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サーチコンソールでメディアのSEOをハックしよう

だいたいメディアをやられている方は、サーチコンソールを入れているというケースが多いと思います。サーチコンソールでのSEOの最適化の仕方を解説します。

まず、サーチコンソールの役割としてGoogleさんにちゃんとインデックスされているかなどをアラートしてくれる機能がありますが、今回は検索結果の表示回数やCTRなどから、タイトルやコンテンツの最適化を分行う手法をご紹介します。
サーチコンソールから検索トラフィック>検索アナリティクスに進むと、登録しているサイトの表示回数やらCTRやらが出てきます。
このページを一番下までスクロールするとダウンロードボタンがあるので、ダウンロードしましょう。このファイルをソートしながら、分析を進めます。

メディアにとって有効なクエリを探そう

まず、メディアにとって有効なクエリを探すには、下記の要領でソートをかけましょう。

表示回数=大 掲載順位=低
-検索回数が多いクエリ
→有効なクエリ

掲載順が低いのにも関わらず表示回数が多いということは、クエリとして検索されている回数が多いということになり、この領域のクエリで記事が表示されれば、アクセスを取りやすいということになります。
ただ、一点注意なのはサーチコンソールはあくまでも、自社がすでに投下しているコンテンツの分析であるため、そ外側の領域については見てていないということを前提に置く必要があります。この分析を有効に行うには、少なくとも数百本程度の記事が投下されていないと見えづらいでしょう。

メディアにとって無効なクエリを探そう

次に、メディアにとって無効なクエリを探します。下記の要領でソートをかけましょう。

表示回数=低 掲載順位=高
-検索回数が少ないクエリ
→無効なクエリ

掲載順位が高いのにも関わらず表示回数が少ないということは、あまり検索されていないクエリであるということです。ただし、表記ぶれによる個々のクエリ(ひらがな、かたかな、漢字など)がこのセクションにも表示されてしまうのと、出たばかりの記事はもちろんこの数値が低くなるので、それらをスクリーニングして見ることが必要です。

ユーザーにマッチしているコンテンツを見つけよう

次に、ユーザーにマッチしているコンテンツを見つけます。下記の要領でソートをかけましょう。

CTR = 高 表示回数 = 一定量ある
→ユーザーが探しているコンテンツとマッチしている

表示回数も多く、CTRも高いということは、ユーザー一定量検索しているクエリであり、かつCTRも高いため、表示されたコンテンツにユーザーが満足しているということです。このカテゴリに属する類似の記事を量産すれば、アクセスを増やすことが出来るでしょう。

ユーザーにマッチしていないコンテンツを見つけよう

最後に、ユーザーにマッチしていないコンテンツを見つけます。下記の要領でソートをかけましょう。

CTR > 低 表示回数 = 一定量ある
→ユーザーが探しているコンテンツとマッチしていない

表示回数が一定量あるのにも関わらずCTRが低いということは、ユーザーが探しているコンテンツとマッチしていないということです。
これは以下の2通りの可能性があります。

1. そもそもコンテンツ自体がマッチしていない
2. タイトルとディスクリプションがマッチしていない

例えば「ディズニーランド」という検索クエリで良そうされるユーザーの求めるものは何でしょうか。おそらく今何のイベントをやっているか、混雑状況はどうか、チケットの価格を調べたいあるいは取得したいなどがあげられます。これが例えば「海外のディズニーランドと日本のディズニーランドの違い」みたいな雑学系記事であれば、混雑状況やチケットの情報を知りたいユーザーはクリックしないわけです。
これが「1. そもそもコンテンツ自体がマッチしていない」にあたります。このように単語ごとにユーザーが何を求めているかの心理状況を考える必要がありますが、サーチコンソールからGoogleの検索結果画面が見られるので、チェックすると良いでしょう。前後に並んでいる他サイトの記事タイトルなどが参考になります。

また、「タイトルとディスクリプションがマッチしていない」についてはタイトルに検索ワードが入っていない、タイトルが分かりづらいなどがあげられます。この場合もサーチコンソールからGoogleの検索結果画面を見て他サイトなどを参考に、タイトルを付け直すと良いでしょう。

これもユーザーの検索している心理状況を考えてタイトルをチューニングする必要があります。例えば「風邪 予防」というクエリであれば、ユーザーは風邪の予防方法を知りたいわけです。
となると、以下2つのタイトルを比べるとBの方がCTRが高くなることが予想されます。

A「現役医師に聞いた。これからの冬に気を付けたい風邪の予防方法7選」
B「風邪の予防方法を現役医師に聞いた!手洗いからマスクの選び方まで」

Aの場合は風邪の予防という知りたいワードに行くまでに、手間の文章を読まなければならないため、ユーザーは他の分かりやすい検索結果をクリックするからです。

ということで、サーチコンソールを使ったSEOのハック方法をご紹介しました。

Youtubeからレシピ動画まで。急成長する動画プラットフォーマーたち。

2012年あたりから、毎年動画元年と言われて来ましたが、2017年の今になり、動画プラットフォーマーたちが台頭してきています。現状の動画コンテンツにおけるプレイヤーと、今後の市場予測をしてみました。

Youtube「アマチュア×短尺」から、Netflix「プロ×長尺」までの歴史

現状の動画コンテンツのプレイヤーを「プロ×アマチュア」「短尺×長尺」のマトリックスにすると、このような形になります。


まず、最初に立ち上がった動画コンテンツのプラットフォームは左下の「アマチュア×短尺」でした。Youtubeが2005年にサービスを開始し、翌年に日本でニコニコ動画が立ち上がります。
一般の投稿者が動画をアップするCGMプラットフォームとして2000年代後半以降ユーザー数を伸ばし、今日でのYoutube巨大なの利用者数は10億人を超えており(※1)、動画プラットフォームとして存在を確立しています。

次に著しい成長を見せたのが右上の「プロ×長尺」のエリアです。月々定額を支払うだけで映画やテレビ番組が見放題になる「Netflix」が1999年に月額定額制を開始、「Hulu」が2011年にサービスを開始しています。2017年現在「Netflix」の全世界における会員数は9,000万人を超えており、いまなお会員は拡大しています。
この「プロ×長尺」のエリアにおいては、映画やテレビの版権の獲得など、莫大な投資を必要とするためプレイヤーがしぼられます。(こちらの記事によると、2016年はNetflixはコンテンツに50億ドルを投資し、2017年はそれを越える60億ドルを投資する予定だそうです。)ストックの動画コンテンツにおける世界的な勝者は「ネットフリックス」と見て良いのではないでしょうか。
さらに国内では2016年4月に「AbemaTV」が開始され、開始から1年で週刊利用者数が500万人を突破するまでに伸びています。(※2)国内プレイヤーである「AbemaTV」においても年間200億円の投資をすると発表しているため、版権の買い付けやコンテンツの制作費に莫大な投資が必要であることが分かります。

これらのプレイヤーに共通するポイントは、テレビや映画などの版権モノを獲得して放送しつつも、近年ではオリジナルコンテンツに力を入れている点です。
特に「Netflix」においてはその傾向が顕著であり、ケヴィン・スペイシー主演、デヴィッド・フィンチャーが監督を務めるハリウッド映画ばりのオリジナルコンテンツ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」など独自のコンテンツに注力しているのです。
「ハウス・オブ・カード」の制作にあたっては、視聴者層に認知度のある主役をデータの面から探るなどマーケティングに注力しており、契約者数獲得のために第1シーズン全13話を一気に配信するなどの大胆な施策を行っています(※3)。

先ほどの「AbemaTV」においても、バラエティ番組などのオリジナルコンテンツに力を入れています。これらのプレイヤーたちが、オリジナルコンテンツに注力し、コンテンツホルダーとしての力をつけるということは、テレビ局や映画会社の立ち位置が相対的に弱まるということになります。
これらのプレイヤーの最終目標は、テレビというプラットフォームの代替えを目指しているのです。(そしてNetflixはアメリカ国内においてはすでに、5,000万を超える契約を獲得しています※4)

また、この領域における次のトレンドは「ライブ配信」です。スポーツ動画の配信を行う英国発のサービス「DAZN」は、Jリーグの全試合中継の配信を開始しています。「AbemaTV」もサッカーチャンネルを開設しています。「AbemaTV」の人気コンテンツを観ると上位を占めているのはアニメ作品、もしくはアーティストやアイドルなどのライブ配信なので、今後ともライブ配信は動画コンテンツにおける重要なファクターとなるでしょう。

SNSの分散型メディアの追い風が吹く「プロ×短尺」の動画

ここに来て勢いを増しているのが「プロ×短尺」の動画プラットフォームです。国内の主なプレイヤーは女子向けのハウツー動画の「C CHANNEL」や料理レシピ動画の「クラシル」、「デリッシュキッチン」などがあります。

いずれのプレイヤーも大型の資金調達を行っており(C CHANNEL=13億円、クラシル=総額37億円、デリッシュキッチン=6.6億円※5※7)、月間再生数を大きく伸ばしています(C CHANNEL=6億6000万回(うち5億回が海外)、クラシル=1億2000万回)。

成長の追い風となっているのが、各種SNSなどでも動画を公開しており、分散型メディアになっている点です。特に各社ともFacebookには力を入れており、現状のFacebookのいいね数はC CHANNEL=845万、クラシル=113万、デリッシュキッチン=142万となっています。
以前にブログでも書いたのですが、動画コンテンツにとって最も後押しになった要因は、高速回線の普及もありますが、再生ボタンを廃止したことだと思っています。「動画アプリ「Vine」が流行ったのは、再生ボタンを廃止したから動画アプリ「Vine」が流行ったのは、再生ボタンを廃止したから」にもあるのですが、6秒動画を投稿出来るCGMプラットフォームとして盛り上がったVineは、再生ボタンを廃止しており、スクロールして動画にフォーカスされると自動的に動画が再生されるインターフェースになっていました。
Facebookなどが、動画に注力した際も、このVineの成功を見て同じようなインターフェースを採用したのではないかと思っています。動画にフォーカスすると、自動的に動画が再生されて動きが出るため、動画の閲覧率が飛躍的に上がります。もしもここに再生ボタンがついていたら、再生率は10倍以上違ったことでしょう。

ということで、今最も注目されている動画プラットフォーム「プロ×短尺」の動画のカテゴリですが、全て「暇つぶしになるハウツー動画」であることがポイントです。現在ガールズ、レシピ動画という2つのジャンルしか出現していないため「暇つぶしになるハウツー動画」のジャンルが数年以内にいくつか登場するかもしれません。

また、「プロ×短尺」の動画はFacebookなどでの訴求がしやすいため、海外展開も考えられます。実際に「C CHANNEL」の6億6000万回の月間再生数のうち5億回は海外となっています。(※6)

順風満帆ではない動画プラットフォーマー

このようにまとめると見ると、動画プラットフォーマーは順調に成長しているように見えますが、順風満帆ではありません。「Netflix」も2016年度第4四半期で国内外合わせて500万人の会員が増加し、投資家の予想を上回りましたが2016年中は投資家の「Netflix」への成長は懐疑的であり、株価は低迷していました

「C CHANNEL」も、サービス開始当初は今のようなハウツー動画がメインとなるコンテンツの構成ではありませんでした。クリッパーと呼ばれるインフルエンサーの女子たちの動画がメインで、今のようにハウツー動画として作りこみはされていなかったのです。

再生数のグラフを見ても、2015年中は再生数が伸び悩んでおり、2015年12月以降にオリジナルのハウツー動画を強化したところから再生数が急に伸びているようです。



このように、順調に再生数を伸ばしているように見えても順風満帆ではなく、以下コンテンツとプレイスにおける以下の条件が揃って初めて成長軌道に乗ったようです。

・コンテンツ=数分で見られる暇つぶしのハウツー動画
・プレイス=各種SNS(Facebookなどが動画ソリューションに注力)

このように動画や新しい技術などが来る来ると言われる場合、全ての条件を待っているうちに、競合に越されてしまうため、見切り発車のままスタートしてコンテンツをチューニングし、サービス拡大のための外部条件が揃うタイミングを待つ、ということが必要になるのですね。
2012年にnanapiさんが若手社会人向けのハウツー動画サービス「nanapi Biz」をリリースしていました。新しい技術を要するコンテンツはタイミングが早すぎても遅すぎてもダメと言いますが、これはタイミングが早すぎた例だったのかもしれません。

次の成長領域はどこか?

動画プラットフォームにおける次の成長領域をまとめると、このようになります。

「プロ×長尺」
・オリジナルのコンテンツ化が進み、テレビとの代替えがはじまる
・ライブ配信が加速し、ライブ配信における新しいプレイヤーが出現する可能性も

「プロ×短尺」
・「暇つぶしになるハウツー動画」において新たなプレイヤーが出現する可能性
・海外展開が加速

そして、この4象限において「アマチュア×長尺」のプレイヤーが出現していないことに注目です。「素人に尺の長いクオリティの高いコンテンツを作れるはずがない」というバイアスがここに存在しています。ビジネスデザイナーの濱口秀司さんはバイアスの裏を突く「ブレイク・ザ・バイアス」を提唱されてフラッシュメモリの開発に成功されています。

この「アマチュア×長尺」のエリアについてブレイクを起こせるコンテンツの在り方を考えてみるのもありかもしれません。

※1
https://www.youtube.com/yt/press/ja/statistics.html
※2
https://www.cyberagent.co.jp/newsinfo/info/detail/id=13182
※3
http://toyokeizai.net/articles/-/38551
※4
https://news.yahoo.co.jp/byline/satohitoshi/20170418-00070057/
※5
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000019382.html
http://jp.techcrunch.com/2016/06/09/every-raised/
http://thestartup.jp/?p=16980
※6
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO15495750Z10C17A4000000?channel=DF180320167066
http://www.mylifenews.net/food/2017/04/delykurashirutvcm.html
※7
http://jp.techcrunch.com/2017/01/19/20170118netflix-blows-out-the-fourth-quarter-after-setting-itself-up-for-a-huge-end-of-the-year/

Yahoo!トップに掲載されるニュースコンテンツについて考える

執筆した原稿(あるいは手掛けたプロダクト)が「Yahoo!トップ」「LINEニューストップ」「NewsPicks総合TOP」に載ったことがある私です。
というちょっとした自慢ですが、こういったメガニュースポータルのトップに掲載されるニュースコンテンツについて考えてみます。
まず、ニュースポータルのトップに載るには以下の手順をたどります。

・メディアに掲載される

・ニュースポータルの担当者にキュレーションされる

プレスリリースを配信する時、担当者はニュースポータルの担当者にキュレーションされることをゴールとして配信するわけです。しかし、キュレーションされるためには、まずはメディアに掲載されなければなりません。

まず、基本的なメディアに掲載されるためのお作法はこちらの「LINEニュースTOPに掲載される、プレスリリースの送り方LINEニュースTOPに掲載される、プレスリリースの送り方」を参考にしてみてください。今回は、これをふまえた上で、ニュースポータルに掲載されやすいコンテンツについて考えてみます。

ちなみに、掲載されやすいコンテンツについて、もともとニュースバリューがあるという条件は除外します。任天堂やAppleが新製品を発売したら、間違いなくニュースポータルのトップに掲載されるので、特に工夫をする必要はないのです。

掲載されやすい条件1:世の中の共通知をひっくり返す

世の中の共通知というものは、なかなか更新されないものです。そういう「人々がこうだと思っていた」情報のギャップをつくニュースは人々の「びっくり」を誘えるため、ニュースポータルに掲載されやすい上に、さらにその後拡散されやすいのです。

この条件にハマって「NewsPicks」の総合TOPに掲載され、1日で10万PV以上のアクセスがあった記事がこちらです。

80万部が11万部になった「cancam」。売れない雑誌の共通点とは?

「cancam」と言えば、2000年代半ばにいっせいを風靡し、エビちゃんOLというトレンドまで生み出したファッション誌です。世の中の人々の共通知はそこで止まっていたので、80万部が11万部かよ!というギャップを前に押し出すことで人々の「びっくり」を誘うわけです。

掲載されやすい条件2:普遍性を持つ個人的見解

ありのままの事実というよりは、圧倒的な個人的見解の方が、人々の興味をひきやすいように思います。そして、その圧倒的に個人的見解が、読了後は普遍性を持つというのがポイントです。

以下はかつてYahoo!トップに掲載された記事ですが、mixiとFacebookの構造(UI)を比較した上で、そのUIの違いは両社の組織の違いが影響しているかも、ということを示唆したものです。

広場型のmixi、フィード型のFacebookと組織の関係

UIの違いというのは、誰にでも分かる違いですが、それが両社の組織構造の違いに起因するのではないかという指摘は、個人的な見解です。この個人的な見解が含まれていて、かつハッとさせながらも「確かにそうかもしれない」と思わせるような要素があると、ポータルに載りやすいように思います。

掲載されやすい条件3:文脈的に成立したネタコンテンツ

これは、Yahoo!というよりは、LINEのような若年層中心のニュースポータルに向いていますが「ネタコンテンツ」も載りやすいコンテンツかと思います。こちらは、先日弊社にてリリースしたゲームのニュース記事で、LINEのおもしろ・ネタカテゴリのトップに掲載されました。

『桃太郎』の物語を書き換える! スマホ向けアプリ「こんな桃太郎はイヤだ」がめちゃシュール

そして、このネタコンテンツを考える際に大事なのが「文脈的に成立した」ネタであることが、一般媒体、ひいてはニュースポータルに取り上げられやすいという点です。

「こんな桃太郎はイヤだ」というタイトルは、どんなコンテンツであるか分かるためには、以下のような感じで1段階発想を進める必要があります。

こんな桃太郎はイヤだ

普通の桃太郎に対しての、アンチテーゼで発生するお笑いである

このように、桃太郎という単語についての文脈理解の上に立つ、おもしろコンテンツなのです。メディアの記者さんたちは、国語能力が発達しているため、このような文脈理解が成立するネタコンテンツを受け入れやすいように思います。

掲載されやすい条件4:人は無条件に何かを褒めたい

人は、無条件に何かを批判したいのと同時に、何かを褒めたい生き物なんですね。ですので、全面的に何かを翔さんするコンテンツというのはとてもバスります。特に今の時代は「NewsPicks」もあるので、企業が大きく再生した記事なんていうのは「ここまでの圧倒的努力がV字回復を可能にした」などというコメントともに取り上げられて、圧倒的にバズります。

以下は以前書いた「富士フイルム」のV字回復についての原稿ですが、上記のロジックによって相当バズりました。ちなみに、条件1「世の中の共通知をひっくり返す」と関連して「あの企業がそんなに業績が良いとは!」というギャップとくっつくと、さらに効果が倍になります。

無理ゲーを勝ち抜いて、売上を1.5倍にした富士フイルム
※本稿とは関係ないですが、先日会計に不手際があったことが指摘されており、その後が気になります。

掲載されやすい条件5:新しい視点を加える

これまで4つのポイントを紹介してきましたが、だいたい全てに共通しているのが世の中がこうだと思っている定常的な視点に対して、新しい視点を提示することがポイントなのかと思います。世の中の共通知をひっくり返すのも、普遍性を持つ個人的見解も、ある一つの見方に対して新しい視点を提示しています。
弁護士ドットコムさんが、世の中の事件やニュースを取り上げて、法律的な解釈を原稿にして配信していますが、この「解説」というのも新しい視点を提示しているのだと思います。(池上彰さんのニュースの解説も同じことですね)

ということで、ニュースポータルに掲載されやすい条件をいくつかご紹介してみました。

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食べログの限界

食べログは、失敗したくない人のためのグルメサイト

私自身もお店を探す時によく食べログを利用するのですが、食べログのキャッチコピーは「お店選びで失敗したくない人のためのグルメサイト」なのです。

食べログは”食べ歩きの経験が豊富なレビュアー”のレビューに重点を置いたレビューサイトです。”食べ歩きの経験が豊富なレビュアー”は「批評家としてのレビュー」的な傾向が生じます。

つまり、単純に「おいしーい」ではなくて「この南イタリア特有のパスタは~」のように、料理を体系的にとらえた上での批評や「接客がいただけない」などのサービスの視点もレビューに影響してくるため、上位にいるお店は「料理やサービスにおいて体系的見地から批評された場合に遜色ない店」ということになります。
食べログ3.5神話というのもありますが、実際このようなレビュー方法であれば「上位にいる店はだいたい皆美味しい」=お店選びで失敗しないということになります。

逆に、お店や料理が個性的な場合は、レビューがばらけるため、評価されづらい傾向もあるでしょう。
有楽町のガード下に店をかまえる「ミルクワンタン」のお店は、「酒場放浪記」にも登場したお店なのですが、その名の通りミルクにワンタンを入れたメニューが出てくるわけで、このような個性的なお店は評価が分かれるのです。

ミルクワンタン 鳥藤 (トリフジ)
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130102/13021709/

ふわっとした目的では選びづらい

また、食べログはふわっとした目的でお店を選ぶのも難しい作りです。これは、食べログ特有というよりは、目的を言語化して検索対象をカテゴライズしなければいけないインターネットの宿命に寄ります。
この4象限において、おいしさを求めていて、ふわっとした目的がない人には非常に食べログは向いています。

tabe01

しかし、ふわっとした目的がある場合は、目的がふわっとしているため検索が難しいのです。ふわっとした目的とは例えば「最近野菜が不足しているので、野菜たっぷりのご飯が食べたい」などです。

これを検索しようとすると「野菜 ごはん」などで検索し、上手く出てこない場合は「和食 定食」などの他キーワードに切り替えて検索することになります。しかし、このワードで検索するとマクロビ的なカフェが出てきがちですし「和食 定食」だと煮魚定食的な定食屋が出てきます。私はこういったワードで恵比寿に絞って検索したのですが、なかなか目的のお店が出てきませんでした。

結局恵比寿を歩いていて、野菜をたくさん使った和食のランチを出すレストランを見つけたのですが、よく見ると「自然食」というタグがついてるので「恵比寿 自然食」と検索すれば出てきたのですね。しかし、自分の目的を自然食と言語化出来なければ検索が難しいわけです。

キッチン わたりがらす
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130302/13133712/

ちなみにこのふわっとした目的でお店を探すには、チャット型のアプリ「ペコッター」があり、こちらでは言語化しづらい目的を文章にして人に尋ねるということが可能になっています。

ペコッター

受動的に目的を持っている人に向けたメディアが、ネットでは手薄

ふわっとした目的が「能動的」である場合と「受動的」である場合があります。能動的な場合は先述のペコッターなどを活用出来るのですが、そこそこふわっとした目的は持っているけれど情報に対して受動的な人は検索すらしません。
tabe02 そういった人にアプローチ出来ていたのは、紙メディアです。例えば雑誌「Hanako」は”美味しくて可愛いカフェ”や”コスパ十分な都内の女子向けレストラン”など、コンセプトを定めて飲食店の特集を組みます。ターゲットに向けて選定したお店の情報を届けることで、受動的にうっすらとした目的を持っている人に選定した情報を届けているのです。
これが「東京カレンダー」であれば”お金をけっこう持っているリッチ層がプライベートで通いたいお店”などのゆるい目的でくくることになったりします。

このように紙メディアは、言語化できない緩い目的やコンセプトを、キュレーションして読者に届けています。WEB上でも、食についてのメディアはあるのですが、ソース元がネット上での検索なので、だいたい有名店が並んでおり、並んでいるお店が代り映えしないことが多いようです。

レビュアーが訪問しないお店のレビューはない

これはCGMサイトなので当たり前なのですが、レビュアーが訪問しないお店のレビューはありません。レビュアーは、食べ歩きに慣れている人たちなので、そこそこ有名なお店や、ある程度知名度があるお店が中心になってきます。
そうすると、自分の家の近所数十メートル先にある喫茶店などは、点数すらつかないわけですが、意外と地元のこういう店に掘り出しものがあったりします。

新大久保に美味しい海鮮韓国料理屋があり、友達を連れていくと必ずリピートするお店があります。しかし、位置が奥まっているのと、お客さんがほとんど韓国の方々ばかりということもあり、いまだに点数すらついていません。
ということで、レビューが一件もついていない店の中に、掘り出し物のお店が眠っているのかもしれません。

ということで「食べログの限界」というタイトルで書いてきましたが、それでも失敗する確率を抑えてお店を探すのは食べログが一番ですし、私も活用しています。
さきほどの4象限の食べログでカバー出来ていないポジションや「レビュアーが訪問しないお店の情報はない」という地域情報などに、飲食店情報の鉱脈がまだあるのかもしれません。レビュアーが訪問しないということは、地域コミュニティになじんでいるお店である可能性が高いですが、その最たるものがスナックだったりするわけで、スナックの情報サイトなどもニーズがあるのかもしれませんね。

メディアはどこに向かうのか2 〜ネットメディアにコミュニティ(ビオトープ)は存在するか?〜

先日「メディアはどこに向かうのか 〜ライフスタイルの先導から共感へ〜」という記事を書いたが、雑誌メディアに限定した内容だった。
内容をまとめると、雑誌メディアは、メディアが提示する色眼鏡(コンセプト)を支持する人たちが集まり、コミュニティ(ビオトープ)化していたが、2000年代後半以降はそれが解体されたという内容となっている。

ニワトリが先か卵が先かという話になるが、雑誌メディアにおけるコミュニティ(ビオトープ)の解体は、ネットメディアの成長と比例している。ネットメディアの隆盛にはコミュニティ(ビオトープ)は、存在するのだろうか。

コンテンツは、入れ物(ソリューション)によって変容する

コンテンツが入れ物(ソリューション)によって変容するというのは、長らく変わらない真理だ。例えば動画というコンテンツは、映画館という入れ物の中では2時間くらいの長さが妥当だった。その後テレビという入れ物が登場すると、お茶の間に集まった家族が楽しめるように30分や1時間尺くらいの番組が多くなった。そしてネット動画が普及している今となっては、人気の動画は1分程度の尺になった。入れ物の箱(ソリューション)が映画→テレビ→ネット(スマホ)という風に変容するに伴い、動画コンテンツはどんどん短い尺になっている。
それでは、メディアは紙という入れ物からネットに移行するにあたって、どのような変化があったのだろう。

ネットという入れ物によって変容したメディア

ネットメディアになってから、メディアはこのように変わった。

1 メディアとしてのコンセプトを打ち出し辛くなった

雑誌メディアは、1冊の本から成る。これは、1つの本として全体の流れを作りやすい構造だ。1冊の雑誌の中で起承転結をつけることにより「私たちのメディアはこうだ」というコンセプトを打ち出し(色眼鏡をかけ)やすい構造になっている。一方、ウェブメディアは、細切れの記事単位で構成されている。そして読者は、検索結果で表示されたり、ソーシャルでシェアされた個別の記事単位を閲覧することになる。メディア全体の中で起承転結をつけることは難しく、一定のコンセプトに沿った文脈を個別の記事に載せることになる。ウェブメディアの記事は、情報が情報として流通することを目的とされた箱なのだ。(前回の記事にもあるが、雑誌メディアも情報を情報として流通させる形態に変化してきており、雑誌のウェブ化と言えるかもしれない。)
しかし、複数の記事単位で構成されたウェブメディアでも「私たちの媒体はこうだ、こういうコンセプトだ」という色を少しづつ載せることは出来る。読者は、グーグルの検索結果やSNSでシェアされた記事に接触し、それが複数回行われるうちに、そのメディアを気に入ってトップページをブックマーク(あるいはアプリをダウンロード)するかもしれない。

2 ライフスタイルの提示から、読者へ寄り添う形へ

雑誌メディアの特徴は、メディアが主導するライフスタイルやロールモデル(Hanako世代、エビちゃんOL)を提示することだった。メディアの主導により、ファッションだったり、ライフスタイルにおけるブームが作られていた。しかし、ウェブメディアはライフスタイルやロールモデルを提示することはなく、読者の共感を誘うようなコンテンツがメインとなる。(これも前回の記事にあるが、雑誌メディアも最近はこういう流れがある。)

これはウェブの集客方法に起因する。ウェブメディアの集客方法はSEOかSNSでの集客に2分される(が、ほとんどSEOだ)。SEOで集客を行うということは、読者の検索需要がある記事を逆張りして作るということになる。すでに読者が読みたいというニーズがある記事を作成するのだから、読者の共感を誘うコンテンツがメインとなるのだ。ソーシャルの場合でも「いいね」をするということは、共感を抱いているということだ。いずれにしろ、共感を誘うコンテンツを作れるかどうかがカギになる。

ネットメディアにコミュニティ(ビオトープ)は存在するか?

ネットメディアにコミュニティ(ビオトープ)は存在するのだろうか。前回のブログをアップしたところで佐々木俊尚さんにツイッターで紹介していただき、こんなコメントをいただいた。


ネットメディアはバーティカル化し、そこでコミュニティ(ビオトープ)は形成されるという。しかし、私の個人的な感覚では、コミュニティ(ビオトープ)を形成しているバーティカルなネットメディアが、どれなのか良く分からない。例えばクオリティの高い1次情報メディアはあるかと思うと、それはあると思う。例えば、音楽情報を提供する「音楽ナタリー」がそうだ。代表の方の書籍も読んだことがあるが、ナタリーは記者自らが原典にあたり、情報が足りないと思えば電話などでも追加取材をしているという。しかし、コミュニティ(ビオトープ)を形成しているかといえば、そうでもない。それは、情報の網羅性にある。ナタリーは、ジャパニーズポップスからアイドル、ロックバンドに至るまでありとあらゆる音楽ジャンルの情報を網羅している。それは、読み手が見たいコンテンツを提供するというナタリーの編集方針でもあるらしいのだが、情報を網羅しているだけに、読者のスタンスは好きな音楽情報の入手先であり、コミュニティ化はしていないように思う。
ネットメディアの「オモコロ」も大変に面白いメディアではあるが、そこでコミュニティが形成されているかというと、そうでもないと思う。「オモコロ」は、カルチャーの枠を超えて万人が心の奥底でフフッとなれるコンテンツを提供しており、読者は「オモコロ」のフフッとなるコンテンツを見て、フフッとなっているだけな気がする。

と、考えた時、コミュニティ(ビオトープ)を形成しているバーティカルメディアとは、一体どこにあるのだろうか。それは、存在するのだろうか。
ここまで書いておいてなんだが、きっと私の知らないところで、それは存在するのかもしれないと思う。ネットメディアが紙メディアに比べて大きく異なる点は「それを好きな人はよく知っているが、知らない人は知らない」というタコツボ化である。雑誌「BRUTUS」の発行部数は10万部に満たない(96,805※)が、「BRUTUS」に熱心なファンがいてとても偉大な雑誌であることはもっと多くの人が知っている。雑誌メディアは、実際の発行部数が小さかったとしても、外部の人々によるブランドの認知はされている。だから、周囲を見渡せば、あそことあそこにコミュニティ(ビオトープ)があるんだなということが分かる。

しかし、ウェブメディアは見渡してもコミュニティ(ビオトープ)の形成はわからない。おそらくそれが月間100万人の訪問があったとしても分からない。きっと月間1,000万人が訪問くらいになって、初めて外部の人たちが「こんなメディアがあるのか」と認知するレベルなのだと思う。
ということで、バーティカルなウェブメディアのコミュニティ化(ビオトープ)は、それぞれにひっそりと進行しているのかもしれない。

http://www.j-magazine.or.jp/data_002/m2.html

メディアはどこに向かうのか 〜ライフスタイルの先導から共感へ〜

メディアって何だろう

昔から雑誌が好きで、書店の雑誌コーナーに通っては、ラックの上から下まで目についた雑誌を手に取り、ページをパラパラをめくっていた。雑誌メディアとは何だろうと、改めて考えたときに、一番当てはまるメタファーは「色眼鏡」なのかと思う。

ヨガといえば、女性がフィットネス的に楽しめるアクテビティだ。しかし、ヨガはその昔、オウム真理教の影響もあり、うさんくさい目で見られていた。しかし、2004年にヨガの専門誌「Yogini(ヨギーニ)」が創刊されると、体に良くて痩せてキレイになるフィットネスとしてブランディングされ、一気にヨガ市場が拡大したのだという。LINEの田端さんのインタビューで見かけたエピソードだ。

この「Yogini(ヨギーニ)」というメディアが果たした役割は、ヨガというアクティビティを、「痩せてキレイになれる」「体に良い」「オシャレ」というフィルターをつけて見せてあげたことだと思う。「ヨガはオシャレで体に良いよ」という色眼鏡をかけてあげたのだ。色眼鏡をかけるとは、メディアが特定のテーマに対して、読者に提示する視点を提供してあげることであり、メディアが支持されているということは、メディアの色眼鏡(視点)を装着したいと思う人が多いということだ。

吉祥寺も自由が丘も、定量的にはただの街だけれど、Hanakoという雑誌メディアの色眼鏡をかけると「探索するのが楽しいオシャレな街」ということになる。

メディアとはコミュニティ(ビオトープ)だ

「メディアの色眼鏡」をかけたいという人が集まってくると、メディアはコミュニティ化する。コミュニティにあらずとも、なんとなく同じ色眼鏡をかけた人たちが集まってきて、それぞれのビオトープ(生息圏)が出来る。例えば、Hanako世代という言葉があるけれど、1980年代後半に20代だった女性は、雑誌Hanakoによって消費傾向に影響を受けていたという。自分が好きなものを買って、自分が好きなところへ旅行に行く。そんな自由な消費スタイルという色眼鏡をメディアが打ち出すと、それに影響を受けた層がゆるく集まってビオトープ(生息圏)のようなものが出来る。

メディアのコミュニティ(ビオトープ)化には、2つの手法がある

メディアのコミュニティ(ビオトープ)化に至るには2つの手法がある。1つ目は、メディア自身が色眼鏡を定義し、それを啓蒙すること。先ほどの80年代の「Hanako」における自由な消費スタイルなどがそれにあたる。さらに、2000年代半ばに赤文字系雑誌の「Cancam」を通して流行した「エビちゃんOL」も、コンサバ系OLファッションに身を包んで髪の毛はゆるい巻き髪をするという色眼鏡を定義して啓蒙していた。ロハスで自然な暮らしを提案する「リンネル」や「クウネル」と言った雑誌も”ロハスで自然な暮らし”という色眼鏡を読者に提供している。

この手法を広めるにあたって有効だったのが、メディアの色眼鏡の象徴(アイコン)となる人物を設定することだ。例えば、「Cancam」の「エビちゃんOL」の象徴(アイコン)は文字通りモデルの蛯原友里であり、ビオトープにいる読者たちは「コンサバOLになりたい=蛯原友里が象徴」という明確なゴールが出来る。

コミュニティ(ビオトープ)を形成する2つ目の方法は「体系的な知識を必要とする閉じたサロンを作ること」だ。雑誌で言うと音楽雑誌の「ROCKIN’ON JAPAN」を読んでいる人たちは「かなり音楽に詳しい人」であり、日本の音楽シーンの歴史年表がある程度体系的に頭に入っていて話が出来る(どこそこのバンドは、どこそこのバンドを影響を受けている)前提になる。
その雑誌を読んでいることが、コミュニティ(ビオトープ)に入るための入場券になるのだ。同様に「STUDIO VOICE」を読んでいる人は、サブカルチャーに詳しく、日本のサブカル誌についての知識がある程度体系的にある前提となる。
(体系的な知識を必要とする という前提でいうと政治経済ニュースにも当てはまり、NewsPicksもこの構造にハマる気がする。)

メディアのコミュニティ(ビオトープ)化の終わり

メディアが読者に色眼鏡をかけて、コミュニティ(ビオトープ)化していたのは、2000年代半ばくらいまでだったと思う。2000年代後半以降はメディアを取り巻く定義は激変した。それは主に以下の点に集約される。

1.数十万人たちをくくれる色眼鏡が消滅した

現在において「Hanako世代」や「エビちゃんOL」など、メディアの色眼鏡をかけたビオトープ圏をくくれる言葉は存在しなくなった。人々の消費行動やライフスタイルを、一つの大きな枠で括られなくなったのだ。言い換えると、人々はライフスタイルにおけるロールモデルを必要としなくなった。cancamは最盛期は80万部を超えており、購読者層はコンサバエビちゃんOLを目指していたが、現在において数十万人をひとくくりに出来るメディアの色眼鏡や、象徴としてのロールモデルは存在しない。

2.体系的な知識を必要とするサロン的メディアは解体された

体系的な知識を必要とするサロン的メディア、例えば映画雑誌や音楽雑誌などは次々と廃刊となり、特定のジャンルにおいて濃い知識を持ち寄って、サロン的に動いていたメディアは解体された。2000年代にはミニシアターブームもあり、都市部には「ある程度カルチャーを分かっておくべき」的な空気感があったが、現在においては「面白ければいいじゃん」的なノリで体系的な知識が必要とされるメディアは皆無に等しい。

メディアはどこに向かうのか

コミュニティ化(ビオトープ)が終わったメディアは、色眼鏡を読者にかけるのではなくて、単に「情報」を提供し始めた。特にファッションにおいては、ファッションの潮流がベーシック化になる流れを受けて、逆に色眼鏡を設定することが購読者層獲得にマイナスに働くからだ。ファストファッションの台頭により、ファッション誌はGUなどのプチプライスのアイテムをメイン特集にするなど、読者の消費環境に寄り添った特集記事を”情報”として提供し始めた。(これは、2000年代まではメディア主導でライフスタイルが作られていた動きから見ると、真逆の動きと言える、。)
もしくは、雑誌に特典付録という麻薬的なアイテムをセットにすることにより、紙メディアの部数を伸ばそうと試みた。

このように、雑誌がライフスタイルについてのロールモデルを主導する時代は終わり、消費者の消費行動に即した等身大の「情報」を提供するようになった。(そして、それは消費者に受け入れられ、雑誌を定期的に購読する層であった現在の30代、40代をターゲットとしたファッション誌などは部数を伸ばしている。)

しかし、一部の雑誌は今もまだそれぞれの雑誌固有の色眼鏡を提供し続けて、読者はその色眼鏡をかけたいと親密な関係を結んでいる。「ブルータス」といったカルチャー誌や部数を維持している「Hanako」などもそうだ。主婦向けの「Mart」なども主婦たちのコミュニティが形成され、そこから新商品が登場している。
これらを見ていると、読者は雑誌が提供するロールモデルに従っているのではなく、雑誌の提案するポリシーや空気感に「共感」を抱いているように感じる。成功しているカルチャー誌のキモは、メディアが提案するポリシーや空気感を「共感」を持って受け入れてもらえることが大事なのではないだろうか。

▼続き
メディアはどこに向かうのか2 〜ネットメディアにコミュニティ(ビオトープ)は存在するか?〜

嗜好が細分化した時代に、人々を一つに繋げるコンテンツ

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インターネット、スマホの登場により細分化した人々の嗜好

最近ピコ太郎の動画がYOUYUBEで流行っていると聞いて見てみたものの、いまいち何が面白いのか分からない今日この頃です。

さて、スマートフォンの登場以降、人々の嗜好はどんどん細分化しています。かつてのマスであったテレビが、マスではなくなりつつあり「万人が知っている」共通の情報はどんどん少なくなっています。
嗜好の細分化に一役買っているのは、スマホデバイスの普及です。スマホデバイスが普及した結果、様々なソリューションに常時アクセスすることが可能になりました。

facebookやツイッターもSNSという名のソリューションですし、YOUTUBEやニコニコ動画という動画ソリューションも台頭しました。さらにソーシャルゲームというソリューションが生まれた結果、今までゲームをしなかった層にもゲームが普及しました。
以前は情報の入手手段がマスメディアしかなかったのですが、人々が情報を手に入れるソリューションば細分化しているのです。

さらに、個々のソリューションの中も、さらに細分化しています。ツイッターを見てみても、政治、経済などについてつぶやいているアカウントがある一方、中高生が身内でのコミュニケーションの一環としてつぶやいているアカウントもあります。そして、これらはお互いに交わることがありません。
自分たちが興味のある情報やアカウントをフォローし、それぞれの住み分けとクラスタがあるのです。このように、自分の興味がある情報だけを追うようになるのも、インターネットのソリューションの特性と言えます。

この10年で、みんながが知っている【共通知】という括りが減り、好みや嗜好が細分化して、自分たちのクラスタが生息するエリアのみ情報のみを、取り入れるようになったのです。

ピコ太郎やラッスンゴレライ。リズムネタやキャラネタにお笑いが偏る理由

好みや嗜好が細分化するということは、以前であれば「テレビを見ている人がたいてい知っている」という共通の情報がなくなるということです。例えば爆笑問題さんは、漫才で時事ネタを扱っているので、旬のニュースや芸能ネタを取り入れます。ライブでショーンKさんのネタを扱ったと言いますが、このネタを笑うには観客に「ショーンKさんが経歴詐称で話題になった」という知識がある必要があります。昔の日本であれば、テレビのワイドショーで扱ったニュースはだいたいの人たちが知っていましたが、今はテレビが家にない人も珍しくありません。ショーンKさんの経歴詐称の話題を知らない人にとっては、知識がないので笑えないネタなのです。
お笑いというのは、人々の共通知をくすぐるコンテンツなので、今は非常にお笑いというものが作りにくくなっています。

それでは、笑いの最大公約数を取るためのネタを考えると「共通の知識」がなくても笑える「見た目が面白い」「五感で理解出来る」と言った分かりやすい方向に行きます。これが、リズムネタやキャラネタに転化され、幼稚園児が見ても笑えるようなプリミティブなものになっていきます。プリミティブな笑いは表層的な共通知なので、分かりやすい分、飽きられるのも早くなります。リズムネタやキャラネタが流行っては、半年以内には消えていくということがここ数年起こっている現象です。

本当は、深いところで一つになりたがっている

嗜好の細分化が起こった結果、人々は表層的な共通知でしか繋がることが出来なくなりました。しかし、その反動的に一つに繋がりたいという気持ちが非常に強くなっています。以前に比べて、「何が共通項か分からないけれど、人々を一つに繋げることのコンテンツ」の爆発力が高まっているのです。それはスタジオジブリの作品だったり「君の名は。」が予想外のヒットになっていることに現れています。
しかし、この深層的な共通知は、これが共通知であるという因数分解が出来ないため、時代の流れを読むのに長けたクリエイターによる感覚やセンスに依存します。そして、クリエイター自身も爆発的ヒットになるかどうかは、事前に予測が不可能なのです。

ということで、現代における3つのコンテンツの種類とは「細分化した嗜好に合わせたコンテンツ」「プリミティブな感覚に即した表層的なコンテンツ(コンテンツの消費期限は早い)」「深層的な共通知に働きかけるアートなコンテンツ」に分類されます。そして、最後の1つは誰にも爆発的ヒットになるかは予測できないものの、人々がこのコンテンツを深く欲しているため、一度爆発すると並外れたヒットになる確率が高いのです。

雑誌とウェブメディアの編集者に求められるスキルの違い

近頃雑誌の休刊が相次いでいます。ファッションなど趣味嗜好の情報を雑誌のみに頼っていた時代が終わり、多くの人はウェブメディアで情報を手に入れるようになりました。
雑誌とウェブの違いを比較した上で、編集者に求められるスキルの違いを考えてみました。
(ここでいうウェブメディアは、中堅程度のキュレーションメディア等を指します。例えばNewsPicksのように、独自の取材記事などがメインになるメディアはウェブメディアというよりは、雑誌メディアのウェブ化のように感じます。)

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■視点・切り口
雑誌メディア=トレンドや媒体が先導
ウェブメディア=読者目線

この「視点・切り口」の違いが、雑誌とウェブの最大の違いです。雑誌で扱うテーマは常にトレンドや媒体が先導してきました。つまり、雑誌自体が「いろいろなブームを先導してきた」のです。例えば「Cancam」はエビちゃんOLというブームを巻き起こしましたし、その昔、雑誌「Hanako」の読者層が時代を象徴する女性像となり、1989年にはHanako族という言葉が流行語大賞にもなりました。
雑誌がトレンドを先取りしてブームを作り、雑誌に載っているモノやライフスタイルを追い求めているという図式が出来上がっていたのです。

対して、ウェブメディアに求められるのは読者目線です。ウェブメディアは読者が日常気になっていた課題を解決するような記事が好まれます。例えば、女性向けメディアであれば「伸ばしかけの前髪のアレンジ方法」や「可愛すぎない大人の花柄モチーフコーデ」などです。前者の記事は、前髪を伸ばしかけの女性の課題を解決し、後者は花柄モチーフが流行していても、可愛すぎて着れないと思っている女性の課題を解決します。

このように、雑誌メディアが「これを買うといいですよ。こういう生活が素敵です。」と、ライフスタイルの提案をしてきたのに対して、ウェブメディアは「あなたの課題を解決しますよ」という読者に寄り添った切り口になっているのです。
この両者の違いは、集客方法の違いに起因します。ウェブメディアの集客導線の多くは未だに検索流入です。検索の集客を最大化するということは、すでにある課題(=検索ワード)への回答を用意することが最適解だからです。

■ビジュアル
雑誌メディア=ビジュアルはコンテンツそのもの
ウェブメディア=ビジュアルはテキストのアイキャッチ

雑誌メディアにおける写真などのビジュアルは、コンテンツそのものです。これは、雑誌のサイズが大きいというハコの形状が影響しています。
雑誌におけるビジュアルはカメラマンが撮影したり、イラストレーターが専用に描き起こすため、非常にクオリティの高いものになっています。

対して、ウェブメディアのビジュアルは、テキストのアイキャッチ的役割が強くなっています。文章中に差し込まれた写真を目で追いながら、合間のテキストを流し読みする構造になっています。
ウェブメディアでも今後はビジュアルがコンテンツの主軸になっていく可能性はありますが、1記事あたりにお金をかけられないというウェブメディアの特性があるため、多くのウェブメディアはゼロからビジュアルを起こすということは、あまりしていません。
また、ウェブの世界は限りなく「視点・切り口」が読者寄りになっているため、プロが撮った完璧な写真よりは、消費者が撮った生活感のある写真の方が好まれたりもします。

■ライティング
雑誌メディア=正確性、専門知識
ウェブメディア=大量生産、個々の要素をまとめる力

雑誌メディアにおけるライティングには、正確性と専門知識が求められます。一度紙に刷ってしまうと修正が出来ないため、ことばの表記や「てにをは」など、厳密にチェックされます。そして、正確性とともに専門知識も重要です。映画媒体であれば、年間映画を10本しか観ない人よりは、年間映画を100本観る人の方が中身が厚い記事を書くことが出来ます。
ファッションについてもトレンドの源流になっている海外コレクションの最新情報や、ファッションの体系的情報を得ている人の方が中身の濃い記事を書くことができます。

一方、ウェブメディアのライターには記事を大量に生産することが求められ、編集者にはそれを管理する能力が求められます。先の理由により、ウェブメディアの集客はSEOが主軸なので、1記事あたりのアクセス数から逆算すると、記事を量産する必要があるからです。
そして、記事のジャンルとしてまとめ記事がメインになってくるため、一見脈絡のないものを一つのテーマでまとめる力が求められます。例えば、今年の旬のファッションアイテムがニットセットアップであれば、ニットセットアップのビジュアルを探して出してまとめたり、「意外とご飯のお供にしたら美味しかったモノ」というくくりを与えて食材のまとめ記事を作るなどです。

雑誌メディアが専門知識を使った深堀りを得意とするのに対して、ウェブメディアは分かりやすい解説やまとめに主軸においています。

■求められる重要なスキル
雑誌メディアの編集者=読者を引きつける取材、文章力
ウェブメディア編集者=マーケティング(SEO、ソーシャル)、コスト管理

ということで、これらをふまえた上でそれぞれの編集者に求められるスキルを整理すると、このようになります。雑誌メディアの編集者に求められるのは、そのまま「編集」スキルです。しかし、ウェブメディアの編集者には、マーケティングとコスト管理という全く異なるスキルが求められます。
ウェブメディアは特性上、1本あたりの原稿で出来るだけ多くの人を集客しなければなりません。ですから、SEOを考えて記事の原稿タイトルを決めたり、出来るだけソーシャルで拡散しやすい題材という集客から逆算をしたコンテンツの設計をする必要があります。かつ、大量の原稿を作成する必要があるため、1本あたりいくらという厳しいコスト管理が求められるのです。

雑誌メディアが編集に徹していられるのは、収益とコンテンツが切り離されているからです。雑誌は雑誌全体でブランディングされ、想定される購買読者層がおり、その購買層にリーチしたい広告主がいます。雑誌は、どのページがどのように読者に響いたのかという効果測定をしません(というか出来ません。)
しかし、ウェブメディアは1ページあたりのユニーク数やPV数が測定できるため、収益とコンテンツが直結しており、コンテンツが収益のために最適化されていきます。この最適化をするのがマーケティングなのです。

ということで、雑誌メディアとウェブメディアの編集者に求められるスキルの違いを解説してみました。この違いの根幹にあるのは「収益とコンテンツが分離しているか否か」及び「1本の原稿あたりにかけられる費用」の違いです。
つまりウェブメディアが雑誌メディア並みにリッチな媒体になるには「収益とコンテンツが分離している」状態を作り(=メディア全体としてのブランディング)、「1本の原稿あたりにかけられる費用が雑誌並みに高くなる」必要があります。

そういう意味では、課金モデルで収益化を実現している「News Picks」は「1本の原稿あたりにかけられる費用が雑誌並みに高くなっている」状態にあると思いますし、話題のニュースを掘り下げ、専門性の高い記事を提供している「Buzz Feed」は「収益とコンテンツが分離している」状態を目指しているのかなと思います。

このように雑誌メディアのウェブ化とも言えるウェブメディアが増えてきているように思います。私も雑誌世代として育った年代なので、こういうったメディアが増えたほうが、読みごたえがあるなと思う次第です。

地域限定なのに100万人が見ている!?謎のウェブメディア「はまれぽ.com」

メディアには人格がある。

その昔、書店の雑誌コーナーにて、雑誌を上から下までくまなくチェックしていた生粋の雑誌好きです。最近は雑誌の編集者がウェブメディアに流れるという傾向もあるようですが、紙の雑誌と比べると、ウェブメディアには人格が備わっていないように思います。

雑誌を定期的に見ていると、雑誌自体に人格が備わっているような気がしてきます。例えば、リニューアル前のクウネルであれば、都心から離れた小さな山の麓に木の家を構えるさと子さん(30代女子)みたいな感じです。お気に入りの雑誌を定期的に見るということは「さと子さんは、今月お変わりないかしら」と電車に乗って会いに行って、お茶でも飲みながらさと子さんと話して「ああ、今月もさと子さんはお変わりなかったわね」と帰ってくるようなイメージです。
逆にウェブメディアは、そこに擬人化もメタファーも入る余地がなく「情報!メディア!!伝達!!!」みたいなところがあります。

しかし、あるきっかけがあり、横浜を中心にした地域情報を配信するWebメディア「はまれぽ.com」の存在を知ったのですが、ものすごく人格を感じられるメディアです。メディアに人格を与えるという行為は、メディアブランディングと言い換えられるかもしれません。例えばクウネルはリニューアルして、30代ほのぼの女子さと子さんから、30代都内でおしゃれ生活を営む久美子さんみたいな感じになりました。なぜ雑誌に人格を与えるかといえば、それは30代おしゃれ生活に憧れる女子に読んでほしいという読者のターゲティングのためであり、さらにその先には広告によるマネタイズという目的があります。

しかし、この「はまれぽ.com」からどういう人格が感じられるかといえば、新宿歌舞伎町に棲む(はまれぽだけど)ルポライター雑学太郎42歳みたいな、誰得なイメージを受けます。わかりやすく例えようとして逆にわかりづらくなったので、具体的に何がすごいのかを説明していきます。

日本三大ドヤ街にストリップ劇場!?ディープすぎる記事の内容

今現在(2016年8月8日)、このメディアにアクセスして一番最初に目につく記事は

「ストリップ劇場「浜劇」、「横浜ロック座」になってどう変わった?」

です。横浜やその周辺にスポットを当てたメディアと聞くと、横浜に新しく出来た商業施設の紹介(MARINE & WALKなど)や、イベント情報(赤レンガにてオクトーバーフェスト開催)などと想像できますが、なんとストリップ劇場です。いくら何でもディープすぎるでしょう。

ちなみに「はまれぽ.comからのごあいさつ」を見ると、コンセプトがこのように書かれています。

「はまれぽ.com」は、「横浜という街の本当の姿をもって知ってほしい!そして、もっともっと好きになってもらいたい!」という思いから生まれました。
横浜は、多くの人がイメージする「海の近くのおしゃれで華やかな街」という顔ばかりでなく、「ドヤ街」と呼ばれる日雇い労働者向けの簡易宿泊所や、かつて「ちょんと間」と呼ばれた青線地帯があったりと、華やかさとは無縁の一面も持っています。
それらをひっくるめた「横浜の魅力」を、ライターや編集者が「自分たちの目で見たもの、耳で聞いたことをしっかりと伝えていく」というモットーで、広めていきたいと思っています。

このコンセプトの通り、先ほどのディープ横浜を扱った記事が多数掲載されています。さらに、先ほどのストリップ劇場記事の下には

神奈川駅、年季の入った看板の「さくら旅館」は営業している?

という本当に地元民じゃない限り、全く気にならないようなディープすぎる題材も扱われているのです。

ハンパない取材力とぐいぐい読ませる文章

このメディアで提供されている記事は、ほとんどがライターの現地取材に基づいています。ウェブメディアは、1本あたりの記事提供コストが低いので「中華街でハズせない!おすすめグルメ6店」みたいな、きっと「中華街 おすすめ グルメ」ってググって出てきたお店をまとめ記事にしてるんだろうなー的な原稿が多いように思います。しかし、このメディアについては記者自らが現地に赴き現場取材を敢行しています。

例えば、私がこのメディアを知るきっかけとなったのは、横浜にある日本三大ドヤ街のひとつ寿町を扱ったこのルポです。(そう、もはや記事というよりはルポです。)

「ライター井上が、身一つでドヤ街を調査。その実態をレポート!」

これを読んでみるとわかるのですが、なんでしょうか、このハンパない取材力は。寿町といえば、関西にあるあいりん地区、東京都上野の山谷と並んで日雇い労働者が集まる日本三大ドヤ街として有名な地区です。一般的には女性がこの地域に足を踏み入れることを推奨されず、私も一度気づかずに足を踏み入れてしまったのですが、周りの空気のあまりの変わりようにびっくりしたことがあります。

寿町には2000円代で泊まれる簡易宿泊施設が軒を連ねているのですが、その土地柄、女性を泊めることはありません。しかし、この女性のライターさんは15件も宿泊を断られたのちに、16件めの宿泊施設で管理人にゴリ押しをして泊めてもらうという、テレビ東京のリアル旅番組さながらの交渉をしています。

さらに、その管理人さんと夜の寿町に連れ立って赴き、管理人さんのリアルな証言を取ることにも成功しているんですね。ぐいぐいと読ませる生の証言の数々は、この体当たり取材がなければ書けないでしょう。
その他の記事を見ても、いずれもライターによる現場での体当たり取材が多く、しかも扱う内容がディープであるだけに、取材先に10件以上断れることも珍しくないようです。

果たして、どれくらいの人が見ているか?マネタイズの謎。

ということで「はまれぽ.com」の異常なクオリティの高さがお分かりいただけたかと思いますが、とは言っても「はまれぽ」という名称からわかる通り、扱う内容は横浜、湘南、川崎と地域が限定されます。果たしてどのくらいの人がこのメディアを見ているのが、解析ツールのシミラーウェブを調べてみると、過去半年間で100万人の訪問者数があるそうです(解析ツールなので実績値とは誤差がある可能性が高いです。)。参考までに横浜ウォーカーの発行部数は49,834部ですから、ウェブメディアとはいえ月ベースでならしても20〜30万人程度のアクセスはありそうです。
インタビューコーナーを見ても、「トレンディエンジェル」斎藤司さんや、谷原章介さんなどのビッグネームのタレントさんのインビューを単独で取れているので、アクセス数はかなりあるのでしょう。

しかし、記事のクオリティが高く、アクセスががある程度あることが分かっても頭をもたげるのが「マネタイズをどうしているのか?」という疑問です。現在サイトのトップには大磯ロングビーチのバナーが掲載されているため、バナー広告による収入はあるのだろうなと思うのですが、その他何でマネタイズをしているのかよく分かりません。
横浜近郊のレストランや、ウェディング場などを扱った記事広告のようなものがあるので、これでマネタイズを図っているような気もします。(しかし、特に記事内にPRマークは入っていないようです)

たまに、メディアそのものでマネタイズをするというよりは、提供元の会社の販促活動等のマーケティング目的であったりするので、運営元の株式会社アイ・ティ・エーのサイトを見にってみたのですが、通信機器の販売などをメインに手掛けているようで、特にメディアとのシナジーは感じられませんでした。(というか、なぜ通信機器の販売を手がける会社さんが、このようなぶっとんだメディアを運営しているのでしょうか。)

ということで、いろいろと謎に包まれた「はまれぽ.com」ですが、メディア好きの人間としてはこのままディープなメディアを貫いて欲しいなあと思います。先ほど半年で100万人程度の訪問者があるらしいという話をしたのですが、アクセス経路を見ると、なんとそのうち27%は直接訪問なんですね。これはつまり、お気に入りに入れるなどして、定期的に見ている読者が多い=このメディアを好きな読者が多いということです。

ということで、これからも「はまれぽ.com」を遠くから応援したいです。

もしも、女性向けファッション誌がなくなったら、失われること

ファッション誌の売上が、ものすごい勢いで急降下しています。

特に雑誌は店頭の売り上げが落ち込み、女性誌ファッション誌が前年比88.2%、ティーンズ誌が同92.3%だった。雑誌の休刊が相次ぎ、創刊91誌に対して休刊177誌になり、販売部数の減少が売り上げ減少に響いた。
出典:https://www.wwdjapan.com/business/2016/06/03/00020687.html

前年比の88%の売上レベルとなっており、毎年この比率を続けたら10年後にファッション誌が存在しているのかと思ってしまうほどです。しかし、ファッション誌(というかCancamなどに代表される赤文字系ファッション誌)がなくなってしまったら、失われてしまうことがあります。

1.ファッションのトレンド発信

シーズンごとのファッショントレンドは、主にテレビ等のマスメディアによって拡散されますが、情報の出所はだいたい雑誌です。シーズンごとに各ブランドが世界各地でパリコレなどのコレクションを披露し、そのトレンドに沿った大量の既製服が作られます。そのトレンドを「今シーズンのトレンドはコレ」といった形でファッション誌が特集し、テレビにも取り上げられるのです。ゆえに、ファッションのトレンドはブランドによって製品が作られ、ファッション誌によって啓蒙されるのです。

最近は、ファッションのベーシック化が進み、シーズンごとのトレンドの差異が少ないように思いますが、それでもファッション誌がなくなってしまったら、1次情報の発信元としてトレンドを啓蒙する存在がなくなってしまいます。
しかし、この点においてはWebのファッションメディアでも代替え可能かもしれません。

2.ファッション誌バズワードの発信

かなり前に赤文字系ファッション誌のWebに関わっていたことがあり、毎号の目次を凝視していたのですが、そのコピーライティングのセンスにはうなるものがあります。一番うなったのはクリスマスシーズンの号に掲載されていた「おねだリング」というワードです。彼氏や旦那に買ってもらいたい指輪のことです。ファッション誌は昔から、アイテムの使用用途に合わせたバズワードを作るのが上手です。ヘビロテ服(ヘービーローテーションする着回せる服)や、こやし靴(安めで使い勝手の良い靴)、最近ではおフェロ顔(チークなどを効果的に使ったフェロモンたっぷりの顔)などなど、トレンドを現すバズワードの発信元もファッション誌です。
エビちゃんが流行していたときは、エビちゃんOLというようなワードもありましたね。

ファッション誌がなくなったら、こういったバズワードはどのように生み出されるのでしょうか。今のところ、Webのファッションメディアは、ファッション誌のトレンドやバズワードを後追いで編集し直している部分が多いかと思います。今後ファッション誌出身の編集者がWebメディアへと移動し、Webメディアからこういったワードが発信されていく可能性はあります。(ただし、社会現象になるほどのワードになるためには、テレビの力が必要ですが。)

ひとつの仮説としては、今後はこういったワードがソーシャル上で強い力を持つ個人から発信される可能性があるのかなと思います。ファッション誌の専売特許といえばモデルやタレントのファッションスナップでしたが、いまやモデルやタレントたちは、インスタグラムで日常的に自身の写真を投稿しています。同様に、ソーシャル上で強い力を持つインフルエンサーによってバズワードが生み出され、それがテレビで拾われる形になるかもしれません。例えば最近「プロ彼女」というワードが流行しましたが、最初のこのワードを用いていたのはコラムニストの能町みね子さんでしたね。

3.赤文字系ファッション誌特有のストーリープレイ

「ストーリープレイ」というのは、私が今名付けたのですが、つまりは赤文字系雑誌にたいてい載っているこちらのページです。

赤文字系雑誌 「赤文字系ファッション誌」にたいてい載っているストーリープレイ。気になる先輩や後輩が出現し、最後には告白されるパターンが多い。

主人公が登場し、1週間のコーデを披露します。そして、その1週間には必ず彼氏や彼氏候補(だいたい職場の先輩か後輩)が登場するのです。
この「ストーリープレイ」が赤文字系ファッション誌を赤文字系たらしめているコンテンツです。このようにファッションに対して、異性の目線を取り入れますよと高らかに宣言しているのです。逆に青文字系ファッション誌は、自分のためのオシャレなので、この「ストーリープレイ」に相当するコンテンツを見たことがありません。少なくともこの20年近くは、ずっと赤文字系ファッション誌に掲載され続けているコンテンツなので、需要はあるのでしょう。

このコンテンツは、上記の2点に比べてWebメディアへの移行がおそらなくないので、もしもファッション誌がなくなってしまったら、このコンテンツもそのまま消滅してしまう可能性があります。

ということで、もしもファッション誌がなくなったら失われる3つのことについて考えてみました。いずれにせよ、紙媒体と比べてWeb媒体は細分化しやすいメディアであり、ひとつの大きなトレンドを提起するには不向きなので、トレンドの提案が今後どのようになっていくのかが気になるところです。