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動画アプリ「Vine」が流行ったのは、再生ボタンを廃止したから

vine Twitterが買収した6秒の動画を共有するサービス「Vine」の勢いがすごいです。今年1月の公開からまだ半年ですが、ダウンロード数はiOSのみでなんと1300万、6月の初めにAndroid版が発表されたばかりなので、軽く2千万は超えているのではないでしょうか。

アクティブ数から見ても、このグラフが示す通り、5月のユニーク数は360万人に達しています。1月は7万7千人ですから4カ月で約47倍も成長しています。とにかくすごいです。
vine2

Vineはよく「動画版Instagram」と呼ばれますが、このキーワードを私たちはいったい何度聞いたでしょうか?以前にも同じようなキャッチコピーが付けられた「Socialcam」、「Viddy」、「Klip」といった似たようなサービスがあり、「Socialcam」に関しては2011年3月の公開以降1年5カ月で1600万ダウンロードに達していました。
いまやVineはこれらの先行するサービスを全て抜いてしまったわけですが、いったいこの要因は何でしょうか?明確にコレが原因だと思うのですが、「動画の再生ボタンを廃止した」ことだと思っています。

というのも、1年半前に動画プラットフォームを構想していたのですが、大きな課題にぶつかりました。それは、「動画は再生してみるまで内容が分からないこと」ということです。写真であれば、一瞬でそのコンテンツの良し悪しが分かるため評価がしやすく、また拡散もしやすいです。しかし、動画は再生ボタンを押して内容を見るまで、コンテンツの中身を評価することが出来ないのです。
この課題についての解決方法が思い浮かばないまま時は過ぎ去ったのですが、今年のはじめにVineを見てびっくりしました。Vineは動画共有サービスなのに再生ボタンがないのです。アプリをダウンロードするとムービーの静止画が並んでいます。この静止画が画面内に入るようにスクロールすると、勝手に再生が始まるのです。
この仕組みはすごいですね。他と比べてみると、ひと手間違うだけですがこのひと手間が大きいのです。

■通常の動画サービス
動画を探す→再生ボタンを押す→動画を見る→次の動画を探す
■vine
動画を探す→動画を見る→次の動画を探す

面白ビックリ映像みたいなものが大量にアップされている
vine

再生ボタンを押す、というボタンのワンアクションも、ちり積もるとユーザーにとっては結構負担なのです。ボタンを押すというアクションを組み込みことによって、ユーザーは常に「能動的」な姿勢でサービスを見なければなりません。

対してVineは、フィードをスクロールするという、ツイッターやFacebookと同程度の「受動的」な姿勢でサービスを楽しむことが出来ます。
「動画は再生してみるまで、中身が分からない」という課題を「再生ボタンを取る」という解によって、解決しているのです。

と、いうわけでこの話は一つの教訓でもあります。何か課題が見つかった時は、前提を覆すような方法でそれが解決される場合もあります。課題に対しては、自分の脳みそがぞうきんになったつもりで絞りながら向き合わなければいけないなと思いました。

パズドラと任天堂Wiiの隠れた共通点

パズドラ

パズドラと任天堂Wiiが誕生した理由

パズドラはご存知の大人気スマフォゲームで、任天堂wiiは家庭用ゲーム機なのですが、この2つはかなり背景が似ている気がしています。

任天堂wiiの歴史はこんな感じです。

1.コンソール(据え型)ゲーム機登場

2.どんどん高機能化してターゲットユーザーが絞られる

3.任天堂がターゲットユーザーをファミリー(母親)に設定してwiiを発売

最初にファミコンが発売され、以降スーパーファミコン、プレステ、任天堂64、プレステ2という風にハードがどんどん高機能化していきます。処理スペックがどんどんあがって画質が鮮明になっていきました。その結果、ゲームをプレイするユーザーがどんどんコアゲーマーになり、ファミコン時代と比べてゲームをプレイする人数の母数が減っていきます。そこで、任天堂は再度ターゲットユーザーをファミリーに設定、リビングに置けるゲーム機を目指した結果「母親がOKを出すゲーム機」という結論になります。その結果、wiiのスペックはそれほど高くはありませんが、スティックで感覚的にゲームがプレイできるハードウエアが誕生したのです。

対して、パズドラの歴史。

1.ソーシャルゲーム登場(怪盗ロワイアル)

2.どんどん複雑化してターゲットユーザーが限定されていく

3.ガンホーがターゲットユーザーを一般人に設定してパズドラ発表

最初に本格的なソーシャルゲームが出たのは、モバゲーの怪盗ロワイアルだったかと思います。その後、ガチャの仕組みが複雑になったり、仲間たちとボスを倒すギルドバトルやボスとの遭遇タイミングが限定されるレイドボスなどゲームシステムがどんどん複雑になっていき、プレイするユーザーがどんどん限定されていきました。しかし、ガンホーが“ゲームとして面白いものを作りたい”というコンセプトで「パズドラ」を発表、今までソーシャルゲームをプレイしたことがなかったユーザーを獲得します。現在は1400万DLを超えているそうで、他のソーシャルゲームはヒットしていても100万程度ですからいかに裾野を広げたかが分かります。

成熟に入った市場を拡大するのは、トップの決断

コンソールゲーム機の高性能化は、メーカーが機能を盛ってハードウェアを進化させてしまうという、日本のメーカーにありがちな現象なのだと思います。対して、ソーシャルゲームの仕組みが複雑化したのは、複雑にすればするほど1人あたりの収益が上がるからです。価格は需要と供給の一致点に定まりますが、ソーシャルゲームの場合は需要が高いユーザーがいればいるだけ課金してくれるので、課金タイミングを増やす仕組みをたくさん入れるわけです。

また、wiiの場合は岩田聡社長がターゲットをファミリーに設定するというマーケティングの結果生まれたハードですが、ガンホーの場合はマーケティング云々よりも「とにかくゲームとして面白い物を作れ」だったそうです。実際にパズドラの開発でも、開発者たちの奥さんに意見を聞く嫁レビューというものが取り入れれて、パズルのピースの斜め移動を許す(通常のパズルゲームじゃ考えられないですね)などとにかく初心者に優しい設計になりました。

しかし、共通する点もあります。まず、市場が成熟に入っていてターゲットユーザーが固定化していたという点、そして実施にあたってはトップの決断が必要だった点です。wiiの開発をする際は、岩田社長により社内を説得する必要があったそうです。パズドラにおいても森下一喜社長は、「戦略は面白いゲームを作ること。馬鹿げているかもしれないが、極めて本質的だ」と語っており、収益は二の次でとにかく長く遊んでもらうことだとしています。

ということで、現在成熟期に入っていてこれ以上ユーザーの母数が伸びそうにない場合は、商品の再定義が必要なのかもしれません。そして、成熟期に入ってる以上は組織が固定化して業務も慣例化しているため、社内を説得するにはトップの決断が必要になるでしょう。