとめ月間140万PVだった私が、ウケる記事ジャンルを伝授」を書いたのですが、続編ということで続きを書いてみます。

圧倒的に見られるジャンルはガールズ&ファッション

前回、見られる記事のジャンルは圧倒的にガールズ&ファッション系という話をしました。企業さんがオウンドメディアを立ち上げる際、このカテゴリに当てはまる企業さんだとアクセスが伸びやすいということです。アパレルさんや百貨店さんなどは、オウンドメディアによる集客がしやすいんですね。

今日は具体的にどういう記事構成にしたら良いかという事例を紹介してみます。まず、単純にアクセスを稼ぎたいのであれば、前回のマトリックス図に合わせて

・季節(トレンド)要因がある×SEOに強い

の記事を量産するのが得策です。ファッションそのものが季節(トレンド)要因があるコンテンツなので、ファッション系の記事はこの形で量産しつつ、その他は通期でアクセスの取れるガールズ系コンテンツ(ヘアアレンジ等)で補強するのが良いでしょう。

SEOに強いファッション&ガールズ系記事の作り方

それではSEOに強い記事の作り方の秘伝の味噌を公開します。まず、最も多くのアクセスを取れるのはこれです。

2016年春夏トレンドファッションのコーデ術

ポイントは【年数(2016年)】、【季節(春夏)】、【ファッション】、【コーデ】あたりのキーワードを仕込むことです。みんな検索する時に「2016年 春 コーデ」などと検索するわけです。この【コーデ】を【着こなし】にしたり、【最新】などのワードを追加したりして記事を量産していきます。

次にトレンドワードをフォローしていく

次に、今期のファッショントレンドのキーワードをピックアップします。ワードのピックアップに適しているのは、1次情報が載っているファッション誌やトレンドの元になっているパリコレ等の情報です。

2016年の春夏のトレンドキーワードをいくつか挙げてみるとこのような感じになります。

・スカーチョ(スカート風ガウチョパンツ)
・テロンチ(テロンとしたトレンチコート)
・ストライプ
・フェミニン

これらのキーワードを先ほど登場したワード【コーデ】や【着こなし】と合わせて記事を作っていきます。

「スカート風ガウチョパンツ「スカーチョ」のコーディネート術」
「テロンとしたトレンチコート、テロンチのコーディネート術」

といった風です。みんな「【トレンドワード】×【コーディネート(着こなし)】などで検索するからです。

オウンドメディアでファッション記事を作るには

これまで説明してきた原稿の作り方は、たくさんのアクセスが欲しい最大公約数の作り方です。オウンドメディアを作る場合は「こういう層に定期的に訪問してもらいたい」という見込み客を集客する必要があるため、もっと原稿のターゲットを定めてブランディングしていく必要があります。

例えば、20代後半〜30代前半くらいの少し大人な女性を集客したい場合を考えてみましょう。トレンドがフェミニンだっとしても、この年齢層の女性だとなかなかフェミニンなスタイルをし辛かったりします。となると、

「甘過ぎない。大人フェミニンなコーデ術」

という原稿だと「自分のための読み物である」と認識してくれ、それが積み重なれば「自分のためのメディアである」に昇華してくれるのです。

フラワーモチーフ(花柄)は、数年おきに春夏のトレンドに入りますが、フラワーモチーフの時点で「私には着れない」と思う層が一定量出てきてしまうトレンドです。
なので、以下のような原稿を用意しておくことで「ちょっと見てみようかな」を喚起できるんですね。

人気のフラワーモチーフ(花柄)を、甘さ控えめで大人可愛く着こなす
http://matome.naver.jp/odai/2139693802900213301

ということで、「女性向けファッションメディア」の見られる記事タイトルのポイントでした。

▼オウンドメディアの企画運用を承っております。お問い合わせはこちらまで
https://torino-inc.jp/