地域限定なのに100万人が見ている!?謎のウェブメディア「はまれぽ.com」

メディアには人格がある。

その昔、書店の雑誌コーナーにて、雑誌を上から下までくまなくチェックしていた生粋の雑誌好きです。最近は雑誌の編集者がウェブメディアに流れるという傾向もあるようですが、紙の雑誌と比べると、ウェブメディアには人格が備わっていないように思います。

雑誌を定期的に見ていると、雑誌自体に人格が備わっているような気がしてきます。例えば、リニューアル前のクウネルであれば、都心から離れた小さな山の麓に木の家を構えるさと子さん(30代女子)みたいな感じです。お気に入りの雑誌を定期的に見るということは「さと子さんは、今月お変わりないかしら」と電車に乗って会いに行って、お茶でも飲みながらさと子さんと話して「ああ、今月もさと子さんはお変わりなかったわね」と帰ってくるようなイメージです。
逆にウェブメディアは、そこに擬人化もメタファーも入る余地がなく「情報!メディア!!伝達!!!」みたいなところがあります。

しかし、あるきっかけがあり、横浜を中心にした地域情報を配信するWebメディア「はまれぽ.com」の存在を知ったのですが、ものすごく人格を感じられるメディアです。メディアに人格を与えるという行為は、メディアブランディングと言い換えられるかもしれません。例えばクウネルはリニューアルして、30代ほのぼの女子さと子さんから、30代都内でおしゃれ生活を営む久美子さんみたいな感じになりました。なぜ雑誌に人格を与えるかといえば、それは30代おしゃれ生活に憧れる女子に読んでほしいという読者のターゲティングのためであり、さらにその先には広告によるマネタイズという目的があります。

しかし、この「はまれぽ.com」からどういう人格が感じられるかといえば、新宿歌舞伎町に棲む(はまれぽだけど)ルポライター雑学太郎42歳みたいな、誰得なイメージを受けます。わかりやすく例えようとして逆にわかりづらくなったので、具体的に何がすごいのかを説明していきます。

日本三大ドヤ街にストリップ劇場!?ディープすぎる記事の内容

今現在(2016年8月8日)、このメディアにアクセスして一番最初に目につく記事は

「ストリップ劇場「浜劇」、「横浜ロック座」になってどう変わった?」

です。横浜やその周辺にスポットを当てたメディアと聞くと、横浜に新しく出来た商業施設の紹介(MARINE & WALKなど)や、イベント情報(赤レンガにてオクトーバーフェスト開催)などと想像できますが、なんとストリップ劇場です。いくら何でもディープすぎるでしょう。

ちなみに「はまれぽ.comからのごあいさつ」を見ると、コンセプトがこのように書かれています。

「はまれぽ.com」は、「横浜という街の本当の姿をもって知ってほしい!そして、もっともっと好きになってもらいたい!」という思いから生まれました。
横浜は、多くの人がイメージする「海の近くのおしゃれで華やかな街」という顔ばかりでなく、「ドヤ街」と呼ばれる日雇い労働者向けの簡易宿泊所や、かつて「ちょんと間」と呼ばれた青線地帯があったりと、華やかさとは無縁の一面も持っています。
それらをひっくるめた「横浜の魅力」を、ライターや編集者が「自分たちの目で見たもの、耳で聞いたことをしっかりと伝えていく」というモットーで、広めていきたいと思っています。

このコンセプトの通り、先ほどのディープ横浜を扱った記事が多数掲載されています。さらに、先ほどのストリップ劇場記事の下には

神奈川駅、年季の入った看板の「さくら旅館」は営業している?

という本当に地元民じゃない限り、全く気にならないようなディープすぎる題材も扱われているのです。

ハンパない取材力とぐいぐい読ませる文章

このメディアで提供されている記事は、ほとんどがライターの現地取材に基づいています。ウェブメディアは、1本あたりの記事提供コストが低いので「中華街でハズせない!おすすめグルメ6店」みたいな、きっと「中華街 おすすめ グルメ」ってググって出てきたお店をまとめ記事にしてるんだろうなー的な原稿が多いように思います。しかし、このメディアについては記者自らが現地に赴き現場取材を敢行しています。

例えば、私がこのメディアを知るきっかけとなったのは、横浜にある日本三大ドヤ街のひとつ寿町を扱ったこのルポです。(そう、もはや記事というよりはルポです。)

「ライター井上が、身一つでドヤ街を調査。その実態をレポート!」

これを読んでみるとわかるのですが、なんでしょうか、このハンパない取材力は。寿町といえば、関西にあるあいりん地区、東京都上野の山谷と並んで日雇い労働者が集まる日本三大ドヤ街として有名な地区です。一般的には女性がこの地域に足を踏み入れることを推奨されず、私も一度気づかずに足を踏み入れてしまったのですが、周りの空気のあまりの変わりようにびっくりしたことがあります。

寿町には2000円代で泊まれる簡易宿泊施設が軒を連ねているのですが、その土地柄、女性を泊めることはありません。しかし、この女性のライターさんは15件も宿泊を断られたのちに、16件めの宿泊施設で管理人にゴリ押しをして泊めてもらうという、テレビ東京のリアル旅番組さながらの交渉をしています。

さらに、その管理人さんと夜の寿町に連れ立って赴き、管理人さんのリアルな証言を取ることにも成功しているんですね。ぐいぐいと読ませる生の証言の数々は、この体当たり取材がなければ書けないでしょう。
その他の記事を見ても、いずれもライターによる現場での体当たり取材が多く、しかも扱う内容がディープであるだけに、取材先に10件以上断れることも珍しくないようです。

果たして、どれくらいの人が見ているか?マネタイズの謎。

ということで「はまれぽ.com」の異常なクオリティの高さがお分かりいただけたかと思いますが、とは言っても「はまれぽ」という名称からわかる通り、扱う内容は横浜、湘南、川崎と地域が限定されます。果たしてどのくらいの人がこのメディアを見ているのが、解析ツールのシミラーウェブを調べてみると、過去半年間で100万人の訪問者数があるそうです(解析ツールなので実績値とは誤差がある可能性が高いです。)。参考までに横浜ウォーカーの発行部数は49,834部ですから、ウェブメディアとはいえ月ベースでならしても20〜30万人程度のアクセスはありそうです。
インタビューコーナーを見ても、「トレンディエンジェル」斎藤司さんや、谷原章介さんなどのビッグネームのタレントさんのインビューを単独で取れているので、アクセス数はかなりあるのでしょう。

しかし、記事のクオリティが高く、アクセスががある程度あることが分かっても頭をもたげるのが「マネタイズをどうしているのか?」という疑問です。現在サイトのトップには大磯ロングビーチのバナーが掲載されているため、バナー広告による収入はあるのだろうなと思うのですが、その他何でマネタイズをしているのかよく分かりません。
横浜近郊のレストランや、ウェディング場などを扱った記事広告のようなものがあるので、これでマネタイズを図っているような気もします。(しかし、特に記事内にPRマークは入っていないようです)

たまに、メディアそのものでマネタイズをするというよりは、提供元の会社の販促活動等のマーケティング目的であったりするので、運営元の株式会社アイ・ティ・エーのサイトを見にってみたのですが、通信機器の販売などをメインに手掛けているようで、特にメディアとのシナジーは感じられませんでした。(というか、なぜ通信機器の販売を手がける会社さんが、このようなぶっとんだメディアを運営しているのでしょうか。)

ということで、いろいろと謎に包まれた「はまれぽ.com」ですが、メディア好きの人間としてはこのままディープなメディアを貫いて欲しいなあと思います。先ほど半年で100万人程度の訪問者があるらしいという話をしたのですが、アクセス経路を見ると、なんとそのうち27%は直接訪問なんですね。これはつまり、お気に入りに入れるなどして、定期的に見ている読者が多い=このメディアを好きな読者が多いということです。

ということで、これからも「はまれぽ.com」を遠くから応援したいです。

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